ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

エデンより彼方に

2016-07-22 | 映画 ア行


1957年。アメリカ東部の町に暮らすキャシーは、一流企業に勤める夫フランクと愛する子供たちに囲まれ、社交界では賢き妻として知られていた。その頃、世間では黒人との溝が深まっていたが、キャシーは新しい黒人庭師レイモンドとも打ち解けていく。ある日キャシーは、フランクに夜食を届けるため会社へ向かい、そこで男性と抱き合う夫の姿を目撃する。動揺しながらも、キャシーは理想の家庭を守ろうとするが…。

エデンより彼方に 2002年/アメリカ/トッド・ヘインズ




ジュリアン・ムーア、出ずっぱりでしたねー。
お話的にも全てのエピソードのバランスが程よくて、とても満足できました。
が、エンディングが物足りなかったです。
レイモンドを見送るキャシー、お互い、小さく手を振る姿は絵になりますが、その先には、キャシーは現実が待っているワケで、彼女はどう成長していくのかなーなんて思ってしまいました。

人種差別はおかしい!と言えるキャシーではあるけど、夫が同性愛者だと知った時、男性と抱き合う夫を見た時、自分(キャシー)に向けられる愛とは違う本物の愛に気付いたと言われた時、そこには、人種差別に嫌悪感を抱く感情とは全く別の、当然、ショックと嫌悪感があったはずで、そこがあまり描かれていないような気がしました。

全てに理解を示したいという気持ちもあるのかもしれないけど、実際、自分の身に起きたことに対して、差別はおかしいとスパッと割り切れるはずもなく、夫の立場よりも自分と子供の立場を優先するはずで、そこに、レイモンドとの別れが重なり、うーん、考えれば考えるほど、キャシーは本当は何をどう思っていたのかなーと悩んでしまいました。

白人の中にたった一人の黒人、黒人の中にたった一人の白人、目立つとか浮くとか、はたまた、勇気があるとかの問題ではなく、たった一人というその数が問題であることに、この後、誰もが気付き、人種差別が撤廃されたはずなのに…。

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