3日前に「HMV」からメールが届いた。要約すると「あなたが注文していたCDが入荷しましたので送付します。」
エーッ、何かCDを注文したっけ?
CDのタイトルをそれぞれ見てみると、やっと思い出した。ずっと2年以上も前に注文していたもので、ようやく昨日(26日)になって到着!HMVさんの粘りには少々驚いた。
喩えて言えば注文していた料理がすっかり忘れたころになって冷え切った状態で提供された感じ(笑)。
ものごとにはタイミングというものがあって、今となっては“ほとぼり”がすっかり醒めてしまい積極的に聴く意欲もわかないが、まあその誠実さには感謝すべきだろう。
遅延の原因は推測だが「風よ吹け、南から」の稀少盤(外盤)の入荷が遅れたため、他の3枚のCDが足止めをくらったからだろう。
それにしても、はたしてどういう経緯で注文したのかそれぞれのCDの記憶の糸をたどってみよう。
☆ バッハの「マタイ受難曲」(3枚組:クレンペラー指揮)
クラシック歴が40年以上にもなるのにいまだにバッハのマタイに拘っている自分が悲しくなる(笑)。宗教曲の中ではベスト1の位置づけにある有名な曲目なので、カール・リヒター指揮の「マタイ」を購入して聴いてみたが、これまで何回もチャレンジしたもののとうとう馴染めず挫折の連続。
どうしても真面目過ぎるというのか、線香臭さが鼻についてしまう演奏なのだ。己の鑑賞力不足は棚に上げて、これはてっきり「演奏がおかしい」と指揮者の責任にして、クレンペラーの指揮なら波長が合うかもしれないと注文したのが真相に違いない。
生きていくうえでも、たとえ己に非があろうと、何でもかんでも他人の責任にするのは楽だからねえ(笑)。
クレンペラーは「勿体ぶり屋のクレンペラー」と揶揄されるだけあって、どちらかといえば大曲向きの指揮者である。名前が「エンペラー」(皇帝)とダブるのでトクをしているのかもしれない。
「魔笛」(モーツァルト)、「ミサ・ソレムスニス」(ベートーヴェン)、「大地の歌」(マーラー)などがとても印象が良かったので「マタイ」ももしかしてというわけで、夢よもう一度だったろう。
この演奏で「マタイ」に再挑戦だが、もし馴染めなければキレイサッパリ諦めることにしよう(笑)。
☆ パスカル・ロジェの「前奏曲全集」(ドビュッシー)
実を言うと、どうしてこのCDを注文したのかいまだに思い出せない。
ピアノ曲ではモーツァルトのピアノソナタ群は別格としてドビュッシーの作品が大好きでベロフ、アラウ、ミケランジェリ、ギーゼキングと著名なピアニストたちが手元にあるので、結局はなぜ「パスカル・ロジェ」に特定したかという話に落ち着く。
1951年生まれだから当年とって65歳、現代フランス最高のピアニストと称される(CDの帯にそう書いてある!)そうな。おそらくフランス人の作品だからフランス人の演奏で聴いてみたいというのが購入動機だろう。
これからじっくり聴かせてもらうとして、好みに合うといいのだが。
☆ コリン・デービス指揮の「幻想交響曲」(ベルリオーズ)
このCDもまたなぜ注文したのか定かには思い出せない。手元のアバド指揮の「幻想」はなかなかの名演だと思うので満足していたはず。
ところで、ベルリオーズはこの「幻想」だけで後世に名を遺したことになる、一発屋と称されるゆえんである。「幻想」はなかなかの人気曲で、この曲を愛する方といえば元総理の福田康夫さんを思い出す。
福田さんは政界有数のクラシックファンで、ヤナーチェクの作品を愛好されているが、好きな曲目を一つに絞るとすれば「幻想」だと何かの雑誌で読んだことがある。
デービスは大好きな指揮者だったが惜しいことに2013年4月14日に逝去している。計算してみると、どうやら死去後に注文したようなのでいわば「追悼盤」ということなんだろう。
☆ キャスリーン・フェリア「風よ吹け、南から」
フェリアといえばブルーノ・ワルター指揮の「大地の歌」(マーラー)の詠唱を思い出す。
CDの帯にはこうある。
「41歳で早世してしまった英国の伝説的アルト歌手、フェリア。彼女の深く柔らかい声で歌われる英国民謡は子供を見つめる若い母親の眼差しのような優しさのこもったもの、ただ聴いているだけで、心の奥の軋んだ扉が解放されるような感動が広がってきます。
かのデッカのカリスマ・プロデューサー、ジョン・カルショーもその著で“単純さと正直さこそが本質であるこの歌に、キャスリーンは苦も無く生命を吹き込むことができた」と大絶賛しています。良質な英国LPからマーク・オバートが新たに復刻したバランスの良い音質もうれしい限り。」
ハイハイ、素直に真に受けてこれから聴いてみましょう(笑)。