長尾たかしの・・・未来へのメッセージ

自民党衆議院議員長尾たかしのブログ。平成11年からネット上で情報発信を継続。サラリーマン生活を経て政界へ。

生活保護問題・7法案セットで党議である

2012-06-05 19:15:29 | 社会保障・税
久し振りのエントリーとなってしまった。

社会問題となっている生活保護制度のあり方について、政府も世論の盛り上がりを受けて、ようやく動きつつあるのだが、参加する議論の場が非常に居心地が悪い。正直言って、根っこが違うのか、そもそもの前提が違うのか?自分のいるべき場所ではないのではないか?・・・とも考えてしまう。

弱者は救済されるべきであるが、弱者の振りをした怠け者が横行しこれを見逃すどころか、見て見ぬ振りすることで、真の弱者の救済がなされなくなっていることに大変な危機を感じる。特に地方公共団体からは悲鳴を頂いているものの、国は情けない程に鈍感なので、現場の悲鳴をバックボーンにこれでも戦っていく決意。

生活保護問題についての政府の認識は、経済的困窮と社会的孤立の深刻化、受給者過去最高更新、高齢化と若年層の急増、生活保護受給予備軍の存在が上げられているが、この項目に、なんと不正受給についての言及がない。この期に及んでその程度の認識なのである。今後の基準目標は、困窮と孤立からの脱却と貧困裏連鎖の防止、参加と自立(よくわからない)、各人の多様な能力開発向上による社会経済の活性化、「必要な人には支給する」、「給付の適正化」などである。が、必要な人には給付する?・・・んなことは、当たり前である。不正受給に対して認識がない割には、敢えてこんなフレーズを入れている。ということは、不正受給の存在は認識しているが適正化という言葉で逃げている。愕然とするのは、議論の視点。主体性と多様性を尊重し、本人の主体性や自己決定を重視せよという文言が並ぶ。何をかいわんやである。

本人の主体性と多様性を尊重し、主体性や自己決定を重視してしまったことで、おかしな制度になっているのである。

今後の見直しについても、従来からあるレセプトによるチェック強化、就労自立支援プログラムの強化にとどまり、以下、検討事項として、生活保護「脱却インセンティブの強化」、地方自治体の権限、医療機関に対する権限の強化など。某芸人の記者会見で特出しされた、扶養可能なものには扶養義務を果たしてもらうことについても、今後の検討。罰則の強化も検討事項という危機感の欠片もない惨憺たる内容なのである。上記はこれまでに提案された中身の概要なので、部門会議等を通じて必要な概念を盛り込むよう主張する。

生活保護制度は自立が前提。しかし、自立の為には、本人の意識とその受け皿が必要である。本人に意識がなければ自立には繋がらず、受け皿がなければ自立とは言えない。また、仮の話し、70歳以上の自立とは?これはもはや生活保護制度の中で対応するのではなく、別の枠組みで対応するべきではないかと思う。現実には自立は無理という人が相当割合いる。制度の理念を超えている現実がある。

そして、なによりも、生活保護制度は居心地が良すぎる。以前も記したが、言葉を選ばずに記せば、居心地を悪くすることは必要。生活扶助については、現金で支払うのではなく、クーポン等で対応し逆のインセンティブを持たせる。これを質問すると、個人のプライバシーに関わるという答弁が帰ってくる。クーポンでなくとも、地域通貨等での対応は検討するに値すると思う。自立支援施設あるいは、厚生保護施設といったハコモノを公で作ったほうが予算は圧縮できないか?現金での支給を最初の数カ月に限定して、その後は施設に入ってもらうという方法も柔軟に議論するべきと思う。

関連だが、大阪府下の高専賃の入居者の4割は生活保護受給者。業者は医者・介護士も抱えているので生活費のみならず医療費・介護費も使われている。医療費もせめて精神科だけでも徴収できるようにすればずいぶん圧縮できるのではないかというご指摘も頂いた。いや、甘いかっ。診療科目に関わらず、一律1割程度支払って頂くことは大いに検討するべきであると思うのだ。

生活保護の問題だけでなく、今議論している社会保障と税の一体改革議論は、景気対策議論ではない。円高で触れ不況で、更に萎縮する傾向にある限られた分母の中で、分子を効率よく配分しようというもの。分子をいじっても、分母は減るばかり。パイは分母以上に増えない。分母を増やすことこそ必要であり、これが景気対策である。

我が国は、昨年、東日本大震災を経験した。震災に学ぶならば、全国の公共物の耐震化、特に災害時に危難場所になるであろう公共物の耐震化を出口に、公共事業を行うべきである。民主党はコンクリートから人へを謳ったが、コンクリートも人が作っている。私は土木屋の息子故、その思いが強いのだが、必要な公共事業、誰も反対しない公共事業をやるべきと主張している。

亡くなった父がよく言っていた。西日本のコンクリートは弱いと。要はコストを低くする為に、塩分が完全に抜かれぬままコンクリートに混ぜられた海砂利が、ここ数年で剥がれ落ちてきている。コンクリートだけでなく構造上の問題もあるやに聞く。我が国は輸出大国ではあるが輸出依存はGDP対比16%。84%は内需なのである。新成長戦略は大切である。しかし、新しいものを作り上げるにはタイムラグがある。疲弊した日本経済を活性化させるカンフル剤は、耐震化老朽化を掲げたインフラ公共事業ではないか。因に、厚生労働省所管唯一の公共事業は水道管事業。昭和34年前後に埋められた水道管は地震、歪みに弱く、腐食も進み、特に水道管の内側などは衛生状態が良い筈はない。インフラとしては老朽化しすぎている。これを新しい技術を使い公共事業として国の紙幣をここに流すのだ。自民党からは日本強靭化計画と称し法案提出が予定されているが、私はこれに賛成である。

最後に重要なことを記す。

12日を過ぎれば何時採決が行われるかわからないというような緊迫した状態になるであろう。今回一括して審議されている7法案。7法案でワンセットで一体改革の入り口に立てる。「一体であるということが党議」である。「一体でなければ党議ではない」。

よもや、消費税法案だけを成立させて他は否決などというシナリオはないだろうなぁと思うものの、一抹の不安がある。

党議には従うが、党議と違う結論となるならば、誰しも態度は違ってくる。
コメント (20)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする