ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

一命

2011-10-17 | 映画 ア行


江戸時代初頭。井伊直孝の大名屋敷に津雲半次郎という初老の浪人が現れ、切腹のため玄関先を貸して欲しいと言う。時は合戦もなくなった泰平の世、食い詰めた浪人たちが大名屋敷で切腹を申し出、金品や士官の口をせしめる狂言切腹が流行していたのだ。応対に出た井伊家家老の斎藤勘解由は、かつて井伊家に狂言切腹に訪れ「当家では狂言切腹は通用せん」と実際に腹を切らされた若い武士・千々岩求女の死に様を、津雲に話し始める…。

一命 2011年/日/三池崇史




う~~ん、私としてはやっぱりグロさが気になります(しかも、しつこい)。
求女(瑛太)の切腹のシーンでは、視覚のグロさと音響のグロさのダブルで表現されていて、お話のキーポイントであることは解るけれど、違う表現方法があったはずと思わずにはいられませんでした。
ストレートに伝えるべきものと、観る側にその重さを想像し実感させる方法もあるはずで、そこは監督の考え方(好み?)であり、今回は、三池さんだからこその表現だったんでしょうね…。

とにかく、本当にお話が素晴らしくて、時代劇として残るべきお話であり、浪人の苦しさを現代人に想像させるべく完成されたお話だと思いました。
それに、坂本龍一さんの音楽が見事にマッチしていて、三池さんのストレートさを和らげる役割も兼ねていたと思いました。

市川海老蔵については、彼の時代劇は芝居がかりすぎないだろうか?と観る前は心配を通り越して冷やかし半分の気持ちでいました。
斉藤勘解由(役所広司)とのシーンは「いいね~」と思ったのですが、これが、父親として子供たちとのシーンになると、かなり不自然に感じました。
そもそも、年齢的に父親というのが無理なのと、表情も台詞も微妙におかしかったです。
ついでに、どうしても市川海老蔵を使いたかったのなら、特殊メイクで顔に皺を作るとか、歯の白さをなんとかするとか、見た目の努力はできたんじゃないかなと思います。

そして、なんといっても、役所広司がいたからこそ、時代劇として引き締まり映画が成り立ったのだと感じました。
他に、瑛太も満島ひかりもとても頑張っていて、思っていた以上によかったと思います。
お話の素晴らしさ、音楽の素晴らしさ、役所広司、瑛太、満島ひかりがよかっただけに、市川海老蔵には、求女のように地面に落ちた卵を這いつくばって吸えるくらい、全てを捨てて頑張ってほしかったです。

あっ、三池さんの演出は私は好みではないので、そもそもがダメだったかもしれないですが……(満島ひかりが瑛太の手の平に刺さった竹を引き抜くシーンがなければ、まだ…。あと、音がどうしてもイヤ!)。

これだけ素晴らしい要素がたくさんありながら、全く感動できなかったのが残念です(唯一、紅葉のお菓子にはグッときました)。

この記事についてブログを書く
« 殺人犯 | トップ | 東京島 »

映画 ア行」カテゴリの最新記事