見もの・読みもの日記

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国宝の新しい楽しみ方/びょうぶとあそぶ(東京国立博物館)

2017-07-12 00:05:53 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京国立博物館・本館 特別4室、特別5室 親と子のギャラリー『びょうぶとあそぶ 高精細複製によるあたらしい日本美術体験』(2017年7月4日~9月3日)

 東博が何か面白いことを始めたらしいとは聞いてみたが、実際に体験してみるまで、こんなに面白いとは思わなかった。特別5室は大階段の裏にある。入口には、松脂とシトラス(だったか?)による香り演出を行っています、という注意書きが張り出されていた。中に入ると、薄暗くて細い通路が伸びている。墨画の松の木をプリントした透明の布が何枚も垂れていて、松林を掻き分けるようにして進んでいくと、広々した空間に出る。

 正面には畳敷きのステージ。その上に、長谷川等伯の国宝『松林図屏風』(の高精細複製品)が立っている。背景は大きなスクリーンで、墨画または淡彩画ふうのさまざまな風景が映し出される。私が最初に会場に入ったときは、畳の上に座っている人は誰もいなかったのだが、ムービーが終わって明るくなると、会場案内の方が「どうぞ、畳にあがってご覧いただけますよ」と声をかけてくれたので、屏風のすぐ前まで行って、眺めることができた。再び映像が始まったので、私は後ろに下がったが、畳の上でくつろいだままの人も多かった。



 はじめは山水画ふうの風景(湖岸か海岸)で、次第に色がつき、春は桜が散り、紅葉が色づき、雪が舞う(少なくとも一度目は後ろに下がって見ているほうが、全体が見えてよい)。



 やがて畳敷きの舞台は、まるで空飛ぶ絨毯のように松林の中に入り込んでいく。カラス(?)あるいは海鳥が松林の中を、そして屏風の中を飛んでいく。実に至福のひとときの体験だった。9月3日まで、何度でも体験しにいきたい。しかも無料である。

 特別4室では、尾形光琳筆『群鶴図屏風』(フリーア美術館所蔵)(の複製)とアニメーションのコラボを体験することができる。これも楽しかった。何よりも光琳本人がこれを見たら、大喜びするだろうなあと妄想した。ちなみに「びょうぶとあそぶ」(公式サイト)は、東京国立博物館とキャノン「綴プロジェクト」のコラボレーションだという。本物と見まごう複製をつくる技術も立派だが、それを使って、このような楽しみ方をひねり出す創造性は、より一層すばらしいと思う。みなさま、お見逃しなく。
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2 コメント

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はじめまして (コロコロ)
2017-08-12 20:46:06
何度かこの展示を見ましたが、jchz様が次の映像を見た時のようにみなさん、後ろに下がっていました。

前にいたままだと、後ろでは見えなかったものが見えてまた面白さが増しました。

複製の出来も去ることながら、このような映像につくりあげた創造性が素晴らしいとおっしゃっているように、この映像のメイキングを見たら、より一層そのすばらしさを感じました。
https://www.youtube.com/watch?v=GFAnoU1itVc

合わせて、こちらのサイトのリンクをさせていただきました。
コロコロ様 (jchz)
2017-08-15 21:27:33
コメントありがとうございます。

お盆休みに、もう一回、この展示を見に行ってきました。何度でも楽しめますね。常設にしてほしいくらいです。

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