見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2012京の冬の旅:院政ゆかりの地巡り(1)

2012-03-19 01:08:09 | 行ったもの(美術館・見仏)
○初日:三十三間堂~安井金毘羅宮~崇徳天皇御廟~六波羅蜜寺~長講堂~因幡薬師(平等寺)~本法寺~楽美術館~白峯神宮

 金曜日、1時間だけ早退して新幹線に乗り、京都入り。土日の2日間で「京の冬の旅」の非公開文化財特別公開など、いろいろ見てきた。大河ドラマ『平清盛』で、個人的に関心の高まっている院政期の史蹟を中心に。

・三十三間堂…いわずと知れた、後白河法皇の法住寺殿の旧蹟。中尊も二十八部衆も鎌倉復興期の作だから、当時の雰囲気を留めているわけではないのだけれど、スタートはここにしようと思った。二十八部衆は、むかしは迦楼羅王など異形の像に気を取られていたが、今見ると、全くフツーの大弁功徳天に魅力を感じたりする。

・安井金毘羅宮…バス停「東山安井」そば。いつも素通りしていたが、前日、ネットで情報収集していたら、ここの祭神が崇徳院だと知って、ちょっと寄ってみる。境内には特に旧蹟なし。

・崇徳天皇御廟…安井金毘羅宮から北に上がると、祇園甲部歌舞練場の西側に張り付くようにして、御廟がある。『平安京を歩こう(崇徳院の怨霊のゆくえ)』の説明が詳しくて、ありがたかった。御廟の前に警備員みたいな人が立っていると思ったら、歌舞練場の隣りが「WINS京都(場外馬券売場)」で、狭い路地に集まる車を誘導する役目だった。



・六波羅蜜寺…ここも何度も来ている西国札所。久しぶりに宝物館に寄り、清盛像や空也上人像に会っていく。きれいになったなあ、と感心する。運慶坐像、湛慶坐像が好きだ。

・長講堂…五条烏丸交差点のやや南西。全く来たことのないエリアだった。長講堂は、もと後白河法皇の院御所に営まれた持仏堂だが「再三の火災のため転々と寺地を変え」てきたという。建物は新しいが、ひろびろして、立派なお寺だった。本堂の阿弥陀如来像は、後白河法皇の臨終仏と伝えられる。院派仏師・院尊の作とも(Wiki)。穏やかで円満な丸顔で、いろいろ飾りをまとっていないのも古体な感じでよい。両脇侍が蓮台から片足を踏み下げているのは珍しいのだそうだ。毎年4月13日の法皇忌法要時のみ公開。ほかに、聖徳太子像、法然像、善導像(後二者は胎内仏が正面から見える造り)などあり。

 御影堂に後白河法皇木像(江戸時代)を安置。さらに後白河法皇自画像の箱が、赤い布に包まれた状態で置かれていた。50年に1度「勅封」が解かれるのだそうで、次回は平成53年。ガイドさんの雑談を聞いていたら、同寺は西山浄土宗に属し、ご住職は京都西山高校の校長先生をされていてご多忙だそうだ。インドや中国にも、何度も行っていらっしゃる(珍しい拓本もあり)。今回の特別公開は、京都市から「ぜひ」と頼まれたらしいが「もう当分ないでしょう」とのこと。




↑キャッチコピーが妙にカッコいい。

・因幡薬師(平等寺)…座布団(?)を被った薬師如来で有名。以前、来たときは、秘仏の薬師さんを拝観できなかったので、がっかりした。今回は特別公開なので、まず本堂内に上げてもらう。しかし、中央のお厨子は扉を閉じていて、お前立ちがいらっしゃるだけだったので、あれ?と思う。本堂内にも橘行平坐像や不動明王像などがあるけど、お薬師さんは?ときょろきょろする。実は、本堂の手前に目立たない宝物館があって(開扉中は黒っぽい遮光幕で正面を覆っている)本尊・薬師如来は、こちらに移されているのだ。

 5人も入れば満員の小さな宝物館には、薬師如来と、如意輪観音、清涼寺式釈迦如来、そして漢織神(あやはとり)・呉織神(くれはとり)像があった。ふくよかで美しい異国的な女神坐像。二体揃っているのは珍しいのだそうだ。薬師如来は、頭がつかえそうな、ぴったりサイズのお厨子に収まっているのが印象的だった。お厨子の裏側に滑車のようなものが見える(裏側を鏡に映して見せている)。火事や災害のとき、すぐに運び出せるように工夫したものだ。こうでなければ、京の市中で、藤原時代の仏像を傷もつけずに守ってこられなかっただろうなあ、と感心する。なお、因幡薬師の南側は、六条、高倉、安徳天皇の里内裏(五条東洞院内裏)で、「平等寺」も高倉天皇が名付けたものという。

 以下、続く。(3/19夜、写真追加)

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