--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

はじめてのうみ

2006-11-14 | 南極だより・自然
<11月23日にアップしています>
期を逸してはいけない南極だよりはたくさんあります。
これもそうなのですが、気付いたら既に1週間以上経っていました。
今日(11/23)にアップするものとも連動するので、焦ってアップしています。
それではさっそく渡井さんからの南極だよりです。
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2006年11月14日(火) 快晴 はじめてのうみ

昨日のペンギンセンサスではアザラシをみることができた。
弁天島には2組の親子がいた。
1組は先日みかけたタグつきあざらしの親子。
居を弁天島北側から西側に移していたが、タグがついているので間違いない。
赤ちゃんはもう小学生くらい?になっていた。
産毛が抜ける最中なのかしきりに背中を雪面にこすり付けている。

#10月20日に会ったあかちゃんアザラシ

#11月13日には小学生くらい?

もう一組の親子はタグつきアザラシがいた島の北側を居にしていた。
こちらの赤ちゃんはまだ小さい。
しばらく様子を見ていると、母親がこどもを海に誘う。
おっぱいを飲んでいる赤ちゃんもいずれは自分で餌をとらなくてはならない。
その練習なのだろうか?

母親がしきりに鳴いてこどもを呼ぶ。
先に海に入ってこどもをよび寄せる。
ためらっていたこどももおっかなびっくり海に入った。
一度海に入ってしまったら気に入ってしまったのだろうか?
なかなか出てこなかった。


#おちびちゃん、こっちにおいで

#間の壁を削って垣根を低くします

#少しの壁もおちびちゃんにはひと苦労

#ママとおちびちゃんはいつもnose to noseで確かめ合います

#さ、おちびちゃん、入っておいで

#しばらくためらっていたけれど

#えいやっ!と海に入った

#あ、あがりたい?!

#まもなく海で生活するため、泳ぎの練習を始めます

-----11月14日本日の作業など-----
・HVS Air解析
・日刊昭和執筆
・シャボン玉実験中間報告
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出  1:50
日の入  22:28
<気象情報>
平均気温-6.9℃
最高気温-3.6℃(2226) 最低気温-11.9℃(0355)
平均風速3.6m/s
最大平均風速11.9m/s風向ENE(2250) 最大瞬間風速22.8m/s風向E(2349)
日照時間 18.7時間

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アザラシの子どもはあっという間に大きくなってしまうと聞いていたけれど、1ヶ月もしないうちにこんなに大きくなるのですね。
短期間にこんなに成長するアザラシに乳をあげるのだから、母親はどれだけエサを食べるのだろうと思います。

さて、はじめて海に入ったあかちゃんアザラシ。
生まれてから何日目くらいのあかちゃんなのでしょう?
こんなに小さなうちから海に入ったら寒いのではないか?疲れて溺れてしまいはしないか?と心配になるけれど、海氷下は-2℃でほぼ一定だし、アザラシは皮下脂肪が厚くて浮くのは苦労がいらないらしいのです。
きっと、海氷上では小さなデコボコを乗り越えるのにも苦労したあかちゃんアザラシも、海の中では自由に体が動いて快適だったに違いありません。
母親は授乳期には夜に300m以上もの潜水を繰り返しながらエサをとりますが、昼間は浅い潜水をしていることがデータロガー研究から分かっているのだそうです。
その浅い潜水は子どもの泳ぎの練習に付き合っている様子が、母アザラシに装着した静止画像ロガーに写っていることで、確認されたということでした。
このあかちゃんが300mも潜れるようになるのはいつぐらいで、エサを捕れるようになるのはいつぐらいなのかな?

それにしても、はじめて海に入るところを見ることができたというのは、すごいことじゃないかな?
いやいや、実は昭和基地周辺にはアデリーペンギンと同じ数くらいのウェッデルアザラシ(およそ3000頭)がいるそうなので狙っていけばそうでもないのかな?

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