かわうそチリ日記

チリの山暮らしや、旅日記。

嵐の日

2017-08-22 16:19:35 | 日記
昨晩はすごい暴風雨だった。夜中に何度も目が覚めては、寝て、目が覚めて、今3時くらいかなと思ったら7:37 目覚ましが鳴る3分前だった。
2週間くらい前に、真冬だというのに、なぜか夏時間に変更になったので、朝8時はまだ日の出前。
土砂降りの雨だが、仕方ないので起きて、仕事へ行く準備をして、長靴履いて、万全の体制で、出発。
いつものようにバスに乗って、大学行きに乗り換えて。何の疑問も持たず、大学正門に着くと、通行止め!

どうしたんですか?
ガードマンの人は言う。昨日の嵐で大学内の木が倒れ、停電になり、今、大学には入れません。午後になったら、入れるかもしれませんが。

えーーー!
聞いてないし、、、。
でも、午後は大学が開くかもしれないから、授業はあるのかも。かなり疑わしいけど、、、。
仕方ないので、近くの喫茶店に入って午後にあるはずの授業の準備を始めた。こんな日に限って、パソコンの電源も、携帯の充電器もオフィスに置いてきちゃった、、、。
同僚に電話してみる。
やあ、何してるの?
家で休んでるに決まってるじゃん!
えーー。私知らなくて大学に来たんだよ。
あらら。大学からメール来てたでしょ。
えーー。見てない、、、。
今日は嵐の影響で、県全域の学校は休みだよ。
えーー。でも、午後は大学開くかもってガードマンの人が言ってたよ。
僕は行かないよ。そして、誰も行かないと思うよ。
えーー。私、念のため午後の授業の準備してたのに。
君さ、何年チリに住んでるの?
、、、、、ですよね、、、。

今日は授業の後、個人レッスンを受けたい人と会って、その後友達のうちに泊まりに行く予定で、ばっちり準備してきたのに。。。しかし、夜まで待つのも、、、。というわけで、全てキャンセルしてうちへ帰ってきた。

それにしても、未だに慣れない、突然の授業中止。もうすぐ、7年目を迎えようとする職場で、たまに起こる授業中止、、、。でも、悪天候では、初めてだなあ。こういうパターンもあるのか。ストライキには、慣れたけど、、、。(ストライキも、学生ストライキとか、教員とか、職員とか、色々なパターンがある)

で、うちへ帰ってカロルやクリスティンの家で昼ごはんだったのだが、今、彼女たちのところに、南アフリカ共和国から、農場ボランティアが来ていて、一緒に食べた。
南アフリカ共和国といえば、やはり、アパルトヘイトである。今はどうなっているのか、聞いてみる。彼女は、英語しか話せないので、クリスティンが通訳をしてくれた。
「アパルトヘイトは終わったけど、南アフリカ共和国の問題が終わったわけでは決してない。今大きな問題になっているのは、黒人の若者たちが、農場主の白人家族を殺して農地を奪っていること。いわば、黒人達が白人に仕返しをしている。隣国ジンバブエの貧しい人達を、南アフリカ共和国の黒人が雇って、人殺しをしているケースも多い。これは、国際的に報道されないことだけど。
私のように若い世代の白人たちは、六世代前の先祖たちから始めたことを恥ずかしく思っている人たちもいる。ブラックの人と結婚するケースも一部ではある。でも、ブラックの人たちは、与えられると言われた住居や財産を結局貰えず、白人に対して怒っている人たちも多い。国の南部は比較的平和だけど、北部の、国境周辺は治安が悪化していて、ヨーロッパやアメリカに逃げたいけど、経済的事情で逃げられない白人家族がたくさんいる。
そして、ジンバブエでは、ブラックのある民族が、その地域の白人を皆殺しにして農地を奪うという事件が10年前に起きている。しかし、そのブラックたちは、耕すということを知らなかったためにその地は砂漠になってしまった。結果として彼らはもっと貧しくなった、、、。」
なんと、、、、、、、、、。ここでも、憎しみの連鎖は続くのか。

カロルたちは、いう。「アメリカでは場所によって、白人と黒人が市民戦争のようになっている。特に白人の警察官がひどくて、彼らは、もし、怪しいと思ったら発砲する権利を持ち、実際には、間違いでも、発砲したことを、罪に問われない。先日も、白人の警察官が、届出をして鉄砲を持っている黒人に対して、業務質問をして、彼には全く問題がなかったのに、白人警察官が発砲し、黒人男性の妻と子供の見ている前でその彼を撃ち殺すという事件があった。それに対して、全米拳銃協会は、何も動かなかった。協会が届出を認めて、黒人男性は、銃を持っていたのに、それに対して全く擁護しなかった。
こんなふうに、黒人は差別され、場所によっては、中南米出身者も差別されている。いわゆる、肌の色によって。アジア人は今の所セーフだけど。
ヨーロッパには、第二次世界大戦中よりも多くのネオナチがいる。人口が増えたから、ネオナチも増えたわけだけど、残虐な歴史から学ぶことができなかった人達がたくさんいるんだね。、、、」

なんと、、、、、。
ヨーロッパの世界進出や、アメリカにおける奴隷制度、そして第二次世界大戦が終わって、残虐な時代が終わって、ウーマンリブ運動や、インディアン、ブラックの人たちの運動を経て、人類は皆平等の権利を持つという素晴らしい考え方で、世界の現在の歴史は動いていると思っていたけど、それは、幻想だったのか?
人より秀でたいという誰もが持っている気持ちは、自分の種族が秀でているという考えにエスカレートし、命の重さは、皆一緒ではない、という考えに至り、暴力を正当化する人達。
または、祖先が受けてきた暴力を仕返ししようとする人達。それは人間の本能的なものなのだろうか。
私にはわからない。

クリスティンが言った。
「こうやって考えてみると、留守の間にうちに泥棒が入ってチェーンソーを取られたことなんかは、すごく些細なことだよね。私たちができることは、自分たちが比較的安全な場所にいることに、感謝すること、ここから、地球に愛を送ること、そして、畑を耕して食べ物を作ること。争いの根本原因は、貧困。お腹が空いても食べ物がないことから起こっている。そして、キレて暴力をふるう若者の原因は、きちんとした食べ物を食べてないことから起こっていると思う。だから、私はきちんと健康な食べ物を生み出していきたい。」

そうだね、クリスティン。
畑があることの有り難さ。安全な食べ物がすぐ近くにあるという有り難さ。美味しく、安全な食べ物を作り出せるというチャンスを、私も無駄にしてはならない。

嵐の日。普段はあまり考えない地球と人類の問題を考えるに至った午後であった。(ちなみに、今嵐は、落ち着いているけど、明日はまた嵐の予報。。。)









最新の画像もっと見る

コメントを投稿