Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

2009年を振り返る~極私的映画ランキング~

2010-01-06 22:26:44 | cinema
2009年を振り返る~極私的映画ランキング~

恒例の振り返り行事をしてみるのです。
まずは観たリスト~

1「のだめカンタービレ最終楽章 前編」武内英樹
2「アバター」ジェームズ・キャメロン(長文)
3「ファーザー、サン」アレクサンドル・ソクーロフ
4「孤独な声」アレクサンドル・ソクーロフ
5「カティンの森」アンジェイ・ワイダ
6「マラドーナ」エミール・クストリッツァ
7「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」境宗久
8「巴里の屋根の下」ルネ・クレール
9「悪の神々」ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
10「倫敦から来た男」タル・ベーラ
11「出稼ぎ野郎」ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
12「モン・パリ」ジャック・ドゥミ
13「ロシュフォールの恋人たち」ジャック・ドゥミ
14「ぼくら、20世紀の子供たち」ヴィターリ・カネフスキー
15「あなたは私の婿になる」アン・フレッチャー
16「戦場でワルツを」アリ・フォルマン
17「ひとりで生きる」ヴィターリ・カネフスキー
18「バグダッド・カフェ ニューディレクターズカット」パーシー・アドロン
19「2012」ローランド・エメリッヒ
20「動くな、死ね、甦れ!」ヴィターリ・カネフスキー
21「パイレーツ・ロック」リチャード・カーティス
22「パリ・オペラ座のすべて」フレデリック・ワイズマン
23「千年の祈り」ウェイン・ワン
24「ヴィザージュ」ツァイ・ミンリャン
25「脳内ニューヨーク」チャーリー・カウフマン
26「アニエスの浜辺」アニエス・ヴァルダ
27「空気人形」是枝裕和
28「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」ケニー・オルテガ
29「アンナと過ごした4日間」イエジー・スコリモフスキ
30「シェルブールの雨傘」ジャック・ドゥミ
31「ボヴァリー夫人」アレクサンドル・ソクーロフ
32「地下鉄のザジ」ルイ・マル
33「チチカット・フォーリーズ」フレデリック・ワイズマン
34「パリ・ジュテーム」
35「北の橋」ジャック・リヴェット
36「ポンヌフの恋人」レオス・カラックス
37「トリコロール/赤の愛」クシシュトフ・キェシロフスキ
38「トリコロール/白の愛」クシシュトフ・キェシロフスキ
39「ラストタンゴ・イン・パリ」ベルナルド・ベルトルッチ
40「トリコロール/青の愛」クシシュトフ・キェシロフスキ
41「パリ、恋人たちの2日間」ジュリー・デルピー
42「ドリーマーズ」ベルナルド・ベルトルッチ
43「大いなる幻影」ジャン・ルノワール
44「トップ・ハット」マーク・サンドリッチ
45「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」ホウ・シャオシェン
46「オリバー!」キャロル・リード
47「ハリー・ポッターと謎のプリンス」デヴィッド・イェーツ
48「砂時計サナトリウム」ヴォイチェフ・J・ハス
49「アマルフィ 女神の報酬」西谷弘
50「淀川長治物語・神戸篇 サイナラ」大林宣彦
51「バーダー・マインホフ 理想の果てに」ウリ・エデル
52「不安が不安」ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
53「不安は魂を食いつくす」ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
54「四季を売る男」ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
55「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」トラン・アン・ユン
56「逃げ去る恋」フランソワ・トリュフォー
57「家庭」フランソワ・トリュフォー
58「名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)」山本泰一郎
59「フェルディドゥルケ」もしくは「30の扉の鍵」スコリモフスキ
60「夜霧の恋人たち」フランソワ・トリュフォー
61「アントワーヌとコレット」フランソワ・トリュフォー
62「グラン・トリノ」クリント・イーストウッド
63「あこがれ」フランソワ・トリュフォー再観
64「アイム・ノット・ゼア」トッド・ヘインズ
65「ノーカントリー」コーエン兄弟
66「バーン・アフター・リーディング」コーエン兄弟
67「赤い風船」アルベール・ラモリス
68「白い馬」アルベール・ラモリス
69「エレファント・マン」デヴィッド・リンチ
70「赤い影」ニコラス・ローグ
71「チェンジリング」クリント・イーストウッド
72「挑戦」ゲリン+エヘア+エリセ
73「チェ28歳の革命」スティーヴン・ソダーバーグ
74「チェ39歳別れの手紙」スティーヴン・ソダーバーグ
75「サンライズ」F.W.ムルナウ
76「地球に落ちてきた男」ニコラス・ローグ
77「愛の世紀」ジャン=リュック・ゴダール

ふう。。
毎度言うことですが、ワタシの映画鑑賞スタイルは劇場に足繁く通うというよりは、旧作中心にDVDでというものなので、年間公開作のランキングはできません。
なので、新旧作とりまぜてのmanimani脳内限定ランキングをやって喜ぼうという私的企画です。

そのまえに、どんな年だったかふりかえると・・・
●まず、カネフスキー発見の年だったでしょう。大切な心の映画をまた一つリストに加えることができた。
●それから、DVD-BOXの発売により、トリュフォーのドワネルものを観たね。ゴダールやジャック・タチの反映などを感じつつトリュフォーのもつ寂しい幸福感のようなものを感じました。ジャン=ピエール・レオーについては、他にも「ラストタンゴ・イン・パリ」「ドリーマーズ」そして「ヴィザージュ」で出会うことになる。
●同じくDVDにより、ファスビンダーも何本か。初期、中期のどちらかというと地味なものばかりだが、どれもファスビンダー一流の乾いた毒を含む。
●パリにいったので夏ごろはフランスものを選んで観た。ジュリー・デルピーとか。
●前半は「チェ39歳別れの手紙」によりワタシ的チェ・ゲバラブームが起きた。日記や評伝を読んだ。あっさり一過性ブームに終わる・・・
●「砂時計サナトリウム」ヴォイチェフ・J・ハスと20年ぶりくらいに再会した。スコリモフスキもワイダも新作があり、映画ではないですがカントル関連DVDも入手し、キェシロフスキのトリコロール3部作も鑑賞と、ポーランド勢とも縁があり。
イーストウッド新作2作で健在ぶりに感動。ニコラス・ローグ旧作2本再訪で心のふるさと的感覚を覚える。ワイズマン2本。
●東京フィルメックスで映画祭初参戦。まあ「ヴィザージュ」ツァイ・ミンリャン1本だが。
●邦画は6本だけ?映画らしいのは「空気人形」だけ~

きりがないのです。

さて、ランキングですが、今回は悩むなあ・・・



【ベスト5】
第1位:「アニエスの浜辺」アニエス・ヴァルダ
一番観ていてわくわくしたのはこれかな。題材はとても個人的なものなのに、過去へのアプローチの様々な変奏によって、映画としての普遍性を得ていると思う。ドキュメンタリとだけくくってしまうのは惜しい。「過去」とはなにかという映画。

第2位:「動くな、死ね、甦れ!」ヴィターリ・カネフスキー
文句なく大事な映画の発見。本当は「ひとりで生きる」のほうがグッときたのだけれど、あの作品もこちらがなければ存在しなかったということで。ロシア極東で子供であることとは。その境遇にもかかわらず受け継がれる人間的強度。

第3位:「シェルブールの雨傘」ジャック・ドゥミ
映画において全編を台詞を含め歌と音楽で進める野心的な試みは、オペラ作品の映画化などでもみられるのだろうけれど、なかなかに困難な技だろう。この作品でも必ずしもその試みが成功しているとはいえないが、にも関わらず、そうした努力や技巧を超えて、時になり続ける音楽すら聞こえなくなるほどの映画的感動を持つことには成功している。そのことが感動的である。特に泣いたのは、中盤二人の別離シーンで遠ざかる列車とホームに残る彼女の姿のあしらい。

第4位:「グラン・トリノ」クリント・イーストウッド
「チェンジリング」のエンドロールも捨てがたいのだけれど、イーストウッド自身も出演しているしこちらに。一つの価値の全う、というか、全うすることをその一部に含んでいる価値の帰結を描いたという点で、メロドラマとは違う枠組みを示したもので、そういう発想が監督自身の身についている自然なものだとしても、やはりその流されなさには敬意を表せざるを得ないのだ。

第5位:「バグダッド・カフェ ニューディレクターズカット」パーシー・アドロン
悩んだ末にこれに。ことさら優れたとかすばらしいとかは思わないんだけれど、なんだか理屈と違うところで訴えてきたんだよね。泣きゃいいってもんじゃないけど泣かせてくれたし、あの主題歌とともに、観終わったあとの甘酸っぱくも切ない印象は、自分が映画を観始めたころに感じた映画の魅力、その感覚を思い出させるものがあるので。


珍しく新しい映画が2本含まれているな。


【次点のものたち】
と挙げていくとキリがないんですけれど、悩んだものを列挙。
「サンライズ」F.W.ムルナウ
映画はだんだん進歩してよくなっているという考えをあっさり粉砕する黎明期の完成作。路面電車のシークエンスがすばらしく、それはソクーロフ「ファーザー、サン」とも共鳴する。
「砂時計サナトリウム」ヴォイチェフ・J・ハス
心のふるさと系映画で別格なのだけれど、記憶ではもうちょっと映像的詰込みがあったように思ったのに意外と(記憶比)あっさりしていたので残念、という意識で次点へ。
「アンナと過ごした4日間」イエジー・スコリモフスキ
実によい。次点にする理由は特にない。
「倫敦から来た男」タル・ベーラ
実によい。次点にする理由は特にないが、少し寝てしまったので、興奮をもってはまり込むことができていない。また観たい。
「脳内ニューヨーク」チャーリー・カウフマン
これも好きだなあ。迷宮に入り込む前に彼の生活はほとんど迷宮入りだったんだ。その悲しさ。悲しさを彼なりに受け止めるやりかた。

まだあるけど、このへんで。



【審査員特別賞】
「トップ・ハット」マーク・サンドリッチ
やたらと面白かった。なんども手を叩いて笑った。可笑しいときは手を叩くもんなんだな。ジンジャーとフレッドのダンスもいいしね。

今回は「残念でした賞」はなし。そういう意味ではハズレがほとんどなかったかも。
かわりに、

【別格で賞】←ちょっと昭和臭いネーミングでしょw
「カティンの森」アンジェイ・ワイダ
興味があろうがなかろうが、優れていようがなかろうが、明るかろうが暗かろうが、元気が出ようが出まいが、観ない理由はないというくらい別格なものでした。

****

そんなことでした。ああ、なんだかすごく疲れたぞよ。
今年もゆるゆると観ていきたいです。



人気blogランキングへ
↑なにとぞぼちっとオネガイします。
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「のだめカンタービレ最終楽... | トップ | 大里俊晴氏 »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スラブイヤー (かえる)
2010-01-16 22:35:23
このベストは納得な感じっす。
私はシェルブールよりロシュフォール派ですけど。
アニエスは本当にステキでしたー。
そして、「砂時計サナトリウム」のセツはお世話になりましたー。
あの幻想世界を体験できてよかったー。
スラブイヤー? (manimani)
2010-01-16 23:16:15
☆かえるさま☆
コメントありがとうございます。
「砂時計~」は昨年のことだったんですよね。なんだかずいぶん前のことのような気がしています。
ロシュフォールもいいですよね。でもシェルブール。
 (とらねこ)
2010-01-17 22:19:07
これ当初、記事がUPされた時は、最後まで読まず、上の方に書いてあるものがベストの並び順なのかと思って、すごく驚いてしまったのでした
そんなわけは無いのでした。。

ブックマークありがとうございました。まにまにさんのつぶやきを聞いていると、いつも勉強熱心で、なんだか落ち込んでしまうものがありました@去年の年末。
あと、バイオリンを習ったり、とっても優雅で羨ましいです。
 (manimani)
2010-01-18 01:58:02
☆とらねこさま☆
コメ+トラありがとうございます^^
ベスト77、1位はのだめ?!ww
そんなわけはないのでした(笑)
すみませんムダに長くて・・・

で、特に勉強熱心でも優雅でもないのでした^^;とらねこさんのほうがよっぽど勉強熱心でしょうに。
と、お互い思っているのですねww

コメントを投稿