かんだ

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登山計画を考える

2015-04-16 17:45:14 | Weblog

 前号では、「登山計画書」について考えたので、今号では、「登山計画」について考えてみたい。どこへ、いつ、だれと、どんな方法で登るか、登山計画あってこその、登山計画書ではある。

 登山の楽しみは三つあると、昔から言われている。一つ目は計画する楽しみ、二つ目は実際に登る楽しみ、三つ目は写真整理など、振り返って再トレースする楽しみだ。計画する楽しみは、登山の楽しみの第一にくるワクワクする楽しみである。あの山に登りたいな、こっちの山はどうかな、などと登ってみたい山を胸に描きながら、机の上に地図やガイドブックを広げていると、あっという間に時間は経過してしまう。

 登山の計画は楽しいだけではなく、昨今増加を懸念されている山岳遭難事故の未然防止策の第一に挙げられている。平成25年中における山岳遭難の概況(警察庁生活安全局地域課)によれば、遭難事故の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足などが原因で発生している。登山計画立案に際しては、気象条件、体力、体調、登山の経験に見あった山を選択、コース、日程、装備、食料などに配慮しなければならない。

 登りたい山が決まったら、次はコースだ。ガイドブックに紹介されているコースそのまま、という人が多いがちょっと芸がない。昨今のガイドブックは、車でアプローチする人を想定してか、登山口からコースを往復という案内も多いから注意したい。いくつかのコースガイドを組み合わせて、オリジナルのコースプランができると登山計画としてはハナマルになる。

 山やコースの決定は、自分本位ではなく、想定される同行者の顔を思い浮かべながらパーティーの実力に合った山を選ばなければならない。AとBの二つのコースがあるとする。Aは距離は短いが急坂、Bは緩やかだが距離は長い。常々指摘しているように、「登りは体力、下りは技術」である。同行者にバランスが悪く下りを苦手とする人がいたら、Aを登りに採り、Bを下りに採るように計画すべきである。急登は大変だが、いざとなったら四つん這いでも登っていける。急な下りは滑って転んだりすると大事になる。

 ガイドブックの所要時間はあくまでも目安だから、自分たちのペースに換算してタイムテーブルを考えること。自分の場合は、休憩を含めて五割増しくらいで考えている。それくらい余裕をもってタイムテーブルを設定、下山時間を想定しておくと、帰りのバスに乗り遅れることは、まずない。

 危機管理とは、想像力だと教わった。計画立案の際、発生するかも知れない問題を想像し、対策を考えておけば問題を回避できるはず、そんな登山計画の作り方が、山岳遭難事故の未然防止策足り得るのだと思う。出来上がった登山計画は、登山計画書としてまとめ、関係者に提出しとおく。


 岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html

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