ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

The Secret Pearl

2006年04月10日 | B

Mary Balogh. 1991, 2006. The Secret Pearl  (Spotlight: Mary Baloghもチェック)

Baloghの作品ならあらすじを読まずに安心して購入できます。
Story:   
Dialogue:
Hero:    
Heroine:  

最初に出版された年にBest Historical Romance賞を受賞した作品だそうです。
ロマンスノベルはエンターテイメント目的だとIntermission4で話しましたが、今回の作品はいつまでも心に残る文学作品のようです。

ヒロイン・Fleurは男爵家の娘ですが、殺人の罪をきせられ家を飛び出しロンドンで身を隠していました。ポケットに入っていたお金はすでになくなり、数日間飲まず食わずの状態が続き、絶望的な選択にせまられます。物乞いするか、泥棒するか、自殺するか、それとも最後に残っている所有物・自分の体を売るか・・・。

ドルリーレーン王立劇場前の暗い路地でみすぼらしい売春婦を見つけ声を掛けたのはAdamでした。5年前に重傷を負って戦争から帰ってくると、‘The world is my oyster’ 「この世は全て自分のものだ」と思っていたものは全て変わっていました。愛のない結婚生活、名誉という重荷・・・。アダムの醜い戦争の傷跡など気にせず、自ら進んで自分を暖めてくれる人と一夜だけ過ごしたい・・・。

1週間後、フレアは奇跡的に住み込みの家庭教師として雇われることになりました。生徒の家に着くと、なんと、彼女を雇ったのはあの最初で最後の客となった紳士でした。しかもただの紳士ではなくRidgeway公爵でした。

アダムのOyster(牡蠣:利益を引き出すもの)は5年の間に徐々に死んでいったと思っていたのですが、フレアと出会うことで生き返り、フレアという秘密の真珠を見つけます。
悲しい涙あり、感動の涙ありです。

いつも上の評価で’Sensuality’(セクシー度)もつけますが、今回はありません。もちろんラブシーンはありますが、この作品ではお話をスパイス・アップするためではなく、ヒロインが心の中の暗い記憶を乗り越えるための勇気を示す重要なシンボルになっています。

裏表紙のあらすじには書かれていないのですが、アダムは結婚しています。不倫の話は嫌いですが、読み進むと、ちょっとドロドロ感はあるけど、それでも主人公2人に関してはBaloghならではの潔癖なまでの純愛が描かれています。

Superb.



最新の画像もっと見る

17 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (みふゆ)
2007-01-29 16:58:49
こんにちは。日本では「愛の流刑地」なるものが、はやっているものですから、お部屋にはいってすぐに、お!?と思いました。ふふふ。それにしても、なぜに日本のロマンスには、手が伸びないのでしょう。
The Secret Pearl とうとう読みました。読む前から良いとわかっている作品って、もったいなくてなかなか手がつけられなくて・・。久しぶりに、はぁ~~~っとため息が出るような作品でした。ヒロインに感情移入できるかというと、ん?なところもあったのですが、Adamがもう、たまらない!愛する人に拒絶されてもされても、尽くそうとする。家族を守ろうとする。妻子もちのヒーロー、ましてヒロインとの出会いからして、誠実とは言い難いのだけれど、純愛でした。一途さに胸が痛くなりました。Mary Baloghすばらしいです!それにしても、ネタバレせずに感想を言うのって、難しいですね。Kさま、えらいです!
「ただ忘れられなくて」どうしようか迷ってます。これだけ洋書を読んでいても、わからない単語は山ほどあり、疲れているときなどは、翻訳物でほっとします。でも、翻訳物が面白くなかったときに、洋書で読んでたらどうだっただろう?また感じが違ったかも、などといっちょ前に思ったりして。とにかく、次は彼女の何を読もうかなあと迷うのも、楽しい時間です♪
返信する
ゼヒゼヒ (K)
2007-01-30 07:15:52
みふゆさん、いらっさいませー。
「愛の流刑地」? 
ググってみますね。

Secret Pearl、私は号泣でした。
これが私の知っている中での一番の純愛ストーリーです。相手が妻子持ちだけに、でしょうか。
みふゆさんも楽しまれたようで良かったです。
感想、ありがとうございます。(私の本じゃないけどね!)

>Kさま、えらいです!

うれしいぃぃっ!!!
自分の性格は実はネタバレしてしまいたい方なのですが、このブログではがんばってマス 裏表紙のあらすじや抜粋やAmazonなどで分かる範囲以外のものは警告なしでは書かないようにしてます。

でも聞かれたら躊躇せずにベラベラしゃべりますよ。うちの母は、最初のほうをちょっと読んだら最後に飛んで結末を読んで、そして真ん中を読むのですが、それでも私に先に結末を聞きたがるんです。で、私もベラベラ…。

「ただ忘れられなくて」、翻訳でもいいと思いますよ。
昔、シドニー・シェル○ンとか「超大訳」(自然な日本語に一番近い)とうたった訳ですら、かなりぎこちなかったもんですが、2,3年前に日本に帰ったときHQの翻訳をいくつか読んだら、原書を読んでるときと同じ感覚で読めたのでびっくりしたのを覚えてます。
ヒストリカルだし、もともと現代の日本語とは違うっていうのもあるかもしれませんしね。

洋書のほうはまた気が向いたら、っていうことでもいいと私は思うのですが、他の方の意見も聞いてみたいところですよね。
返信する
初めまして (monta)
2007-01-30 08:06:08
去年、初めて読んだMary BaloghはSecret Pearlでした。
その頃から覗かせていただいていますが、投稿は初めてです。

私も泣きました。苦手な英語だったのにこの作品は1週間で読了しました。それくらい物語に引き込まれてしまったのです。他の作家と明らかに違う、古典作品かと思わせる薫り高い作品でした。

で、あまりに良かったので他の作品を読むのが怖くて(変な心理!)原書はそれきりだったのですが「ただ忘れられなくて」期待度100%で読みました。
翻訳はミステリー界では有名な山本やよいさん。出版社のBaloghに寄せる期待度が分かります。
私は違和感なしに読めましたし、ヒーローの駄々っ子ぶり、しっかりヒロインを楽しみました。
Secret Pearlと作風は変わっていますが、底に流れる魂は同じかな、と作者に信頼感が湧いてきます。

Kさんのレビューはとても読みやすくて、いつも更新を楽しみにしています。
Simply Loveを原書で読むべきか、翻訳をじっと待つべきか、それが目下の悩みです(笑)
返信する
愛の流刑地 (K)
2007-01-30 08:46:49
ググってみました。
朝刊小説なんですよね?
こういうのが流行ってるんですかー。へ~。

作者の言葉に
『いま、純愛ブームだという。肉体関係がない、精神的なつながりだけの愛が純粋だと思いこむ。だがそれは単に未熟な幼稚愛にすぎない。精神と肉体と両方がつながり密着し、心身ともに狂おしく燃えてこそ、愛は純化され、至上のものとなる。』

とありました。

不倫は恋愛という名のもと美化されるべきではありませんが、でも、普通の日本の小説で女性のオーガズムを取り扱ったお話も珍しいですよね。

われ等がロマンス小説ではそれが基本だけど!

Secret PearlではAdamが一夜だけFleurと不倫したことを美化してないところもこのお話のすばらしい所だと思いました。
返信する
monntaさん (K)
2007-01-30 09:11:17
初めまして!初投稿ありがとうございます。

Secret Pearl、同じように号泣された方をまたここに発見!これ、傑作ですよね。


>で、あまりに良かったので他の作品を読むのが怖くて(変な心理!)

わかりますよ~!
クレイパスとかJulia Quinnとか、がっかりはしないけど、でも、過去にもっといいもの書いてるのにぃって思うものもありますし。

でもBaloghは結構なんでもいけちゃうんですよね、私の場合。
("Dancing with Clara"だけは完全にダメでしたが。避けたほうがいいです。)

あと、翻訳のほうの情報・意見もありがとうございます。参考になります。(みふゆさん、どうですか?)

>Secret Pearlと作風は変わっていますが、底に流れる魂は同じかな、と作者に信頼感が湧いてきます。

同感です。パターンも同じものが多いのですが、雰囲気が全く違ったり、登場人物も印象深い人達ばかり。お話を読むというよりは、その場に一緒に居るような感覚におそわれることも多々あり。

>Kさんのレビューはとても読みやすくて、いつも更新を楽しみにしています。

ありがとうございます!
あ~、最近みなさんからこんなに励ましの言葉をいただいて甘やかされてるK
でも本当にうれしいです。

>Simply Loveを原書で読むべきか、翻訳をじっと待つべきか、それが目下の悩みです(笑)

む…。Decision, decision...ですね。
最近の翻訳はあまり心配しなくていいというのが私の印象ですが、さてどうでしょう・・・。
返信する
失礼しました (K)
2007-01-30 11:51:44
montaさんの名前のスペルを間違ってました。
ゴメンナサイ!
返信する
全然! (monta)
2007-01-30 14:57:12
全然気になさらないでくださいませ。
昔はその名前を使っていました(笑)

それより即レスを下さったほうに感激です。
私的なことですが、友人がメルボルンに住んでいて、もう、うん年(書いたら年がばれます-笑)前に訪れた事があります。
なんだかそれだけで親近感が湧きます!

Baloghの原書は、翻訳が期待できないものから読むのが正解でしょうね。あまりに多いので迷ってしまいますが、Kさんのコメントを頼りにチャレンジするつもりです。また何か読んだら報告にまいりますね♪
返信する
Unknown (みふゆ)
2007-01-30 16:09:31
Kさん、さっそくググっていただきありがとうございます(照れ笑い)。この有名作家の本、じつは一冊も読んだ事がないのです。ははは。

montaさんこんにちは。「ただ忘れられなくて」お二人のお話を聞いて、読んでみようかなと思っています。翻訳物のなかにも、この人なら安心、という方がいらっしゃいますね。楽しみです!

私もまわりにロマンス本を語る相手がいないので、こちらでみなさんのお話を聞けて、とても有難いし、楽しいです。会話に参加しないときでも、こそっと聞いて、お買い物かごにGO~!なんてしょっちゅうです。
また、お邪魔させていただきます!
返信する
montaさん、みふゆさん (K)
2007-01-31 06:43:52
おはよーございます

montaさん
朝にブログをやってるので午前中ならメッセージいただければ返事は結構早いです。

メルボルンに来られたことあるんですねー!
ン年前(笑 ということですが、もう随分変わりましたよ!また是非いらしてみては???
市内にあるロマンス小説専門店行きましょうよ。(そのためか、オイ^^;)

メルボルンの日本人の輪ってびっくりするくらいどこかでつながってるんですよ。だからmontaさんのお友達も知ってたりして!?(日本語関係だったら、特に・・・!)
こちらも親近感沸いてきます。

>Baloghの原書は、翻訳が期待できないものから…

いいアイデアですね!考えても見ませんでした。Bedwynシリーズはどうなるでしょうね~。

私のコメントたよりに、なんて、ホント恐縮です。でも少しでもお役に立てればって思ってます。
読んでみて、私の意見とは違った場合でも、是非コメントお寄せ下さいね。


みふゆさん
みふゆさんはメルボルンつながり、ナシですか?(笑
でも来られる場合は教えて下さいね

「愛の流刑地」の作家、有名なんですかっ
私は名前も聞いたことありませんよ。あはは!

>私もまわりにロマンス本を語る相手がいないので、

世間の偏見が大きいから、あんまり大きな声でロマンス小説好きとかも言いたくない方も多いと思うんですよ。(私は言うけど。)恋愛も人生の一部なのに。
だから(HRだけだけど)このブログを始めたんです。みんなでロマンス本についておしゃべりできたらなーって。
ブログ開設から1年近くたちましたが、今みたいに「あーそうそう!」とかみなさんとおしゃべりできるようになって、すごく楽しいです。だからいつでもいらして、なんでもメッセージ書き込んでいって下さいね!

Balogh関係は最近、私なしでもやっていけそうな自由掲示板状態にもなってるし! (本当に私宛てのメッセージじゃなくても全然気にしませんよ)
みなさんのBaloghにハマってる様子を見ながら「ふふふ・・・」とニヤニヤしてます。

ということで、お二人ともまた来て下さいね。
この会話を読んでらっしゃる他のブロガーのみなさんともいつかおしゃべりできたらと思ってます。
返信する
Unknown (monaka)
2007-01-31 09:48:18
kさん、皆さん、こんにちは

会話が盛り上がってて読んでるだけで楽しいです。
ロマンスを原書で読んでいる方、これから挑戦しようと思ってる方、たくさんいらっしゃるんですね。
そんな皆さんとお話できたらな、と前から思っていたのでとても嬉しいです。
kさんに感謝!!です。
これからもよろしくおねがいします。

>"Dancing with Clara"だけは完全にダメでしたが。避けたほうがいいです。

そんなにダメですか。ちょうど注文しようか迷っていたところなので聞いてよかった~。
でもどんなふうにダメなのかかえって気になったりして。
私は先日”Dark Angel”と続編の”Lord Carew's Bride”を読みました。

社交界へのデビューのためにロンドンに出てきたJenniferといとこのSamantha が主人公。
親の決めた許婚と正式に婚約、結婚することが決まっているJennifer、彼女は天使のように美しいこの男性を5年間夢に見、思い続けてきたのですが…。
舞踏会や観劇など社交の場を舞台に彼女達が迷い、傷つきながらも本当の愛をつかむまでが描かれています。

面白い小説には良い敵役の存在が不可欠ですが、この2作に共通して出てくる敵役ほどいやなやつには、めったに御目にかかれないかもしれません。ホント~に蛆虫みたいなやつです。読んでいてハラハラしましたよ。
だまされちゃダメ!!って。
Balogh、うまいです。200頁ちょっとと短いしロマンスだけに的をしぼっているのでサクッと読めて、単純に楽しめます。
値段が高いのが玉にきず。復刊してくれるといいなあ。
返信する

コメントを投稿