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徒然なるままに第20回

2016年10月29日 | ブログ
君の名は

 「シン・ゴジラ」と共に、今期(17年2月期)の東宝(株)の利益見込みを上方修正(5期連続過去最高となる)させたアニメーション映画である。すでに海外の複数の映画祭でも高く評価されているようである。

 何といっても風景描写が美しい。東京の街並みや架空の村とのことだけれど、湖を中心に山に囲まれた田舎町の光景。いずれも現代の日本の美しい風景である。それらのシーンは、都会の活力とその魅力、故郷の自然と人情の細やかさなど、誰しもが抱いている希望と郷愁を誘う。

 夢の世界での幽体離脱による少女と少年の心と体の入れ替わりに始まり、時空超越によるタイムトラベルなど奇想天外な空想アニメなのだけれど、自然災害豊富なこの国に、さらに彗星から隕石が落ちてくるという、こちらは現実にあっても不思議ではない話を盛り込んで、惹かれあう男女の慕情と普遍的な人類愛を絡めた物語である。不思議な魅力に溢れた映画である。

 主人公の少女は、隕石の衝撃で本当に死んでしまったのか。否、生きているのか。そして二人は現実の世界で会えるのか。観客はラストシーンまでスクリーンにくぎ付けになる。ラストシーン、東京の住宅地の一隅で、坂道の階段ですれ違って、お互いに感じ合う二人。振り返る二人、「君の名は?」。うまく作っている。

 あのシーンのモデルとなった階段は、高校生などが探し当てて、異性の友達と出会った二人のシーンを再現して楽しんでいる姿をテレビが報じていた。「タイタニック」の舳で恋人同士が両手を広げる名場面をなぞるごとくに。

 「君の名は」という題名も、なつかしい「昭和」を代表する響きがあって絶妙である。菊田一夫の「君の名は」がラジオで放送されたのは1952年(昭和27年)であり、映画化は翌1953年というから、われわれ団塊世代でさえ、当時には聞いても観てもいない。ただ、題名や「真知子巻き」という言葉や主題歌は聞き覚えがあり、遠い記憶として呼び覚まされる。

 太平洋戦争の焼夷弾に焼かれる街と追われる男女を、彗星の隕石に擬したと結び付けることもできるが、筋立ては全く異なるものだ。しかし、時代が変わっても若い男女が惹かれ合い、想いあってまた会いたいと願う気持ちに導かれるストーリーは変わらない。

 それにしても、観終わって後のこの余韻は何なんだろう。感動という表現では表せない不思議な感慨があった。戦争やテロや犯罪の恐怖に加え、自然災害の続くこの国では、その脅威は日常的となっている。そんな時、君は誰を守りたいのか。どのように守るのか。そんな問いかけが多くの人の心に届いた映画ではなかろうか。
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