いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

大統領選挙と内向きのアメリカ・・・共和党も実は内心、トランプ氏を支持しているのではないでしょうか。

2016年11月07日 01時18分15秒 | 日記

 アメリカの大統領選挙が11月8日に迫りました。
 しかし、まさか、トランプ氏が、そのまま共和党の候
補としてここまで来るとは思いませんでした。

 初めに、いくつか、感想を簡単に書きます
 続いて、その感想を詳しく書きます。

 まず第一は、共和党が、なすすべもなく、トランプ氏
を共和党の正式候補にしてしまったことに驚きます。
 トランプ氏が快進撃を始めたとき、共和党の中から、
事態を危ぶむ声が出ました。しかし、声が出ただけで、
共和党は、トランプ氏に代わる候補者を立てようとはし
ませんでした。

 第二に、トランプ氏が、なぜ、いけないのか?という
ことです。トランプ氏がアメリカの大統領になったら、
世界は、いったい、どういうことになってしまうでしょ
うか。
 簡単に言えば、トランプ氏は、思いつきを発言してい
るだけなのです。トランプ氏は、居酒屋で、いや、アメ
リカですから、バーで、仕事帰りに憂さをはらして、あ
れこれ好き勝手に言っているようなものです。バーでの
憂さ晴らしですから、発言に対する責任や、発言が周囲
に与える影響など、まったく考えもしません。

 第三は、民主党のヒラリー・クリントン氏です。
 ヒラリー・クリントン候補は、夫のビル・クリントン
大統領のとき、ワシントンで政治に携わりました。その
後、大統領選でオバマ大統領と争い、敗れます。しかし、
オバマ大統領の要請で、オバマ政権の国務相となって外
交を担当しました。
 一言で言えば、ワシントンの住人、プロの政治家にな
ってしまったのです。
 今回の大統領選挙でも、ヒラリー・クリントン氏の言
動を見ていると、見るからに、プロの政治家という空気
がにじみ出てしまいます。
 新鮮な感じがまったくないのです。
 これでは、なかなか、国民の共感を得られないでしょう。

 NHKのニュースで、アメリカの国民に今回の選挙の
感想を尋ねていました。
 そのうちのひとりの声が、的を射ていました。
 彼は、こういったのです。
 「アメリカには、2億8000万人も住んでいるとい
うのに、なんで、こんな候補者(クリントン氏とトラン
プ氏)しか出せないんだろう。悲しくなるよ」
 と。
 この言葉は、アメリカ人の素直な気持ちでしょう。
 そして、アメリカ以外の国の人にとっても、素直な気
持ちではないでしょうか。

 ひとことで言えば、
 アメリカの知性の衰退
 ということではないかと思います。

 先に述べた感想を、少し、詳しく書いていきます。
 第一に、共和党です。
 共和党は、党内に、早い時期から、トランプ氏が候補
になりそうだ、大丈夫か?という声が出ていました。
 しかし、候補の一番手と見られたブッシュ氏(ブッシ
ュ元大統領の家族です)が選挙戦の序盤で早々と徹底し
ました。
 アメリカの大統領は、ブッシュお父さん(1期)、ビ
ル・クリントン氏(2期)、ブッシュ息子(2期)と続
き、5期連続で、ブッシュ家、クリントン家から大統領
が出ました。オバマ大統領で、ようやく、ブッシュ、ク
リントン家以外の人物が大統領になりました。
 そこへまた、ブッシュか・・・という空気が出て、今
回、ブッシュ氏は、人気を得られませんでした。
 実は、ヒラリー・クリントン氏も、同じことです。ま
たクリントン家か・・・という空気がアメリカにはあり
ます。
 日本から見ていても、ブッシュ家とクリントン家ばか
りで、アメリカには、そんなに人材がいないのかと思っ
てしまいます。
 ブッシュ氏が消え、残ったのは、ルビオ氏、クルーズ
氏といった人たちでしたが、ともに、政策らしい政策を
打ち出せませんでした。それどころか、トランプ氏から
「背が低い」だのなんだのと個人攻撃を受け、当意即妙
に切り返すことも出来ず、おたおたするばかりでした。
簡単に言えば、トランプ氏のパワーにうろたえるだけだ
ったのです。
2億8000万人も住んでいてこんな候補しかいない
のかという、アメリカの国民の声が、そのまま当てはま
りそうな共和党の状況でした。

 終盤になって、トランプ氏は、過去の女性問題を暴露
され、苦境に立ちました。
 共和党の内部でも、トランプ氏を支援しないという有
力者が続々現れました。
 しかし、です。
 しかし、それでも、共和党は、トランプ氏に代わる候
補者を出せないままでした。
 結局のところ、共和党も、口だけだったのです。

 なぜ共和党がトランプ氏の独走を許してしまったの
か。なぜ、トランプ氏に代わる候補者を出せなかったの
か。
 それを考えると、ほかならぬ共和党が、実は、トラン
プ氏を候補者として出してみたかったのではないかと言
えるかもしれません。
 
 トランプ氏の言動は、基本的には、冒頭に書いたよう
に、仕事帰りのバーでの憂さ晴らしです。ご本人には申
し訳ない言い方ですが、彼の言っていることは、アメリ
カ人の憂さ晴らしのようなものです。
バーでの憂さ晴らしですから、「そうだ、そうだ」と
気軽に同調する人が多いのです。

 共和党ともあろう大政党が、その気になれば、トラン
プ氏に代わる候補者を出せなかったはずがありません。
 しかし、共和党は、何人かの上院議員、下院議員が「ト
ランプを支持するわけにはいかない」と言ってみせるだ
けで、ついに、党として、候補者を差し替えるという行
動には出ませんでした。
 
 どうしてでしょうか。
 あえて言うなら、共和党も、トランプ候補の言うこと
に、どこか、賛成しているのだと思います。
共和党も、トランプ候補の憂さ晴らしを、「そうだ、
そうだ」と喜んでいるのではないかと思います。

 共和党が、内心、トランプ候補を支持しているとすれ
ば、今度の大統領選挙、トランプ候補が当選してもおか
しくありません。

第二は、トランプ候補がアメリカの大統領になったら
なぜよくないか、ということです。
 トランプ氏は、口の悪さや、品のなさ、とくに女性に
対する品のなさなどが、問題とされます。
 それは確かに、大きな問題です。
 でも、それは、トランプ氏の個人的な性格なり性癖の
問題です。
 
 しかし、トランプ氏がアメリカの大統領になった場合、
もっと大きな問題が出てきます。
 アメリカという国は、現在の世界における超大国であ
り、世界に与える影響が非常に大きいのです。その大統
領が、自分の思いつきを、バーでの憂さ晴らしのように
して主張すると、世界は混乱してしまうのです。
 これは、アメリカという国を好きか嫌いかということ
とは関係ありません。事実として、アメリカという国は、
世界に最大の影響を与える国だということです。
 最大の影響力を持つ国の大統領が、何も考えず、思い
つきで政策を実行するとすれば、世界はとんでもないこ
とになります。

 選挙戦でトランプ氏が口にしてきた思いつきを挙げて
みましょう。
まず、日本は、駐留米軍の駐留費を払えといいます。
 彼は、在日米軍は、日本を守るために置いているとい
う認識を持っていて、だから、日本は米軍の駐留経費を
払えというのです。しかし、このブログで一度書きまし
たが、アメリカが日本に米軍を置いているのは、太平洋
戦争で日本に勝ったからです。日本に勝ち、日本の動き
を抑えるために、戦後、米軍を日本に置いたのです。在
日米軍は、もともと、アメリカの利益のために置いたの
です。そこの所が分からないアメリカ大統領は、根本的
な所で外交を誤解しています。
 またトランプ氏は、日本や韓国は、自分で自分の国を
守るべきであり、そのためにも、核武装してはどうかと
主張しました。トランプ氏の言い方を敷衍すれば、日本
や韓国だけではなく、世界中の国が核武装せよ、という
ことになります。もし世界中の国が核を持てば、地域紛
争で、核を使用するということがありうるでしょう。そ
うなると、核攻撃の連鎖が起き、人類は危機的な状況を
迎えるかもしれません。
 メキシコとの国境に壁を作るという話も思いつきで
す。国境に壁を建設するというのは、過去にも例があり
ます。中国の万里の長城です。トランプ氏は、現代の万
里の長城を建設しようというわけです。

 この思いつきの根っこにあるのは、アメリカはアメリ
カのことだけを考えたい。だから、各国は、自分のこと
は自分でやってねと、まあ、そういうことです。
 アメリカが内向きになった、あるいは、内向きのアメ
リカ、というのが、そういうことです。

 アメリカが内向きで、世界が苦労したことがあります。
 第二次大戦です。
 第二次大戦は、1939年、ドイツがポーランドに侵
攻して始まりました。ドイツは、フランスにも攻め入り、
瞬く間に、欧州を制圧しました。
 イギリスだけは、ドーバー海峡で隔てられ、ドイツの
侵攻を防ぎました。
 ドイツを止めるには、アメリカの力がどうしても必要
です。
 ところが、当時のアメリカは、非常に内向きの政策を
採っていて、これは欧州の戦争だとして、なかなか参戦
しようとはしなかったのです。
 アメリカという国は豊かですから、国境を閉鎖しても、
アメリカだけで豊かに暮らしていけます。
 だから、もともと、アメリカには、内向きの部分があ
り、それを、モンロー主義と呼んだりします。
欧州からの度重なる要請に、アメリカはようやく腰を
上げて参戦し、ノルマンディー上陸作戦で、連合軍は欧
州大陸に上陸することが出来たのです。

 アメリカというのは、好き嫌いとは関係なく、そうい
う国です。
 戦後も、アメリカは、そういう役割を担ってきました。
 いわゆる「世界の警察」です。
 トランプ氏は、選挙演説で、
 「アメリカは、もう、世界の警察にはなれない」
 と主張していました。

 共和党は、内心、実は、同じように思っているのでは
ないでしょうか。
 なんで、アメリカが世界の警察をしなくてはいけない
のだ。イラクでもアフガニスタンでも、米軍が出ていっ
て、泥沼に巻き込まれてしまった。もう、いやだ。
 共和党にも、たぶん、そう思う人たちが大勢いるのだ
と思います。
 だから、共和党は、内心、トランプ氏を支持したいと
いう空気があるのではないかと思います。

 だとすれば、今度の大統領選挙で、トランプ氏が勝つ
可能性も十分あると思います。

 トランプ大統領が実現すれば、世界は混乱するでしょ
う。
 なにしろ、バーでの憂さ晴らしをそのまま政策として
主張するのですから。
 でも、それが、いま、国内で支持を集めているという
のが、アメリカの現状です。





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