中学校国語教師のだらだらブログ

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レモン哀歌

2017-02-24 08:18:05 | 国語授業
中学三年 詩 レモン哀歌


「レモン哀歌」 高村光太郎
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
私の手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関ははそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう



この詩、大好きなんです。

普通、妻の死って言ったら夫にとってはどん底の悲しみじゃないですか。

一緒に自分も死んでしまいたいとか、そんな感じになるじゃないですか。

でも、この死にはそれを感じない。

なんて爽やかな詩なんだろう。



でも、だからといって、愛情がなかったとも全然思わないんですよね。

それどころか、愛して止まなかったんだろうなって感じるんです。

きっと、妻との思い出を暗く悲しいものとして記憶したくない。

妻が生きていた時の、爽やかで瑞々しいあの気持ちをずっと感じていたい。

そんな思いをレモンに託したんだろうなぁ…

なんて感じました。



切なさと爽やかさ

一見矛盾するものが1つの詩の中で手を取りあって存在している

それが、僕がこの詩読んで感じた魅力です。



あまり詩について詳しくはないけれど、授業でこの感動を伝えられたらいいなぁー。





国語的な話を。

そんな、題材とは一見矛盾するイメージを読者に与える仕掛けが2つ。
1つ目は色彩イメージ
2つ目は象徴


色彩イメージについて
この作品では、色を連想させる言葉が多く用いられています。

床=白
きれいな歯=白
レモン=黄色
香気=トパァズ色(宝石のようにきらめく色)
天のものなるレモンの汁=金色
澄んだ眼=青
山巓=緑
桜=ピンク

どの色も爽やかで明るい色です。

これらの色を意図的に用いることで、読み手に明るいイメージを持たせています。



象徴について

言うまでもなく、この詩のキーワードはレモンです。

この詩においてレモンは爽やかで瑞々しい果物としての意味だけではなく、

・智恵子の意識を正常に戻し、浄化する神聖なもの
・亡き妻の写真の前に毎日供える、愛の証

の象徴として描かれています。

このようなレモンを詩の中心に据えていることで、死さえも神聖で愛の証なのだと話者に感じさせます。



これら2つのことを表現技法や言葉に着目させながら深めていくことが、授業の中心になるでしょう。

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