2013年6月 東京クヮルテット 引退のお知らせ
世界屈指の弦楽四重奏団として国際的に高い評価を受ける東京クヮルテットが、来年2013年6月(2012-2013シーズン終了時)をもって、引退することが発表されました。
昨年11月、創設メンバーの磯村和英(ヴィオラ)と、1974年に入団した池田菊衛(第2ヴァイオリン)の両名が、同団から引退することを発表しておりましたが、新メンバーを加えることなく、東京クヮルテットはその輝かしい活動に終止符を打つことになりました。
東京クヮルテットは、1969年創設。翌年のミュンヘン国際コンクールで優勝して以来、世界最高峰の弦楽四重奏団としてメンバー交代をしながらも、40年以上にわたり世界各地の聴衆を魅了してきました。同団は、欧米を中心とする演奏活動の傍ら、教育活動にも積極的に取り組んでおり、1977年以来米国イェール大学音楽部にてアーチスト・イン・レジデンスとして後進の指導に当たっています。
日本では、今年7月にレジデンス・クヮルテットを務める王子ホールで公演を行う他、パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)に参加し、後進の指導を行う予定です。また、最後のシーズンとなる2013年5月には“東京クヮルテット引退ツアー”を行います。
世界的に活動する日本人音楽家の先駆けとして、我々に多くの喜びと感動を伝え続けてくれた東京クヮルテット。
最後のシーズンまで、引き続きご注目いただきますようお願い申し上げます。
◇教鞭をとるイェール大学からのリリースはこちらをご参照ください。
http://music.yale.edu/news/?p=6886
日本ツアー!
松本ではピアノの清水和音さんとシューマンを熱演しました。
その後、紀尾井ホール、フィリアホール、王子ホール、そして昨日、トッパンホールでこのツアーを締めくくりました。

2007年2月13日ツアーレポート
リハーサル時間が時差のピーク。メンバー各氏、眠れない夜と戦いながら、すでに5日。時には3週間目にやっと時差が調整されるというのですから世界を飛び回る音楽家は本当に大変です。
でも、ステージではいつも最高のテンションに調整されるのには、本当に驚きます。久々の香港公演。今日もラズモフスキーは最高!
翌日14日、いよいよ東京へ向けて出発!
●バックステージから
この時計、いいでしょ!

磯村氏”楽屋覗かないでよ~!”

池田氏”この時間が一番つらいんだよな~”

背後になぞの幽霊が???

クライヴ”おなかすいたな。今晩なに食べる?”池田”そりゃあ中華に決まってるだろう!”

本番は最高!

●香港の新空港にて
金の豚は幸運を連れてくる。さようなら、香港!

by Y
2007年2月12日 ツアーレポート
広東料理を大いに堪能しました。
●香港の新空港はとっても快適。クライヴ&マーティン、シャトル・モノレールにまっしぐら。

●主催者との夕食会」磯村氏”この魚、誰かに似てない?”

●外国人は残酷!”おまえたちを食べちゃうぞ~!!”


●豚の丸焼き&鳥の丸焼き/中国人は丸ごと食べる。丸焼きだらけ・・・。

by Y
2007年2月11日 クライブ便りVol.18 ソウルより
昨日は時差ボケになる余裕すらなかった。周りの人たちが皆さっさと眠りに落ちてしまった中で、自分だけが目がさえて眠れないというフラストレーションに対応するには最上の戦略にちがいない。僕達は韓国のハーピスト、ジョン・クァックとのすてきな再会を喜び合い、ほとんど1日中リハーサルをし、その後ソウルにオフィスを構えるヴァイオリン取り扱い業者のクリストフ・ランドンと会った。全く違う環境で信頼する親しい友人に会うのは、何かとても安心感を覚えるものだ。それにこの韓国で北欧の男であるクリストフと一緒にいると、何だか妙に連帯感を感じた。ここの居心地が悪いとかそういうことでは全くない。ソウルの人々のもてなしの心と寛大さは格別だ。
今夜はソウル・アーツ・センターで公演がある。前回の東京クヮルテットの2004年の公演の前にも僕は90年代に何度か演奏しており、良く知っている会場だ。
良い演奏をするエネルギーが充分残っていることを祈ろう。
by Clive Greensmith
2007年2月11日 ツアーレポート
注目の公演なだけに、演奏会の模様は、KBS放送でライブ放映されました。
by Y
*男前な4人、ソウルアーツセンター前にて

*カメラ・リハーサル/ソウル・アーツ・センターにて

2007年2月9日 アジアツアー開始!
今回のツアーでは、ソウル、香港、東京にて、韓国を代表するハーピスト、ジョン・クヮック嬢と共演します。
翌日10日は10時過ぎから共演者のジョン・クヮック嬢とのリハーサル。
昼食後取材を受けて、またリハーサルというハードスケジュール。
では楽しいアジアの旅の始まりです!
*富裕層の定期購読誌、 NOBLESS の取材を受ける東京Q&クヮック嬢

*クヮック嬢のスタジオはハープでいっぱい!

*ここにも!

*ソウルのカメラマン、腕は抜群!リクエストも多い・・・

2007年2月4日 クライブ便りVol.14
今日は、ベートーヴェンの3つの弦楽四重奏曲のレコーディングに予定された4日間の最初の日だ。この仕事に取り組むのに、これ以上快適な場所は考えられない。これを書きながら僕はマルコム・ビルソンを聴いている。偉大なアメリカ人ピアニストで、18世紀末から19世紀初頭のウィーンの鍵盤楽器の文献を研究し当時の楽器を使って演奏することを専門にしている。
僕は今このすばらしい音楽家をもっと知るという任務についている。15年前に初めて彼の演奏の録音を聞いたのは、やはり僕の好きな偉大なるオランダ人チェリスト、アンナー・ビルスマとのベートーヴェンのチェロ・ソナタだった。おそらく僕は今回のレコーディング・セッションにふさわしい心構えになるようにと、マルコム・ビルソンが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタを持ってきたのだろう。その多種多様な音色、音の変化、仰天すべきリズムの活力を備えた彼のベートーヴェンが、なんと清新で自然に聴こえることか、感銘を受けずにいられない。僕にとって、これが空虚にも陳腐にもならない適切な緊迫感とドラマティックな感覚のベートーヴェンなのだ。弦楽四重奏曲の僕のチェロ演奏が彼の左手のように聞こえたらなら、本当に僕は嬉しい!
今日収録したのは弦楽四重奏曲ト長調Op.18の第2番。魅力的な曲で僕は飽きることがないが、幸いにも僕達は十分うまくやったので、午後も遅くなった頃には弓を置いて今日は上がりとすることができた。レコーディングは好きだ。できるだけ自然に聞こえるように努力しつつ、信じられないほど細かなディテールにこだわって演奏しなければならないから。僕達のプロデューサーであるハルモニア・ムンディのロビーナ・ヤングは、演奏に邪魔になることは決してせずに僕達ができるだけ情熱的に演奏できるよう鼓舞してくれるので、とてもいい。ダメ出しはしても常に肯定的な言い方で、共に仕事をするのは楽しい。
レコーディングにはよく面白い発見があったりするものだ。歓迎すべきものもあり、ちょっと不安になるものもある!今日の午後、僕は第二楽章のアダージョ・カンタービレで目からうろこの新しいものを耳にした。長年ここは甘美にビロードのような音でビヴラートをたっぷり効かせて弾いてきたけれど、この楽章は僕がそれまで認識していたよりも、むしろハイドンのすばらしい成熟した緩徐楽章に似通った、全く別の音楽的美学を持っているのかもしれないと理解したのだ。僕にとってこの音楽には、演奏者から非常に繊細な音色の範囲を必要とするある種の情緒の清らかさがある。この20~21世紀から俯瞰すると、僕達は弦楽器を一定の方法で演奏すべく習慣づけられてきたのだと僕は考え始めている。“カンタービレ”と書いてあればほとんどの場合、できるだけ甘美に歌うようにし、ビヴラートを絶やさないたっぷり保ったフレーズが正しい音楽的効果を生むだろうと考える。もちろんこれはすべて極めて主観的なことで、聴くほうにはひとりひとり違って聞こえているだろう。でも、僕はベートーヴェンの意図したものにできるだけ近づくことこそが演奏家としての責務だと思う。そして、何があろうとも探求をいとわず、作品の核心にあるものを発見するために十分力を尽くしたかと自問しなければならないのだ。僕はよく、自分が音楽における考古学の探検隊の一員のように感じることがあり、とても満足感を覚える。明日は何を発見するのだろうか?
by Clive Greensmith
2007年1月31日 クライブ便りVol.12
トロントとニューヨークでの公演というきわめて多事な数日間を過ごして、また家に帰ってきた。今回もロベルト・シューマンの音楽が中心。というのも、僕達はこの作曲家の没後150周年を記念する公演を続けているから。前回のブログでトロント公演のゲスト・ピアニスト、マルクス・グローについて触れたけれど、改めて言いたい。こんなにすばらしい新しい仕事仲間を見つけたことに僕達がどんなに興奮したことか。シューマンのピアノ四重奏における彼の演奏は繊細で深い芸術性があるため、僕達は皆ピアノに食われてしまうことを恐れることなく様々なニュアンスを駆使して弾くことができた。彼の音色はとても魅力的でフレージングは表情豊かで無理がない。マルクスは激しい表現力を持っているが、決して表面的なわざとらしいところがない。彼には最も気高くロマンティックな情操を捉えることができるらしい。また仕事を共にして楽しく、心が広く、柔軟で、常に注意深い。チェリストとして僕には彼の左手と重奏するすばらしい時があったが、かなりの間ひとつの楽器のようにぴったりだと感じた。木曜の夜の演目は、ピアノ四重奏を挟んで前後に弦楽四重奏という、かなりチャレンジングなものだった。実際、僕の集中力のすべてを出しきる必要があり、ちょっとマラソン大会のようだった。午前中に1時間以上リハーサルし、午後にホテルの部屋で練習し、その後ゲネプロで1時間半近くもやると、本番になるまでにもうかなり疲れてしまっている。その日の経験で、僕はエネルギーの保存と本番のために気持ちをフレッシュに保っておく必要性について考えさせられた。ひとつこれはうまくいったと言えるのは、シューマンのピアノ四重奏の3楽章の、あのオクターヴのBフラットだ。コンサート終了後ホテルに戻ると、東京クヮルテットの前の第一ヴァイオリニストだったピーター・ウンジャンが突然訪ねて来てくれた。ピーターに会えるのはいつも特別な喜びだ。彼は僕が思いつく最もカリスマ的な音楽家のひとりであり、彼がいると部屋がぱっと明るくなる気がする。
土曜日には、僕達のニューヨーク・シティに於ける正式な音楽の故郷、92番ストリートYで演奏した。聴衆はどんどん増えて熱心になってきているので、毎シーズン3回あそこに行って舞台に立てるのは特別な喜びだ。レジデント弦楽四重奏団として僕達の前に演奏したのがあの有名なブダペスト・カルテットだと知ったのは恐れ多いことである。
by Clive Greensmith
「ラズモフスキー」来日記念盤発売(日本国内盤)
熟成の極み、調和の芸術。
12年ぶりのベートーヴェンを今─
ベートーヴェン:「ラズモフスキー」四重奏曲集
[CD1]
①弦楽四重奏曲第7番op.59-1(ラズモフスキー第1番)
②同第8番op.59-2(ラズモフスキー第2番)
[CD2]
弦楽四重奏曲第9番op.59-3(ラズモフスキー第3番)
東京クヮルテット
〔マーティン・ビーヴァー(Vn) 池田菊衛(Vn) 磯村和英(Vla) クライヴ・グリーンスミス(Vc)〕
録音:2005年4月26-29日
KDC 5017(2CD) 国内盤仕様*日本語帯、解説つき*
1月18日発売 オープン価格
<HARMONIAMUNDI>キングインターナショナル
★2007年2月に東京クヮルテットが来日します。2002年にメンバーとして加わったマーティン・ビーヴァーのいるクヮルテットとしては、2006年のPMF音楽祭が初の来日でしたが、クヮルテットとしてのツアーは今回が初めて。しかもプログラムはベートーヴェンとくれば、室内楽ファンのみならず音楽ファンとして黙ってはいられないというもの。今回、直輸入盤としては2005年の12月にリリースされたラズモフスキーのCDを、来日記念盤として日本国内盤仕様で再上程。円熟の極みにある東京クヮルテットの「今」をおたのしみください。
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