アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋30年 「勇気の伝道師」     ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(1月2日)は、家族3人で毎年恒例の栃木県鹿沼(かぬま)市の実家に日帰りで出かけてきました。

栃木県は、日本のワーストスリーの知名度ランキングの県で、日光を知っていても、日光が栃木県にあることを知らない人がかなりいます。

ましてや、人口10万人ほどの鹿沼市のことは、ほとんど知る人がいません。

ユネスコの無形文化遺産に「鹿沼の今宮神社祭の屋台行事」登録決定したことで東武線の新鹿沼駅は活気を出そうとしていますが、市内は相変わらず寂れています。

それでも、新宿終点のスペーシア号で帰れるので、だいぶ楽になりました。

さて、「対訳で学ぶアドラー」シリーズの2回目です。

今月からテレビドラマ化される、原作の『嫌われる勇気』(岸見 一郎,古賀 史健、ダイヤモンド社)の中に書かれている「トラウマは、存在しない」について英文と日本語訳を比較してみることにします。

嫌われる勇気―――
自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎,古賀 史健
ダイヤモンド社

 岸見一郎さんは『人生の意味の心理学 上』(アルテ)P.21でアドラーがトラウマについて語った部分としていつも引用している文章を次のように訳しています。

いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。われわれは自分自身の経験によるショック ― いわゆるトラウマ― に苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである。

ちなみに、『英語でたのしむアドラー心理学』(小池 直己、PHP文庫、640円+税)でも引用されているアドラーの "What Life Could Mean to You"ではこんな英文です。

No experience is in itself a cause of success or failure. We do not suffer from the shock of our experiences - the so-called trauma - but instead make out of them whatever suits our purpose.
We are not determined by our experiences but are self-determined by the meaning we give to them.

小池 直己氏は、次のように訳しています。

いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。我々は過去の経験による衝撃、 いわゆるトラウマ(心的外傷)に苦しめられるのではなく、過去の経験の中から自分の人生の目的に合ったものを選択する。自分が過去に経験したことによって決定されるのではなく、我々自身が過去の経験に対してどのような意味づけを与えるかによって、自ら決定するものなのである。

まず言えることは、岸見一郎さんの訳がかなり正確なことです。
アドラーの言葉を忠実に訳しています。

このことは、この本に限らず岸見さんがアルテから訳出している本に共通することです。

ただ、ここでアドラーが言っているのは、「トラウマが存在しない」ではなく、トラウマの経験をしたことに対してどう意味を与える/意味づけるか、ということなのです。

私は、このアドラーの文章からどうしても「トラウマは、存在しない」と読み取れないのですが、いかがでしょうか?

◆2014年のブログでトラウマを巡って下記のように書いていますので、ご参照ください。

3月29日 アドラー心理学ブームについて(4)
3月30日 アドラー心理学ブームについて(5)
3月31日 アドラー心理学ブームについて(6)

◆長らく看護師として医療現場に身を置き、大学院でトラウマ研究もなさっている長谷沼 紀子さん(アドラー・カウンセラー、SMILEリーダー、ELM勇気づけトレーナー、武蔵野大学 大学院 通信教育学部在学中)が、1月29日(日)に「アドラー心理学によるトラウマ研究」と題して アドラー心理学ゼミナール  で講演をされます。
長谷沼さんがお寄せくださったメッセージは次の通りです。

嫌われる勇気』(岸見一郎/古賀史健 著)では、アドラー心理学はトラウマの存在を否定している。
トラウマは本当に存在しないのだろうか・・・。その前に、ちょっと待って! トラウマってなーに。
トラウマとは何かを理解し、アドラー心理学との関わりを説明していきたいと思います。

受講料:2,160円(税込み)

申し込み:ヒューマン・ギルド宛に メール info@hgld.co.jp か 電話 03-3235-6741を

<お目休めコーナー>1月の花(3)

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コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
その通りかと (アドラーファン)
2017-01-27 13:21:31
岩井様
確かに正しく理解すれば、トラウマはあるが、それを今の症状の原因と位置付けるのは個人であり、そのように考えている限り解決しないのでアドラー心理学ではトラウマが原因とは考えないことにしている。その方が治療には有用であるからということでしょうか。
http://jalsha.cside8.com/diary/2017/01/25.html
にもトラウマは否定しないと書いてありますね。
 
 
 
トラウマについて (岩井俊憲)
2017-01-28 05:39:16
アドラーファン様

トラウマに関するコメントをありがとうございます。
ご指摘のとおりです。

私の恩師のペルグリーノ博士は、奥様を日本滞在中に亡くし、そのため10年間トラウマに苦しみました。
博士にトラウマの件を質問した回答は、

1.自分の中に確実にトラウマはあった。
2.「トラウマは存在しない」は、岸見さんの個人的な見解で、アドラー心理学の見解ではない。

です。
野田先生も冒頭、次のように書いていらっしゃいますね。

>私もときどき「トラウマは無い」
>と言わないことはないのだけれど、
>これはフロイト派風な実体論的・
>原因論的な病理学説を否定して
>いるのであって、トラウマ症状
>そのものを否定しているのではない。
 
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