見もの・読みもの日記

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忍性菩薩(金沢文庫)+鎌倉meets東大寺(鎌倉国宝館)

2016-11-24 23:33:22 | 行ったもの(美術館・見仏)
神奈川県立金沢文庫 生誕800年記念特別展『忍性菩薩-関東興律七五〇年-』(2016年10月28日~12月18日)

 来たる2017年、東国を中心に真言律宗を広め、各地の社寺の復興に携わった忍性(1217-1303)の生誕800年を迎えることを記念する特別展。この春、奈良博で開催された『忍性-救済に捧げた生涯-』展とは、重なる展示物もあるが、別の展覧会と考えてよいようである。あまり広くない展示室に、多数の仏像がひしめきあう状態で壮観だった。主役の忍性菩薩坐像は極楽寺から。本堂内に叡尊像とともに安置されているとのことだが記憶にない。一直線の眉骨、大きな鼻と口は、セサミストリートのキャラクターみたいに親しみやすい。

 釈迦立像と十大弟子像が二組。極楽寺の釈迦像はさわやかで若々しく、称名寺の釈迦像は頭部が大きく重厚である。十大弟子像はどちらも癖者ぞろい。善か悪かよく分からない面相も混じっている。絵画では極楽寺所蔵のシンプルで大きな墨画『釈迦如来像』(鎌倉時代)が印象に残った。あと、忍性が多田院別当だったことを初めて認識した。源氏ゆかりの多田神社(兵庫県)には行ったことがあるが、真言律宗の拠点だったとは思ってもみなかった。神社なのに。

鎌倉国宝館 特別展『鎌倉meets東大寺-武家の古都と南都をつなぐ悠久の絆-』(2016年10月22日~12月4日)

 治承4年(1180)平重衡の南都焼き討ちにより灰燼に帰した東大寺の復興を推進した大勧進・重源に対し、手厚い援助を行ったのが源頼朝。ということで、鎌倉と東大寺との密接な関係は、鎌倉時代初頭にさかのぼる。これには反論のしようがないが、先日、呉座勇一さんの『応仁の乱』を読んで、大和国では摂関家ゆかりの興福寺が圧倒的な支配権を持っていたことを知ったので、東大寺-鎌倉幕府というのは、その対抗軸を作るタッグだったのかな、と思ったりする。

 会場の冒頭で、東大寺の重源上人坐像が目に入り、お!と思ったが、これは模刻。源頼朝坐像も複製だった(図録には本物の写真が載っていて紛らわしい)。鶴岡八幡宮の古神宝に菩薩面や舞楽面があるのは知っていたが、頼朝が東大寺の落慶供養に参列した際に手向山八幡宮から贈られたものと聞くと、一層ありがたさが増す。しかし、東大寺再建に関する頼朝の書状(東大寺所蔵)は、解説によれば「後白河法皇の決定により朝廷が主導すべきこと」を繰り返し述べているらしく、あまり積極的な意欲が感じられない。実は政治的かけひきがあるのだろうか。

※(おまけ)鎌倉駅から八幡宮への途中に、鳩サブレ―の豊島屋の洋菓子舗「置石」がオープンしていた。鳩サブレ―の粉を混ぜたソフトクリームが美味。鎌倉散歩の楽しみになりそう。そして豊島屋のホームページで見つけた「鳩クッション」(完全注文生産)が可愛くて、欲しい。


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