一般的な抗がん剤での治療は副作用が大きいですよね。
化学療法を長年受けてきた父を見て、また自分自身も
二度の化学療法を受けて、「がん細胞を叩くためには
辛い副作用にも耐えなければならない」という考えが
なんだか当たり前のようにアタマの中にあります。
でも10年、20年、30年後には、がん治療は
そんなに辛いものではなくなってるかもしれない。。。
な~んて期待をしているのですが。。。
その理由は、近年患者由来のがん細胞の染色体や
タンパク質発現などの解析が進んでいて、それにより
バイオマーカーや標的因子が同定されて、副作用が
少ないであろう分子標的治療薬の開発がどんどん
進んでいくだろから(お願いします~)。
乳癌の分子標的治療薬としては、エストロゲン受容体を
標的にしたタモキシフェン、HER2受容体を標的にした
ハーセプチンがありますよね。ハーセプチンは抗体薬で、
細胞表面にあるHER2受容体をブロックして、増殖因子が
HER2受容体にくっつくのを防ぎます。一方、エストロゲン
受容体は細胞の中にある受容体で、エストロゲンと結合
した際に細胞の核へ運ばれます。タモキシフェンは受容体
にエストロゲンと競合的に結合して、これを防ぎます。
で、今回このちょっと希望が持てる研究論文の中で注目
している分子がエストロゲン受容体のような核内受容体で、
PPAR-δ (PPARデルタ)というものなんです。
A Comprehensive Nuclear Receptor Network for Breast Cancer Cells
概要
PDF
PPARデルタはペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体の
一種で、調べてみると結構面白い作用がある分子です。
脂肪燃焼、肥満抑制、筋力強化などに関与しているそうで。
参考:遺伝子操作で筋力増強―通常の2倍の距離を走り
しかししかしこの分子、悪さをする反面もあるようです。
この論文の中で私が面白いと思ったのは、図6で示されてる
乳癌患者の生存率とPPARデルタの発現量の関係。PPAR
デルタが少しでも癌細胞に発現していると、患者の生存率
が20-30%下がっているんです(こわっ)。そして
PPARデルタの活性化により誘導される遺伝子の発現が
高い患者ほど生存率が下がっています。
これから色々と実験が行われていくでしょうが、PPARデルタ
が乳癌の増殖に関係しているのは間違いないでしょうねぇ。
論文では、培養乳癌細胞の増殖がPPARデルタ阻害剤を
加えた時には抑制され、PPARデルタ活性剤を加えた時には
促進されるという実験結果が出されています。
ということで、予後の悪いPPARデルタポジティブの乳癌
に、抗PPARデルタ治療薬が使える日が来るかもしれない!
私のがん細胞はPPARデルタが発現しているんだろうか。。。
気になるところです。発現してると予後が悪いので、発現
してないことを願います!でももし発現していて、再発
しちゃったら。。。その時までには抗PPARデルタ治療薬が
開発されていることを願っています。。。
化学療法を長年受けてきた父を見て、また自分自身も
二度の化学療法を受けて、「がん細胞を叩くためには
辛い副作用にも耐えなければならない」という考えが
なんだか当たり前のようにアタマの中にあります。
でも10年、20年、30年後には、がん治療は
そんなに辛いものではなくなってるかもしれない。。。
な~んて期待をしているのですが。。。
その理由は、近年患者由来のがん細胞の染色体や
タンパク質発現などの解析が進んでいて、それにより
バイオマーカーや標的因子が同定されて、副作用が
少ないであろう分子標的治療薬の開発がどんどん
進んでいくだろから(お願いします~)。
乳癌の分子標的治療薬としては、エストロゲン受容体を
標的にしたタモキシフェン、HER2受容体を標的にした
ハーセプチンがありますよね。ハーセプチンは抗体薬で、
細胞表面にあるHER2受容体をブロックして、増殖因子が
HER2受容体にくっつくのを防ぎます。一方、エストロゲン
受容体は細胞の中にある受容体で、エストロゲンと結合
した際に細胞の核へ運ばれます。タモキシフェンは受容体
にエストロゲンと競合的に結合して、これを防ぎます。
で、今回このちょっと希望が持てる研究論文の中で注目
している分子がエストロゲン受容体のような核内受容体で、
PPAR-δ (PPARデルタ)というものなんです。
A Comprehensive Nuclear Receptor Network for Breast Cancer Cells
概要
PPARデルタはペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体の
一種で、調べてみると結構面白い作用がある分子です。
脂肪燃焼、肥満抑制、筋力強化などに関与しているそうで。
参考:遺伝子操作で筋力増強―通常の2倍の距離を走り
しかししかしこの分子、悪さをする反面もあるようです。
この論文の中で私が面白いと思ったのは、図6で示されてる
乳癌患者の生存率とPPARデルタの発現量の関係。PPAR
デルタが少しでも癌細胞に発現していると、患者の生存率
が20-30%下がっているんです(こわっ)。そして
PPARデルタの活性化により誘導される遺伝子の発現が
高い患者ほど生存率が下がっています。
これから色々と実験が行われていくでしょうが、PPARデルタ
が乳癌の増殖に関係しているのは間違いないでしょうねぇ。
論文では、培養乳癌細胞の増殖がPPARデルタ阻害剤を
加えた時には抑制され、PPARデルタ活性剤を加えた時には
促進されるという実験結果が出されています。
ということで、予後の悪いPPARデルタポジティブの乳癌
に、抗PPARデルタ治療薬が使える日が来るかもしれない!
私のがん細胞はPPARデルタが発現しているんだろうか。。。
気になるところです。発現してると予後が悪いので、発現
してないことを願います!でももし発現していて、再発
しちゃったら。。。その時までには抗PPARデルタ治療薬が
開発されていることを願っています。。。
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