中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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改めて品質管理を考えよう その3

2017年02月07日 | ブログ
ジャパン・ブランド

 中国からの観光客の「爆買」が話題になった。炊飯器、サニタリー用品、化粧品。彼らは日本製品の品質の高さを知っているのだ。さらにお米、野菜、果物などの農作物にあっても、その味の良さに加え安心・安全の価値を十二分に評価しているのだ。それらは「ジャパン・ブランド」と呼ばれ、今や中国人観光客だけでなく、全世界から一定の評価を得ていることは、今更言うまでもない。

 その「ジャパン・ブランド」がなぜ生まれたか、戦後の復興期にあって、産業界が製品品質を磨くことで、長期的な発展を目指したからに他ならない。全員参加で品質改善に取り組み、作り込む喜びを経営者と従業員が共有してきたからこそ、それは生まれた。

 米国の新大統領の発言が都度話題になり、その多くが批判の的になっている。諸々の反対運動をみれば分かることだが、確かに声高な主張は目立つし、国民または都民、または沖縄県民ファーストなど、正しい主張と錯覚させられるが、行政側の施策には、実は声なき賛成者は同数かそれ以上居ることも多いものだ。

 トランプ大統領の米国内外の企業に対して、「米国で作らないなら多額の関税を掛ける」「日本や中国は為替を操作して不当な貿易利得を図っている」などの発言は、自国の産業を守る意味からすれば当然の発言で、わが国政府が不当なまでに為替介入しているとは思わないが、概ね正しいことを言っているに過ぎない。

 近年、米国内の所得格差が、「1%の富裕層が99%の富を独占している」と聞くように大きく開いたのは、偏にグローバリズムの結果である。今のままで推移すれば、日本もそれに近づいてゆく。

 投資家は、儲かる企業に投資する。銀行もそうだ。儲かる企業とは、安く作って高く売る企業だ。安く作るためには賃金の安い所、土地や建物の安い所、税金を安くしてくれる所。そして高く売るためには、比較的所得の高い所を選ぶこと。そこでは、原価からみれば割高な価格でも安く感じる。だから儲けは大きい。それらの企業の投資を受け入れた所は、雇用が増えて、税収が増大し、近隣国を慟哭するための航空母艦さえ建造できるようになる。さらに宇宙大国を目指すという。目標は世界制覇だろう。

 投資家は儲けの分け前にありつけるから、国家の貿易収支は悪くても所得収支で折り合いを付ける。工場が逃げ雇用が逃げて、安い時給で働く人が増えたことを横目に、海外進出企業の経営者やその投資家は長者となる。国家の安全保障上の懸念が増大しようが、自由経済、資本主義の原則を旗印に、儲け話があれば、せっせと共産党独裁の国にさえ投資を続けるのだ。自国の首相が、賃上げなどに口を挟むと、「この国は社会主義国か」などと批判する癖に共産党独裁国家はお好きなようだ。

 テレビでトランプ経済政策を批判している評論家の多くは、現在のグローバリズムで利益を得ている既得権益者だ。格差社会の上辺に住まう者たちだ。トランプ大統領の米国ファーストが自国の格差是正を目指したものかは知らないが、結果は格差是正につながるだろう。格差是正は既得権益者の所得を削ることにつながるから、彼らにはやっぱりトランプさんは困るのだ。

 自由貿易は、確かに貿易国相互に利得をもたらすが、その製品を生産する元手の出資がどこから出ているかで、異なった経済理論が必要になるのかも知れない。

 一度起きた潮流を変えるには、トランプさんくらいの強引さが、そして悪者にされても動じない肝がなければ成せない。

 この国も、ジャパン・ブランドを将来に亘って維持したいなら、しなくてはならないが、自国でのモノづくりをもっと奨励すべきであろう。儲けは多少少なくとも国内投資を進め、良質の雇用を守るべきであろう。時給900円の雇用が増えても本当の意味で、若者の未来を創ることにはつながらないからである。



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