「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ウッドホーンの誘惑~その4~

2017年10月03日 | オーディオ談義

先日、投稿した「ウッドホーンの誘惑~その3~」の続きです。

すでに、お忘れの方も多いと思うがこの表題の記事の後半に掲げておいた宿題がず~っと気になっていた。

それは「テクニクスのドライバー VS AXIOM80(平面バッフル付き)」の聴き比べ。

先週、その機会がようやく巡ってきたので結果を記録しておこう。

もちろん独りでは心許ないので(笑)、いつものように仲間(二人)に来ていただいて、試聴しながら丁々発止のやり取りを行った。

具体的な実験の中味については画像を観る方が手っ取り早い。

             

ちょっと景色がゴチャゴチャしているので説明すると、一つのシステムを次のとおり二通りに使い分けしたもの。

1 3ウェイシステム「JBLのD130+テクニクスのドライバーホーン+JBL075ツィーター」

 2ウェイシステム「JBLのD130+グッドマンAXIOM80」

はじめに1のシステムを試聴し、その後テクニクスのドライバーホーンを脇に押しやって、2のようにAXIOM80(平面バッフル付き)を載せてみたのがゴチャゴチャの理由だ。

実験の狙いは両者の優劣を決めるのではなく、それぞれプラス面とマイナス面があるので各自の意見を出し尽くそうというもので、最終的にどちらを取るかは(プラス面とマイナス面を差引きして)リスナーにお任せと相成る。

結論からいくと、1はジャズを聴くのであれば100点満点、クラシックを聴くのであれば80点ぐらい、一方、2はクラシックを聴くのであれば95点、ジャズを聴くのであれば85点ぐらいと議論が落ち着いた。

なかなか微妙な採点状況だ(笑)。

このうちハイライトは1の場合にジャズで100点、クラシックで80点と後者で大幅に点数を落としたことで、その一番の理由は「音の余韻が乏しい」ことに尽きた。

そりゃそうでしょう、音切れが早いのが特徴の金属のダイヤフラムを使ったユニットに音の余韻を求めるのは「比丘尼に求めるに陽物をもってするようなもの」(司馬遼太郎著「歳月」)だろう(笑)。

以下、いつものように独断と偏見を交えて勝手に言わせてもらうと、

クラシック音楽の鑑賞と余韻の表現力とは切っても切れない関係にあると思っている。

楽節の終わりなどでサウンドが空間のなかにス~ッと消えていき、そこはかとなく漂う余韻と静寂に浸りつつ「ああ、いい音楽だなあ」と、一緒にその感興を楽しむところに音楽鑑賞の醍醐味がある。

余韻は教会やコンサートなどで天井や壁に当たって跳ね返ってきた間接音と、楽器からの直接音とが微妙に織り交じった音楽にはつきものだ。

その一方、ストリート・ジャズという言葉にもあるようにジャズは楽器から出た直接音を主体に楽しむ音楽であり、余韻なんてどこ吹く風だ。

そこで当然のごとく、問題が発生する。

音切れのいいダイヤフラムを使ったユニットはジャズでは抜群の威力を発揮するが、クラシックではそれが逆にマイナス面となって働く。「あちら立てれば、こちら立たず」で、今回がその端的な例となる。

一般的にリスナーを大雑把に分けるとすると「クラシック派」と「ジャズ派」、そして「どちらも聴く中間派」に分けられるが、自分のような、そこそこの「中間派」にとってはこれが一番困る(笑)。

もちろん「いいシステムともなるとクラシックもジャズも両方うまく鳴ってくれるはず」という根強い説もあるが、自分はこの説には与(くみ)しない。

「クラシックとジャズの両方を満足して再生できるシステムは難しい。」という思いが正直なところだ。一番いい例がタンノイさんのオートグラフで、これでジャズを聴こうなんて誰も思わないだろう。

この意見にはそれぞれに賛成、反対と分かれるだろうが、これまで「完璧なシステム」なるものをまだ聴いたことがないので現時点での断言は差し控えておこう。

まあ、そういうわけで本日は「テクニクスにするか、AXIOM80にするか」決定的な結論は出ず仕舞いで、むしろますます混迷の度が深まってしまった。

1で聴くジャズの爽快感はちょっと捨て難いし、それかといって我が家の場合、日常聴くのはクラシックが大半だしね~。

オーディオを色分けして割り切るのはホントに難しい(笑)。

 

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