Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「残酷メルヘン 親指トムの冒険」マリナ・ドゥ・ヴァン

2012-10-21 05:08:49 | cinema
残酷メルヘン親指トムの冒険LE PETIT POUCET
2010フランス
監督:マリナ・ドゥ・ヴァン
原作:シャルル・ペロー
脚本:マリナ・ドゥ・ヴァン、ベルトラン・サンティーニ
出演:ドニ・ラヴァン、アドリアン・ドゥ・ヴァン ほか


もちろんドニ・ラヴァンを観たくてですね。
観に行きましたとも。

映画の印象は、とくにドニが出てくる前までは、
またひとつヨーロッパはチープで偏執的な
B級ダークファンタジーを作ってしまったかという感慨を胸に抱いたのです。
特に蟻とか土を掘る手とか
そういう導入でしたからね。

でもドニが出た瞬間から、雰囲気はちょっと茶目っ気のある民話調に一転。
ドニのせいというよりはまあ映画の雰囲気が全部がらっと変わる。
クスクス笑いながら終盤まで行くよって感じです。

最後はなんなんでしょうねあれは。
前半でトムはあまり虐げられている印象がないので、
最後に君臨してもなんか変な感じで
とってつけた感が濃厚で
チープさに拍車をかけまくって終わるのです。

派手なSFXも豊かな映像美もなく(笑)
実にいい感じに低予算です。
セットはまあ凝っていたかもしれない。


最初に彼らのすむあずま屋をみて
即座に「ノスタルジア」の家を思い出しちゃったのは
個人的な病気だけれど
あの家の造形はなかなかよかったな
セット感は若干あるけど
貧困を絵にしてみましたという感じ。

それと、こういう映画が好きな理由のひとつは
登場人物の顔立ちがこの上なく個性的なのばっかりなところで。
出てくる人がもういちいち面白い顔してるんだよね
こういう顔はまずメジャーな映画では拝めないから。

美形なのは主人公?トムだけ。
まず一家の奥さんがすごい顔をしてますよね~
それにドニ演じる鬼もまあすごいんだけど
鬼の娘たちがまた面白い顔ばっかりで感動する。
鬼の奥方も最初出てきた時デヴィッド・ボウイかと思ったし・・



あとは、顔の濃さに対して演出の方はとても淡白で
過剰な感じを持つのはドニだけで
最後に子供たちがあそこから脱出するシーンなんかは
ふつうなら「わーい」とか「それーっ」とかいって盛り上げるところなのに
まるで普通に部屋のドアを出るみたいに無感動なんだよねw
すたすたと出て行くだけという

そういうわけで
見た目が割と濃厚につくられていて
運びはとても淡白
そのアンマッチがどこか昔話の持つ不思議な異形性みたいなものを感じさせて
その意味では成功したのかもしれない。


いずれにしてもこれが映画館でかかるというのは
考えてみるとなかなかないチャンスなわけで
ドニの知名度のせいなのか
内容的には普通ならDVDスルーで行っちゃいそうな映画ではありました。


ドニは、やはり歳をとったね
人間は歳を取るんだねー




@ヒューマントラストシネマ渋谷
コメント
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