見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2016秋@大徳寺・聚光院特別公開

2016-10-10 20:58:39 | 行ったもの(美術館・見仏)
■大徳寺・聚光院 創建450年記念特別公開(2016年3月1日~2017年3月26日)

 10月の第二日曜に京都・大徳寺で行われる宝物曝涼(むしぼし)には、3年前の2013年に初めて行った。そろそろ、もう一度行ってみたくなって、今年は三連休関西旅行を企てていたのだが、最終日(今日)は東京の両親のもとを訪ねる必要が生じ、二日間しか遊べなくなった。行きの新幹線の中で、慌てて旅行計画を組み替えたので、けっこう大きな失敗をしてしまった。というのは、大徳寺の曝涼は日曜一日だけなのに、「これだけは見逃せない!」という思いが強すぎて、土曜日だというのに、京都に着くと直ちに大徳寺に向かってしまったのである。

 大徳寺本坊の前まで来て、自分の間違いに気づいて大ショック。仕方ないので、開いている塔頭寺院でも見ていこうかと考える。ふと本坊のすぐ隣りに「聚光院 特別公開」の大きな立て看板を見つける。そうだ、千利休の菩提寺で、狩野永徳の障壁画を有する聚光院が、創建450年を記念して、いま1年間の特別公開中なのであった。予約優先で、ホームページから日時を指定して申し込む、という話を聞いていたが、空きがあれば当日でも拝観を受け付けてくれるらしい。

 ダメもとで「今日はもう空きはないでしょうか?」と聞いてみたところ、受付の真面目そうなお姉さんが、受付表をめくって、しばらく考えたのち、「おひとり様でしたら次の回で行けますね…あと5分くらいで入場です」とおっしゃる。なんと、思いがけない幸運! 13:40になると、拝観料2,000円を払って門の中に入れてもらった。

 1回の定員は15名。大玄関で10分ほど待つ。大きな荷物はクロークに預け、「ご案内は約40分間ですから、先にトイレなどお済ませください」という指示がある。ご朱印は書いたものを頒布している。準備が整ったところで、女性の方の案内で方丈へ。

 方丈は、向かって右の「礼之間」に狩野松栄筆「瀟湘八景図」、中央の「室中之間」に狩野永徳筆「花鳥図」(奥の仏間、厨子の下の戸袋には松栄筆「蓮池藻魚図」)、左の「壇那之間」に永徳筆「琴棋書画図」。裏側にまわって「衣鉢之間」に松栄筆「竹虎遊猿図」という構成で、全46面ある。

 やはり圧巻は、永徳の「花鳥図」。室中之間は、たぶん24畳くらいあって、かなり広い空間なのだが(天井は低い)、その三方を変化に富んだ花鳥図が取り巻いている。右側(春の景色・梅の巨木)から左側(冬の景色・芦雁図)へゆっくりと動いていく時間。永徳は部屋の「角」を巧みに使って、奥行のある円環のような空間を作り出している。これはやはり、博物館の展示ケースでは分かりにくい。もとの配置に戻してこそ、実感できるものだと思う。なお、リンク先の特設サイトでは、襖が全て閉まった状態の写真を掲載しているが、実際は正面が少し空いていて、仏間のご本尊と三好長慶像、利休像が見える。

 松栄筆「竹虎遊猿図」は、サルの群れの中に白いサルが二匹いて、大きな白ザルが大御所・狩野元信で、母に抱かれている小さな白ザルが天才児・永徳、その横で、やるせない顔を膝を抱えているサルが狩野松栄という見立てがあるとか。松栄、ちょっとかわいそうだな。

 方丈の前庭は、あまり技巧に走らない簡素な石組みを持つ苔庭で、なかなかよかった。方丈の裏に茶室「閑隠席」「枡床席」がある。「閑隠席」の前の井戸は、釣瓶の滑車に織部焼きが使われていて、めずらしかった。最後に案内された書院は、2013年落慶で、千住博氏の障壁画「滝」が見どころ。チベット仏教を思わせる群青色に、白い滝が幾筋も流れ下る様は、天上界の青と雲あるいは雪山の白のようでもあった。



 拝観を終わって出てくると「本日は終了致しました」の貼り紙。結果的に超ラッキーだったというべきだろう。なお今回は、京都国立博物館に寄託している障壁画の9年ぶりの里帰り公開であるが、ふだんは2007年に作成された高精細のデジタル複製画が飾られているそうだ。複製もいいけど、現物が設置されている間に、もう1回くらい見たい。真冬の冷気を感じながら見てみたい。

 この日は、もう1箇所、塔頭の龍源院(2013年にご朱印を貰い逃したところ)に寄って、龍谷ミュージアムと京都市美術館を参観。夜は大津祭りへ。翌日、再び大徳寺に来て、方丈と高桐院の宝物曝涼を見た。続きは稿をあらためて。
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