日本裁判官ネットワークブログ
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「この、いわゆる“判事”の意見はバカげている」(トランプ米大統領のツイッターより)
入国制限の大統領令について効力を差し止めた連邦地裁の判断に関して、大統領が発したつぶやきです。
さらにトランプ大統領は、国を守る仕事を司法が「とても難しくしている」と批判し、「何かあれば判事や裁判所制度のせいだ。大勢がなだれ込んでる。良くない!」とツイートし、裁判官のみならず、司法制度について批判しています。
いわゆる判事(so-called judge)という表現は、かなり侮蔑的なもので、まあ「本物かどうかわからないけど、世間が言うところの判事とかいう輩が・・・」というようなニュアンスなのだそうです。
裁判官という職にある人はもともと批判に慣れていると論評している報道もありましたが、裁判官個人に対するこうした批判は、法の支配を重んじる米国においては異例であり、驚きをもって受け止められているようです。次の合衆国最高裁判事候補に指名されている方も「司法界の士気を挫くものである」と述べられた旨の報道がありました。
私は、正真正銘の[so-called judge]なので、そうした発言を聞くことが多く、できるだけ気にしないようにしているのですが、やはり士気は下がります。
ずいぶん前になりますが、令状事務を担当した際、検事からこのトランプ大統領のツイートと同じようなことを電話で言われたことがあります。
「責任というのはどういう意味で仰っているのかよくわかりませんが、私たちの仕事はそういうものじゃないでしょう。つまらないことを言ってないで、やるべきことをやりましょうよ。本件は却下します。私の判断に不服であれば、どうぞ、準抗告をなさってください。」そう言って電話を切ったのですが、受話器を置いた後、手が震え、しばらく動悸が止まりませんでした。おそらく、その検事はこれまで、そうやって、多くの[so-called judge]の士気を挫いてきたのだろうなと思います。
それにしても、大統領令をめぐるアメリカの司法判断が注目されます。
私は学生時代、憲法のゼミにいて、アメリカ合衆国の最高裁判例を題材にあれこれと議論をしたことがあって、アメリカの司法制度、特に少数者の人権保護に関する憲法判例の先見性やその社会的影響力の大きさに憧れていました。公民権運動に関するブラウン判決やその後のリトルロック高校事件などに触れ、感銘を受けたことを思い出します。あのアメリカ合衆国最高裁が、今後、大統領の一連の政策に関してどのような判断を示し、アメリカ社会を統合していくのか、それとも分断を助長してしまうのか、目が離せません。
学生の頃は、我が国の憲法判例を学びつつ、アメリカの司法と比較して、どこか寂しいというか、歯がゆい気持ちがしていたのですが、最近は元最高裁判事まで「一歩前に出る司法」(泉徳治・日本評論社)というような本を出されるようになり、随分と変わったなぁと思います。家族のあり方や市民が裁く罪と罰についての一連の最高裁の判断をみると、そうした変化が如実に感じられます(川名壮志著「密着 最高裁のしごとー野暮で真摯な事件簿」(岩波新書)同書は、やさしい言葉で大変わかりやすく書かれており、お勧めです。もちろん「希望の裁判所」もよろしくお願いします。)。急速に変化していく社会にキャッチアップしようとする司法の動きを見ると、これまでのような謙抑的な姿勢ではいけないということなのかなぁと勝手に思っています。
といっても、私の場合、一歩どころか、三歩ぐらい前に出ていて、知らぬ間にオフサイドラインを踏み越えてしまっていることがあるかもしれないので、気をつけなければなりません。多くの[so-called judge]は、様々な関係者からの突き上げに弱く、すぐに後ろに下がるので、オフサイドラインがどんどん下がってしまっていて、プレーが難しいなと感じることがあります。まあ、オフサイドラインぎりぎりの攻防こそがゲームの醍醐味なのですが・・・。


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コメント
 
 
 
トランプ大統領 (秦野真弓 しんのまゆみ)
2017-02-13 22:50:34
トランプ大統領に、あらせましては、日本の鉄道、高く評価いただき、今は嬉しく思います。実は私は、昨日は、寒い寒い、長瀞や秩父を、観光し、熊谷の安宿,泊まりました。疲れて寝坊し、本日,あわてて、弁当を買い、高崎線飛び乗り、東京地裁、むかう予定でしたが、本日の高崎線、なんとWで人身時刻起こり、車内は超満員で、運転整理の為,列車達は、各駅に長く停車しました。そんな時,私は、駅のベンチで、弁当食べました。発車しそうな時,
ATOS出発時期表示機や
出発信号機の、現示を,確認いたしました。
大幅に遅れて到着した裁判所では、
東京高裁民事部(深見敏正ヴ総括判事様+江尻禎主任裁判官様)での当事者尋問
≪登記されて取締役である以上、取締役の責任果たせVsあたし達は‼知らないうちに、取締役に、なったに、すぎない控訴審≫傍聴
ふかみある深見敏正裁判長の、傍聴は、横浜地裁労働集中部以来
裁判官の鏡=江尻禎裁判官様の傍聴は、高松地裁以来
おふたりには、とても良い印象ございます。
 
 
 
Unknown (はるな)
2017-02-14 14:08:02
一審の瑕疵だらけの判決が高裁を疲弊させている。
民事50部の裁判官。あなたの事だよ
 
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