株式会社 mmbi と NTT ドコモは2月16日に六本木ヒルズで発表会を行い、スマートフォン向け放送局「NOTTV(ノッティーヴィー)」の本放送を4月1日に開始すると発表した。また、「NOTTV」の受信に対応したスマートフォン「AQUOS PHONE SH-06D」とタブレット端末「MEDIAS TAB N-06D」を同時に発表。予約受付を開始した。
スマホ向け放送局「NOTTV」がもたらす“新しい放送”の形、その全貌が明らかに
● 地上アナログ放送の周波数を利用し、高品質な映像?コンテンツを提供
「NOTTV」は、日本初となるスマートフォン、タブレット端末専用の放送局で、2010年7月(東北地方の一部は2012年3月末)で放送を終了した地上アナログ放送に使用していた周波数帯を利用する「V-High マルチメディア放送」の基幹放送事業者として、開局に向けたインフラの整備、番組編成など準備を進めている。
「NOTTV」の特徴のひとつは、ワンセグなどと比べて高画質の放送が楽しめるという点だ。ワンセグ放送の画角が320×240(QVGA)だったのに対して、「NOTTV」は720×480(VGA+)と画面サイズが大型化する。また、フレームレート(1秒あたりのコマ数)はワンセグの倍となる30fps となり、ワンセグの約10倍となる高画質な映像を楽しむことができるという。
また、ネットに繋がったスマートフォン、タブレット端末だからできる機能として、番組視聴と Twitter、Facebook など SNS と連携して視聴者同士のコミュニケーションを楽しむことができるのも特徴のひとつだ。例えば、スポーツ中継やミュージックビデオ、ライブの生放送などを視聴しているときなどは、映像を見ながらファン同士の交流をリアルタイムで楽しめるようになる。
スマホ向け放送局「NOTTV」がもたらす“新しい放送”の形、その全貌が明らかに
そして、最大の特徴が、従来のテレビと同様の時間軸で番組が放送される「リアルタイム型放送」と、電子書籍、動画、音楽、デジタルコンテンツなどが視聴者の好みに合わせて自動的に端末に保存され、いつでも楽しむことができるコンテンツ「蓄積型放送」を組み合わせた放送を展開するということだ。例えば、気になるアーティストの新着ミュージックビデオや前日のニュースのダイジェストなどのコンテンツが時間を気にせずいつでも視聴できるのは、”すきま時間”を活用したいビジネスパーソンなどにとっては便利だと言えよう。
発表会の会場に展示されていたデモ端末を試してみたが、視聴専用アプリの操作性は非常に簡単で、フリックでリアルタイム放送のチャンネル切り替えが行えたり、番組表や視聴可能な蓄積型放送のコンテンツへのアクセスもワンボタンで行うことができる。視聴可能なコンテンツは一覧から選択することができるので、膨大な視聴可能コンテンツについ目移りしてしまうほどだ。
スマホ向け放送局「NOTTV」がもたらす“新しい放送”の形、その全貌が明らかに
「AQUOS PHONE SH-06D」を使用して番組を視聴したところ、表示された映像をフルスクリーン表示させても画面にワンセグ視聴時に見られたような粗さは一切なく、またネットのストリーミング放送にありがちな”カクカク感”もない。そして、視聴中の SNS 連携も簡単でボタンひとつでタイムラインを表示し、投稿することが可能だった。シンプルな操作で様々な楽しみが体験できるのが、「NOTTV」の特徴だと言えよう。
スマホ向け放送局「NOTTV」がもたらす“新しい放送”の形、その全貌が明らかに
● 価格は月額420円 リアルタイム放送の番組ラインナップも発表
発表会では、株式会社 mmbi の二木治成 代表取締役社長、小牧次郎 常務取締役、そしてNTT ドコモの丸山誠治 プロダクト本部長から4月1日に開始する本放送の概要と対応端末についてプレゼンテーションが行われた。
二木氏は、「NOTTV」のコンセプトについて”モバイル?スマート TV”と定義。視聴者が100%オンラインの状態にある利点を活かして、双方向性の高い番組の提供や、視聴者同士が繋がる楽しみ、そして常に手元にあるスマートフォンならではの速報性や即時性を重視したコンテンツ展開をしていくとしている。
チャンネル編成は「3チャンネル+蓄積型放送」という構成で、1チャンネルはニュース専門チャンネルとして24時間リアルタイムでニュース番組を放送する。また、災害時の緊急放送への対応については、同社は特に重視しており、緊急地震速報の放送や、災害時のニュース番組の拡大放送などの体制を準備しているという。小牧氏は、東日本大震災の際に情報を求める人々によって通信インフラがひっ迫したことを振り返り、「NOTTV は”通信”ではなく”放送”なので、放送電波が届けば必ず視聴できる。災害時の情報ニーズに貢献したい」と語る。
スマホ向け放送局「NOTTV」がもたらす“新しい放送”の形、その全貌が明らかに
4月から始まるレギュラー放送の内容について小牧氏は、「生放送」「ニュース」「オリジナリティ」「音楽」「BS?CS 放送との連携」「調達番組の日本初放送」などいくつかのキーワードを挙げた。
「生放送」については、1週間の放送時間のうち284時間を生放送で展開。なかでも日中のワイド番組として放送する「notty★LIVE」は7時間という大型生放送番組で、出演者も押切もえさん、磯山さやかさん、加藤夏希さんなど豪華な顔ぶれだ。発表会にゲストとして登場した押切もえさんは「コスメ、ビューティなど同世代の女性が気になる情報を届けたい」と抱負をコメント。番組中は様々な場所からの中継コーナーも展開する予定で、中継にはドコモの次世代通信サービス「Xi」を使った中継システムを活用するという。
そのほか、ニュースの24時間放送では CS 放送の「TBS ニュースバード」(4月~10月)と「日テレニュース24」(11月~3月)が番組を提供。新着ニュースはスマートフォンのウィジェットに随時表示され、すぐにニュースが視聴できるようになる。また、週末には2チャンネルを利用し J リーグ(J1)の最大5試合同時生放送を実施するという。オリジナルコンテンツとしては、フジテレビドラマ制作センターと共同でオリジナル連続ドラマを制作。また、ソーシャルメディアと連携した視聴者参加型トーク番組やラジオ番組と連動したコンテンツも展開する予定だという。
「音楽」や「アニメ」などのコンテンツも充実しており、ミュージックビデオを放送する番組は1日3時間以上展開。韓国などアジア各国の人気音楽番組も放送するほか、音楽ライブなどの生放送も行うという。また、アニメーションについては「NOTTV」で日本初放送となるコンテンツも用意しているそうだ。
放送カバーエリアは、2012年4月の時点では南関東、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、福岡、沖縄となっているが、2012年度中には全国主要都市までカバーするという。また丸山氏によると、対応端末については今回発表されたスマートフォン「AQUOS PHONE SH-06D」とタブレット端末「MEDIAS TAB N-06D」に加え、2012年上期に新たに5機種をラインナップする予定だという。そして、3月からは「NOTTV」を無料で体験できる端末貸出キャンペーンを展開するとしている。
スマホ向け放送局「NOTTV」がもたらす“新しい放送”の形、その全貌が明らかに
3月に開始されるテスト放送を経て4月1日に本放送を開始する「NOTTV」は、月額420円。2012年で100万会員、2015年までに500万会員を目指しているという。申込はドコモショップや対応端末にインストールされたアプリから行うことができる。