Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「トータル・リコール」レン・ワイズマン

2012-09-17 00:37:26 | cinema
いちおうディックファンを自認していたワタシも
すでにファン歴20年を越すようになり
ディック理解もより深まるかとおもいきや、
記憶力の減退により、読破したはずの小説群も
それぞれどんな話だったかレベルで記憶がやばくなりにけり。

そんな情けない状況なので?というわけでもないんだけど
あまり興味はないと思いつつも、せっかくディックが原作の映画なんだからこれは観ておこうと思い。
思えば「ブレードランナー」も「ペイチェック」も結構楽しんでいるわけで
興味がないというところがきっと間違っているのだ。

ということで、期待せずに観に行った本作ですが、
予想外に楽しみました。

未来の都市の風景は、特に搾取されサイドのほうは
基本的にはブレードランナーが提示したアジア勢力がノシてきた人口過多なスラム的な都市像。
そこに新鮮さはないにしても、そういうエントロピー増大な都市の姿はやはり魅力的なのだ。
好み。

ディックらしい現実感の崩壊感覚も
それほど深くではないけれどちゃんと描かれていて
「おれは誰なんだ?」というまずもってわれわれは直面しないような問いに思い切りダイブする主人公は
存在論的な危機にみまわれつつも
意外にも真摯にめげずに事態に立ち向かい活路を開くという
ディックの主人公らしい二面をちゃんと持ち合わせているのがうれしいです。

途中銀行だったかどこかで追っ手に包囲され
オマエ、これが夢なんだぞ現実にかえってこい、と撹乱されるのですが
(そこで主人公は結果的に正しい選択をするのですが)
欲を言えばそういう撹乱を手を替え品を替えしつこく展開してくれると
さらに嬉しかったなと思うのですが、
まあ映画としてはなんだかマニアックなことになってしまうのかもしれません。

そういうトリッキーな面や
謎解き的に自分の本当のアイデンティティに迫って行くところや
スラムの入り組んだ建築物を利用した体を張ったチェイスや
未来都市らしく空中を滑走する乗り物によるカー?チェイスや
もちろんほんのりとしたラブストーリーや
いろいろな面で楽しませてくれる
よくできた映画だったと思います。

こういうところ「007カジノロワイヤル」(もちろん21世紀版のほうねw)を観た時の印象に通じるような気が
観たときにしました。
ある意味典型的なハリウッドアクション作品なのでしょう。





トータル・リコール (ディック短篇傑作選)
フィリップ・K・ディック
早川書房



原作の方がはるかに面白いよ~といいたいとこですが、
内容はぜんぜん覚えていません!!^^;;




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