Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「父親たちの星条旗」クリント・イーストウッド

2008-12-27 22:19:25 | cinema
父親たちの星条旗 [DVD]

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2006アメリカ
監督:クリント・イーストウッド
製作:スティーヴン・スピルバーグ、クリント・イーストウッド、ロバート・ロレンツ
原作:ジェームズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ
出演:ライアン・フィリップ(ジョン・“ドク”・ブラッドリー)、ジェシー・ブラッドフォード(レイニー・ギャグノン)、アダム・ビーチ(アイラ・ヘイズ)

年末に至り、書く気力がまったく失せてしまったワタシでございます~
が、まあ気張らずに論旨も結句もいいかげんでいいんだよという気持ちで書けばいいんだよなと思い、書いてます。

いや、別に普段からそんなに考えて書いてるわけじゃないんですけどね~

****

『硫黄島からの手紙』が回想場面を除き終始戦場である硫黄島の基地内のシーンであったのに対して、本作では硫黄島での戦いのシーンだけでなく、後日に本国で英雄として祭り上げられる様子にも多くのカットが費やされる。
ほぼ孤立無援の部隊で行われた日本側の戦いが当然「現場」で完結してしまうのに対し、物量を誇る米軍では逆に本国の思惑も戦場のありように影響を及ぼす。例えば、擂鉢山に立てた星条旗もすぐに政治家の横やりが入り後にしかるべき記念品として残るように降ろされる。また、代わりに二度目の旗を立てた時の写真が有名になり、写真に写っていた者のうち3人が英雄に祭り上げられる。彼らは国債購入キャンペーンに利用され、戦場での悲惨な体験とはあまりにかけ離れた本土でのお祭り騒ぎを体験する。

アメリカにとっての太平洋戦争は、資本や政治の平常時の論理と戦場の非常時の悲惨が混濁する戦争だったのだろう。そしてそれは、本土が戦場になることのない優勢な側にのみ可能な混濁だったのだ。

その混濁は冒頭のあるシークエンスで象徴的に示されていた。
照明弾の降りしきるなか岩山を登り、旗を立てる3人を背後から下から追うカメラ。だれもが戦場と思うシーンだが、カメラが山を登りきると山の向こうに広がるのは巨大なスタジアムに満場の観衆の声援。鳴り止まぬ花火。戦場とショウビジネスの同居を象徴的に表すシークエンスだ。
以降映画は、狂騒と悲惨の有様を、本国での「英雄」3人の生き様と、硫黄島での上陸戦の様子とを細かく交差させてみせる。この二つの世界のあまりのギャップに気が遠くなりそうだ。

*****

敗者に映像はない、とは大島渚の弁であるが、この映画も一枚の写真をめぐってアメリカ側から観た戦争の虚実を展開する点で、まさにその言葉を思い出させる。
アメリカの硫黄島が映像の喚起する多様な説話で彩られたとするなら、一方日本の硫黄島は、現場で完結してしまう、イメージを欠いた孤立戦だったのだ。

ラスト近く、ドクの言葉として、
もし彼らを讃えたいのなら、ありのままの姿をみることだ
というようなことを言っていた。
これが最大のメッセージとなるだろう。

戦いを、像ではなく実としてとらえよ。
これは戦争についてのメッセージであるとともに、現代マスメディア論でもある。


ま、こんなとこにしとこう。





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2 コメント

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 (とらねこ)
2009-06-05 00:58:37
こんばんは、manimaniさん★

>この二つの世界のあまりのギャップに気が遠くなりそうだ

いやもー・・・。映画が進むに連れて驚くような事実が分かるところがすごかったですね。

ところで、maniー氏ももう一度是非とも見てみましょうよ♪
そんでそんで、いろいろ語りませうよ、わくわくわく。。
 (manimani)
2009-06-05 08:03:20
☆とらねこさま☆
どうも~
「手紙」にくらべるとこちらのほうが複雑な作品でしたよね。
もう一度観るかな~がんばって。
あまり語れそうにないですけど・・観たら報告しますね。。

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