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新、経営を考える第3回

2016年06月07日 | ブログ
トップの条件

 「兵法経営塾」の大橋武夫氏は、トップの最も大切な資質は「統率力」であるとしている。生きるか死ぬかの戦場においては、トップの判断は兵士の生死を分ける。そして、その判断を的確に組織が運用できるためには、トップの統率力が重要と言うことになるのだ。企業経営の現場も戦場である。生き残らねば屍を晒すことに成り兼ねない。

 「半沢直樹」がブレークし、テレビドラマで銀行の内幕ものが流行りだけれど、銀行から手を引かれ、冷たく葬られる中小企業経営者が登場し、最悪「首つり」シーンなども出てくるのだけれど、まさに屍を晒すことになるわけだ。大企業でも倒産の恐れは常にある。そうなってから銀行を恨んでも仕方がない。敗戦国が原爆を落とされて、謝罪を求めるようなものだ。備えねばならない。日頃から厳しい経営をしなければならないのだ。そのためにトップの器量は最重要なのだ。

 しかし、平和ボケのこの国においては、国家も企業もトップに相応しくない人をトップに据えることがよくある。昨今の法令違反大企業なども、トップ人事に問題があったような気配がするが、政治の世界では顕著だ。民主党政権時の総理大臣や今回の無様なスキャンダルに塗れた東京都知事など。共通点は権力者への批判は鋭いが、自分がその地位に付いた時、本性を暴露して醜態を晒すこと。

 根本は何か。ひとつには彼らは育ちが悪かったこと。裕福な家に生まれたとか、実家は旧家であったとかの物差しではなく、恥と言う概念を十分教わる環境に育っていなかったこと。古来わが国には、「恥ずかしいこと」という法律以上に行動を律する概念があった。恥ずべき行動は取るなと云う事。特に人の上に立つような地位を求めるなら尚更、そのことを肝に銘じていなければならない。ザル法などと呼ばれる法律に照らしての問題ではない。

 とは言って、完全無欠な人間などこの世には居ない。囲碁や将棋、相撲もそうだけれど、1対1の勝負事の勝利確率は50%だ。だから、それらのプロの世界では6割勝てば強いのである。5割以下では弱かったことになる。恥ずべき行動が0%ならベストとしても、2割3割なら良しとしようではないか。恥ずべき行動の頻度が5割を超えるようなお方は、到底「公」の組織のトップには相応しくないことは、勝負の世界を上げるまでもなく分かることだ。

 職業人にあっても業務遂行にあっては、やっぱり公人である。企業もトップともなれば、殊更公私混同は慎まねば、組織の秩序は保たれない。

 トップの条件は、統率力と共に公私混同を避け得る「恥」の概念を強く持った者ということになるのではないか。
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