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「飯田線」難工事の秘話 天竜出身の2人が出版

2017-07-17 | アイヌ民族関連
中日新聞 2017/07/16
 愛知、静岡、長野三県を結ぶJR飯田線の全線開通八十周年の節目に、浜松市天竜区出身の女性二人が、難工事の歴史や沿線の魅力をつづった「飯田線ものがたり」(新評論)を発刊した。山深い峡谷にトンネルや橋を通すための測量に命懸けで携わったアイヌ民族の測量技師川村カネト(一八九三~一九七七年)の足跡にも焦点を当てている。
 執筆したのは、三月末まで沿線の同区佐久間町で三十年暮らした名古屋市緑区のパート太田朋子さん(54)と、天竜区龍山町の会社員神川靖子さん(48)。太田さんは二年前、カネトの生涯を描いた児童書に出合い、難事業を引き受けて現場作業員からの差別とも闘いながら測量を成し遂げたカネトに感銘を受けた。
 この児童書をたくさんの人に読んでもらいたいと、出版元に問い合わせると、絶版になり再版も難しいと知った。「自分でカネトの本を出したいが、すぐには難しい」と、カネトを知ってもらう活動から始めた。
 昨年春、有志と実行委員会をつくり、六月には愛知県東三河で活動する団体『合唱劇「カネト」をうたう合唱団』による公演を、沿線の同区水窪町で実現。広報担当の神川さんが劇や飯田線の話題をブログで発信したところ、関心を持った出版社が書籍化を勧めた。
 太田さんはカネトの故郷、北海道旭川市にも足を運んで資料を集め、昨年夏から執筆を進めた。大雨による天竜川の増水で食料が届かず飢えに苦しんだり、難航する工事で不満を爆発させた作業員にカネトが生き埋めにされそうになった苦難の逸話を紹介。開通後に佐久間ダムが完成し、ダム湖に沈んだ駅の歴史にも触れている。「八十周年に出版が実現できてうれしい。地元の学生やお年寄りの足でもある飯田線の隠れた歴史を知ってもらえたら」
 高校時代に通学で飯田線を利用した神川さんは、沿線紹介を担当。皇太子さまご成婚の際に「縁結びの駅」として話題になった小和田駅(水窪町)など各駅の特色や沿線住民との触れ合いをつづり、駅周辺の見どころや風景写真も掲載した。「先人の苦労をしのんで乗ると、違ってみえる。手つかずの自然が残った秘境駅など飯田線には多様な楽しみ方がある」と話す。
 四六判で二百八十ページ、二千円(税別)。沿線地域の書店で販売。二人は八月五日、丸善名古屋本店(名古屋市中区)で出版記念トークショーを開く。
(島将之)
<飯田線> 豊橋(愛知県豊橋市)-辰野(長野県辰野町)間の南北195・7キロを結び94駅がある。最初に豊橋-豊川間が1897年に開業。浜松市天竜区を挟んだ三河川合(愛知県新城市)-天竜峡(長野県飯田市)の67キロ区間は渓谷や天竜川に沿った難所で、川村カネトが測量を手掛けた。1937年に全線開通。当時は豊川、鳳来寺、三信、伊那電気の四つの鉄道会社が運営したが、43年に国有化され、87年の国鉄分割民営化以降はJR東海が引き継いでいる。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20170716/CK2017071602000070.html
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