今年は、大御所となった徳川家康公が、駿府城に入城してから400年。
静岡市では、記念の年として、市民が企画した400年祭関連の行事を開催している。
その一つ、和彩優楽が、6月30日と、7月7,8日行われている。
主たる催しは、この「お里帰り」なんである。
何が里帰りしたか。
これである。
これ、とは、山車なんである。
もっとも、嫁入り先の浜松市雄踏町浅羽では、館車(かんしゃ)という、一発変換できない呼び名を持つ。
事の発端は、これなんである。↓
書かれている町名は、今にも静岡市に残る、浅間神社の氏子町内。
山車は、今から100年前に、浅羽に売られていった。
その後、定かではないままに時が過ぎたが、山車を手入れしている時に確認され、
浅間神社廿日会祭に引き回されていた山車だと、由来が明らかになった。
平成15年、解体修理時、囃子台に掲げられていた扇額を洗って、上記の文字を発見。
そこで今年、400年祭を祝う行事に参加してはくれまいか、と、市民有志が浅羽参りに出かける。
今年、政令指定都市となった浜松と既に政令指定都市の静岡市、静岡県下の二つの政令市の市民が、手を組むこととなった。
ソオレ、祭りだ!
浅羽では、今朝は4時から解体をし、車で運び込み、組み立てを行う。
それ以前にも、お里帰りに恥かいちゃ遺憾、とばかり、毎日磨いてぴかぴかにしてきたという。
組み立てに続いては、飾りつけと山車の衣装つけである。↓
100歳の山車は、手入れがなされ、大事に大事に守られてきた。
ところどころは新たな部品に取り替えられている。
しかし、解体組み立てが可能な作りは、見事だ。
写真を撮っていたら、完成を見守るおじさまが
「おねーさん、今じゃなくて、出来上がってから撮るといいよ。
これじゃ、100歳のおばあさんの裸を撮ってるようなもんだ」
はは、なるほど。
しかし、それが大したものだと思うので。
江戸形の山車は、人形の乗る上部がせり上がる仕組みになっている。
これは、祭りの折に山車が将軍に謁見するため、江戸城の大手門を通過して行くのに、
山車の欄干を下げて参り、城下に出てきて元の高さに上げた史実に即して建造されているからだそうで。
そして、江戸型山車に、唐破風の造り。
ふんわり柔らかな丸みのある屋根がつく。
足場を組んでの作業は、確かめながら、じっくりと進む。
神輿が神の乗り物で、担いで練り歩くものなら、山車は、神の依り代の人形を乗せ、曳いて練り歩く。
静岡時代には、彦火火出見命を乗せたまいきが、浅羽では、スサノオノミコトが乗りたまいき。
「 明治41年浅間神社廿日会祭 踟年番 札の辻町 」七間町一丁目建造
明治36年3月31日の静岡民友新聞には、七間町一丁目が、東京に彦火火出見命の山車を実価1200円で発注とあったらしい。
浅羽では、これを買い受け、静岡とはまるで異なる祭りに、町の誇りとしてきた。
今朝は、朝4時から解体をして、車に乗せ、運び、そして、組み立てている。
心意気が伝わってくる。
先方、浅羽に里帰り実行委員会副委員長が、今夜も出来るだけそばにいて、市民の質問にも答えるといった。
明日は、市内巡航だ。
朝9時からの式典、市内を廻って別雷神社で御祓いを受け、更に練りまわり、午後は市役所で両市長の式典、
その後、市中をまたもや巡り、浅間神社でのお里帰り、そして、夜まで続く練り。
体が続く限り、と浅羽の副委員長は言った。
そして、明日は、名物激練とラッパ隊、引き回しの応援部隊が浅羽から200名駆けつける。
静岡市民に、自分たちの祭りを披露して、山車を無事に引き回して見せよう、という熱気。
浜松祭りで見るラッパと激練り、山車の上には直径80センチの大太鼓が据えられ、
毎年祭りが終わる頃には太鼓の若衆の手は、血まみれになるという。
浅羽では、毎年10月の第2土曜日に、息神社の祭典が行われる。
山車は、この際に活躍する。
浅羽の衆の一年は、祭りに始まり祭りに終わる、それほど、祭りが一年の要で、みな楽しみなのだと教えてくれた。
日が近くなれば、各家から、風呂桶を叩いて太鼓の練習の音が響きだす。
20歳の成人には、赤シャツを着て、太鼓を叩き、これが皆へのお披露目にもなる。
実は赤シャツは、戦時中、20歳になると赤紙が来た頃、
祭りに赤シャツを来て太鼓を叩いて戦地に赴いた慣習から生まれたという。
今でも、浅羽の男性は、20歳の時に、山車の上で太鼓を叩く。おじいちゃんも、お父さんも、息子も、そうしてきた。
浅羽の歴史が、この山車と共にある。
神の依り代であり、地域の民の依り代でもあるのだろう。
〇息神社祭典 左バーの最下部「遠州祭散歩」をクリック
http://www3.tokai.or.jp/hamakake/top.htm
7月7日土曜日
9:00 葵スクエアにて開催式典 9:50出発
10:00札の辻 10:40常磐公園 10:50別雷神社 11:20出発
11:50葵スクエア(昼食休憩)
13:00出発 13:20御幸町の江川交差点 14:00静岡市役所
14:15札の辻 14:50金座町 14:55車町 15:00馬場町
15:10浅間通り商店街 16:00浅間神社 17:15出発
18:00馬場町 18:10車町 18:15金座町 18:40葵スクエア
19:25常盤町2丁目 19:30七間町2丁目 19:50県庁前 20::00青葉町学校跡
看板に載っていた町を、懐かしむ、市内の練りが、明日。
浴衣を着たり、甚平姿なら、誰でもいっしょに参加できる市民のお祭りとして、盛り上がる。
山車の引き回しが主催事となる、400年祭市民参画事業「和彩優楽」は、日曜日まで。
浴衣のワンコインレンタルや、出店、浅間神社の池にしつらえた浮き舞台での芸能披露などとあわせ、
神社の七夕祈願祭も行われる。
静岡市民の心を汲んで、今回参加してくれた浅羽の衆の心意気を受け、迎える市民として、盛大に祭り上げたい。
いい週末を。
〇和彩優楽
http://wasaiyuraku.web.fc2.com/index.html
当日は本当に盛り上がり、すごく良かったです。
できればもう少し静岡の人に参加してほしかったと思います。
でも、中身を読むと自分がFMの生放送でコメントした内容がありましたが、聞いてくれてました?かなりの緊張でドモドモのようでしたが・・・!
しかし、とても良いアングルでの画像にびっくりしてます。当日はその他の取材などで忙しがってですが静岡での里帰りは本当に一生の思い出になりました。現に今日もあのメンバーが委員長の自宅に集まり思い出話に盛り上がっています。祭り最高、浅羽最高、オイショオイショ!早く10月の祭り本番が来ないかと思っています。良かったら雄踏町の祭典にも来てください!
お話し、とても面白かったです。
絶対に、見て見たいと思いました。
そして、秋には、浅羽に行って見たいな、とも。
それにしても、本当に仲がいいんですねえ、皆さん。今夜も集まってるのかな。
祭りはその時だけのことじゃないんですね。
なんだか、うらやましい。
今年だけじゃなく、たびたび機会があるといいのになあ。
皆さんのご苦労を考えると、そうワガママもいえませんが。。。。
今年も、いいお祭りになりますように!!