ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Claiming the Courtesan

2007年06月02日 | C

Anna Campbell. 2007. Claiming the Courtesan. Avon Historical Romance.

いわゆる、衝撃的デビュー作! です。
S.Laurensが"Regency Noir"「暗黒リージェンシー」と評し、4月に出版されて以来、オンラインではちょっとした話題になっています。

このお話は暴力はないけど強制的なラブシーンがあります…。

Story:        
Dialogue:  
Hero:    
Heroine:  
Sensuality: 

ヒロインSorayaはロンドンで一番人気の高級娼婦。Justin、Kylemore公爵は6年前に彼女を一目見て以来、ずっと彼女を自分のものにすると決めていました。

そしてお話は、やっとKylemoreが彼女を自分の愛人にし、1年の契約期間(記念日?)を終えたところから始まります。
1年経った時点で二人のうちどちらかが関係を終わらせたければ終わらせることができるという契約内容だったのですが、Kylemoreはプレゼントを渡しこれからも契約続行のつもり。
そして、Sorayaと安らぎのひと時を過ごして家に帰ると、自分勝手で自分の都合のいいように事を運ぶためなら何でもする母親から、彼女が選んだ女性と結婚しろとうるさく言われます。
普段から母親に対して我慢の限界にきていたJustinは、その日の午後Sorayaのところに戻り、結婚を申し込みます。

Soraya(本当はVerity Ashton)は、愛人としての契約を続行する気は毛頭なく、貯えは充分にたまったので、長年の娼婦生活に終止符を打ち、弟と二人で田舎で静かにくらす計画をたてていました。
そして、いざ計画を実行しようとしているところへ思いもかけず公爵が戻ってきて、プロポーズされます。
が、彼が誰か他の人を傷つけるために自分を利用していることはVerityの目には明らか。
怒りを抑えて断った後、公爵が次の日にまたもう一度返事を聞きにくる前に、公爵に買ってもらった家を売り、弟と姿を消します。

何も言わずに去ってしまったSorayaに対し、公爵の怒りは爆発!おさまるところを知りません。
3ヶ月かけて彼女の居場所をやっと探り出すと、静かに暮らしていたVerityを誘拐しスコットランドへ連れ去ります。そこで彼女の意思を無理やり変えさせるのです。

Sorayaという仮面をかぶりSorayaの人格を作り出し、純真な部分を守ってきたVerity。
Kylemoreは他のどの男性とも違うのは分かっていたので、気をつけていたつもりだったけど、誘拐されるなんて思ってもいませんでした。
それに、もうSorayaには戻らないと誓っていたVerityは心も体も無防備。スコットランドの猟小屋で彼と夜を供にし、傷つかないよう戦ったのは真のVerityでした。

        

Regency Noir…。確かに、明るいお話じゃありません。
まず、18・19世紀当時のハイランド放逐が背景に絡んでいるところからして、暗いです。

Verityの生い立ちも、厳格で宗教的な家庭で育ったことになっています。そんな人たちから一番破滅的な職業とされる娼婦の道を選ぶしかなかったいきさつは、「もし自分がそうだったら」と想像してみると泣けてきます。
あの時代、誰も頼る人もいず、自分自身も子供なのにさらに幼い弟と妹を抱えて他にどんな道があったでしょう。

Justinのほうも、とんでもない両親を持ち、暗い子供時代を過ごし、普通に育つことができたのが不思議なくらい大変な過去を背負っています。
(…あ、でもVerityを執拗に追いかけ回すのはちょっと普通じゃなかった…

でもこのH/Hの二人のセリフや心情はどのページをめくっても激しかったです。

強制的なセックスの部分に関しては、RakehellでもThe Romance Readerでもかなり批難されているし、誰でも不愉快になるでしょう。(TRRではハートマーク2個)
私ももちろん不愉快でしたが、ここに作者と読者層の時代のギャップを感じました。実際、作者の写真を見るとJulia Quinnのような若い世代ではありません。
Rakehell(だったかな?)でも触れているけど、70年代はこういう、ヒーローがあまりにヒロインを好きなために性的に支配しようとするお話がよくあったらしいです。

次のお話はこの内容の濃さやキャラ達の激しさを維持しながら、もっと別のファンタシーを掻き立てるお話にして欲しいです。

なんにせよ、内容が濃く、激しく、読了後の興奮さめやらず、です。
私は1日で読み終わりました(家事も添削もなにもかもほったらかし)。

エピローグが欲しかったけど、Risky Regencyブログでの読者達へのコメントを読むと、作者が想像するエンディングがわかります。


メルボルン出身・在住の作家さんなので、市内のロマンス小説専門店Rendezvous the Romance Bookstoreでこの本を買ったらサイン入りでした

>>Anna Campbellのホームページ
12月に"Untouched"という新刊がでます。

>>Risky RegencyブログでのCampbellのインタビュー。読者・ファンたちのコメントにも丁寧に答えています。



Campbellのリージェンシー・ノワール第2弾も出ました>>"Untouched"



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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (monaka)
2007-07-01 15:35:10
kさん、ありがとうございます!!

と、いきなり言っても何のことやらでしょうね。

先日こちらで紹介のあったRisky Regencyを何気なく眺めていたところ、City of Laughter: Sex And Satire In Eighteenth-Century London by Vic Gatrell.という本のレビューを見つけました。
読んでびっくり、これこそ私が探していた本だ!と飛び上がりました。
こういう本があったらいいな~と前から思っていたんです。
さっそく注文して本日入手しました。
パラパラ見ただけですが面白いです。
ローランドソンやクルックシャンクの風刺画が300点!
驚くほど卑猥!猥雑!(卑猥さにかけては浮世絵には負けますが。)
そういえば「ロンドンスパイ」もこんな感じでした。
後のお上品ぶりっ子からは想像もつきませんが、リージェンシーってこんな時代でもあったんだなあと感慨ひとしお。
これからじっくり読んでいくのが楽しみです。

Kさんのブログを読んでいなければ、きっとこの本と出合っていませんでした。感謝感激です。

取り急ぎお礼まで。
快適な空の旅が楽しめますように!

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Unknown (K)
2007-07-07 12:42:05
遅くなりました!
木曜日にやっとインターネット接続、でも出かけたりしてて、やっとブログをいじれる余裕ができたのは今日になってしまいました。


>City of Laughter
おもしろそうですね~!
その風刺画300点、超豪華じゃないですか!
それに、ハードカバーなのに値段は結構お手ごろですね。
絵も興味あるけど、ジョークの内容の傾向なんかも説明してあるんですよね?
それ、興味津々…

私もそういえば、浮世絵の同性愛ものを見て、えー、勉強?させてもらったというか、そんな時もありましたね…

Risky Regencyに出会えて、私もうれしいです。作家の率直な気持ちが分かるインタビューもおもしろいですし。
それにしても、欧米のリージェンシーファン魂はすごいですね!
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Unknown (monaka)
2007-07-09 06:28:54
kさん お帰りなさい!(でいいのかな)

>ハードカバーなのに値段は結構お手ごろですね
そうなんです。内容と装丁からしたら1万円以上してもおかしくないところです。
『パンチ』誌については日本でも広範な研究書が出ているのですが(2万円超×7冊、あまり高いのでまだ買えません)この時代のまとまったものは今までなかったので、とてもうれしいです。
図書館で借りたら、本当に返したくなくなる1冊です。

相変わらずEdith Laytonをゆっくり読みすすめています。(もったいないので)

The Romance ReaderのレビューにShe knows human nature and understands human behavior and motivation.とありましたが、まさにその通り。
バログほどドラマチックではないかもしれませんが、人間理解については彼女に通じるところがあるように思います。
”Cシリーズ”は The Cad 、 The Choice 、 The Challenge 、 The Chance 、 The Conquest 、番外編としてTo Wed a Stranger があります。
くすくす笑ったり、ジーンとしたり、読み終わってしみじみとロマンスっていいなあと思える佳作です。

と、宣伝はこのぐらいにして(笑

久しぶりの日本の(じめっとした)暑い夏を存分にお楽しみください!
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Unknown (K)
2007-07-09 13:31:00
ただいま~です。
すごくジトジトしていてびっくりしてるんですけど、やっぱり実家はいいですね。

Edith Layton、ガンガン読み進まれてるんですね。
私も未読の山がもう少し減ったら追加しようと思います!(monakaさんの宣伝効果アリ!? 笑)

パンチ誌の研究書はそんな値段なんですかぁ。痛いですね・・・


ブログ更新したいんですけど、友達と遊びに行ったり、母が横から話しかけてきて止まらない状態が続いているので、む、難しい状況にあります…

相変わらずですけど、気長にお付き合い下さいマセね
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Unknown (monaka)
2007-07-25 15:20:36
kさん こんにちは

ようやくClaiming the Courtesan読みましたよ。

読み終わるまではと思って、批評等をなるべく見ないようにしていたのですが、いや~熱い議論が繰り広げられていますね。
作者と編集者は、してやったりというところでしょうか。
まさに「衝撃デビュー」ですね。

さて、内容についてですが、今までもこのようなプロットの作品は多々ありましたよね。
この作品が、これまでと違うのは、強制的な行為の過程が心理面も含めてとても生々しく、つまびらかに描かれていることでしょうか。
これまで、もっと暴力的な行為もありましたが、行為そのものは、ある程度抑えて描かれていたように思います。
その辺は作者の狙い目なんでしょうね。

とにかく誘拐されてから二人が和解するまでの間は、むかむかしながらも怒涛の勢いで読み進めました。(あくまで自分ベースでですが。)
そのかわり、そこからラストまでが長かった。
個人的には、ヒロイン、ヒーロー共にあまり好きになれないキャラクターでした。
一番共感、いや同情できたのは弟のBen君。(最初から最後まで、なんて可哀想なんだ!)

彼女の次作はどうなるんでしょうね。
みんな大注目だと思います。
タフそうな作家さんに見えるので 、Lisa Valdez みたいにデビュー作で注目されすぎて、プレッシャーで次が出せない(?)なんてことはなさそうですね。
ていうかPatienceの納期去年の9月になっているんですけど

この夏は未読の山を少しでも減らそうとがんばるつもりです。
でも、また気になる作家さんがでてきて困ります。
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Unknown (K)
2007-07-26 12:29:04
完読ごくろうさまです。

ホント、二人が和解するまではガーッと一気にいってしまいますよね。

でも、私もこの主人公二人、特に公爵のほうにはあまり共感できませんでしたね。Verityの苦労には同情したんですけど。

Rakehellでは「男性支配型」みたいだと批判されてたと思うんですけど、monakaさんの言うとおり、昔のものと違うのは二人の心理描写がうまく出来ているところでしょうね。

レビューでは「レイプあり」と警告しようかと最初思ったんですけど、個人的には、Verityの心理を考えるとレイプではないんじゃないかなと思ったんですよね。(結局「強制的」くらいにしか表現できなかったんですけど。)
Verityは心の奥底では公爵を求めてるじゃないけすか。


そうそう、あとBen君ね。きゃわいそぅ。
でもお姉ちゃんを守ってえらいえらい!こんな忠実な弟のお話もあればなと思いました。


2作目は12月出版の予定のようですね。Campbellのサイトであらすじを読んだら、やっぱりこういう暗黒系でいくようで。

2冊目に対しては、ちょっと不安な気持ちと期待する気持ちが両方ですけど、やっぱり1冊目がこれだけ衝撃的だからちょっと落ちても仕方ないかな…とも


未読の山、私も日本に来てもっと減るかと思ったんですけど、なんだかんだ忙しくてなかなか減りませ~ん。でも未読の山がなくなったらなくなったでそれはダメですけど
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Unknown (monaka)
2007-07-27 10:11:28
kさん こんにちは

>公爵のほうにはあまり共感できませんでした

彼の子供っぽくて傲慢なところは、こういう貴族のお坊ちゃんはいるだろうな、ということでキャラクターとしては分かりやすかったですよね。

私はむしろVerityの方により共感できませんでした。

疑問なのは、彼女はなぜ最初の相手が亡くなった時に引退しなかったのかな、ということなんです。
15歳の時に、こういう世界に入らざるを得なかったことはわかりますが、弟や妹がそれなりに働ける年齢になったら、やめる機会はあったんじゃないでしょうか。
思春期の弟が、去勢されたアラビア人のふりをさせられ、姉が体を売る手伝いをさせられるというのは、とてもむごい仕打ちですよね。
貴族階級出身だったら、ほかに生活の手段がないということがあるでしょうけれど。
引退するには、もっと稼がなくちゃということなんでしょうが。

考えてみると、彼女の描き方が中途半端なことが、偽善者っぽく感じられて、しっくりこない理由なのかもしれません。
作者がさりげなく書いている(多分)Verityの冷たさや利己的なところがもう少し強調されていればなあと思います。
敬虔な家庭に生まれ育った美しい少女が、心ならずも心身ともにそういう世界に染まっていく、という悲劇にもっと光が当てられていれば、彼女の性格にも深みが出て、共感できたのではないかなあ。
(ていうか、Ben君に対する仕打ちがやはり一番許せないかも。いちゃいちゃばかりしとらんで、無事だと一言連絡ぐらいしてやらんかい

なにはともあれ、いろいろ考えさせられる面白い読書でありました。
紹介してくださったkさんに感謝です。(読んでいればこそ、いろんな掲示板を見るのも楽しいですしね。)

彼女の次回作には本当に興味津々です。
暗黒系でいくのは正解でしょうね。不快な場面を描く彼女の筆はすごく乗っていて、気合が入っているなあと感じますから。
ただ、みんなの忠告を聞き入れて、もう少し人好きのする人物を主人公に据えてくるんでしょうか。
不快な人物をどれだけ魅力的に描けるかということに挑戦してほしい気もしますが。
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Unknown (K)
2007-07-27 15:51:28
>15歳の時に、こういう世界に入らざるを得なかったことはわかりますが、弟や妹がそれなりに働ける年齢になったら、やめる機会はあったんじゃないでしょうか。


やめる意思はあっても、機会はほとんど皆無だったと私は思います。

針子としての技術・才能はなかったんでしょう。あっても針子だけでは妹と弟を支えていくだけの収入は得られません。
家庭教師になれるような知識はないし、愛人だったから結婚の見込みもない。
農業や商売を始めるにも、そういう才能がないとダメですしね。あと、女と取引してくれるような銀行もなかったでしょう。
一人目の愛人が死んだ後は、教育は受けていたけど、愛人だった女をどこも家庭教師としては雇ってはくれないでしょう。
それに、その時点で妹はまだ寄宿舎学校生活です。

当時の女性は良家出身でも貧民出身でも何の権利もなかったんです。
良家出身のほうがまだ少しましで、どこか親戚の家で面倒を見てもらえる可能性はありますが、貧民出身の場合は文字通り路頭に迷う可能性のほうが大きかったと私は理解しています。

今与えられたチャンスを逃さず、妹の学費まで工面していきたいとなれば、彼女の選択には何も疑問はありませんでした。

あと、私はVerityは冷たいとは全く思いませんでしたね~。
家族を優先して自分の体を売る究極の選択をした人を偽善的だとか利己的だなんて全く思いもしませんでした。
Sorayaの時の冷たさは、あれは仮面ですし。

Verity本人にやめたい意思は昔からあったはず。でもやめなかったのは、やめれば明日は野垂れ死にの時代だったからでしょう。


それと、売春においては、売る側がよく「その意思があったんだろう。やめたければやめられたはず」と思われがちですが、お金で性の売買があった時、それは買い手側の倫理・道徳観念と自己抑制の問題です。
ほとんどの場合、体を売る・売られてしまうその人に選択肢はありません。
お金が絡むと力関係ができます。もちろん、払うほうに大きな力が働きますよね。


公爵に関しても、Monakaさんとは意見が異なりますね。
彼は児童虐待を受けたり、家族愛のないさみしい子供時代を送っているからあそこまでVerityを求めたんだと思います。
私が引いたのは、人の意思もまったく無視というところにちょっと狂気を感じたからです。子供時代が子供時代だけに。

でも、子供っぽい貴族のお坊ちゃんという印象は受けませんでした。
子供時代のそういうトラウマとか色々あって、それを隠すために典型的なわがまま貴族っぽい言動をわざと取っているんだというくだりがあったようにも思うんですけど…。
行間よみすぎですかね?

でも恐ろしい目にあっているのに、まぁこれだけまともな感じに育ったんだからえらいなとも思いました。

今度のお話では、またこういうヒーローなら、もっと成長する様子が見たいです

と、自分の意見に熱がこもりましたが、やっぱりお話の世界で何を感じるかは主観ですからね。
その点で、この本は色々物議を醸し出しす要素がありますよね。


そうですね。
不快だなーという第一印象が徐々に崩れていって最後には共感できるH/Hとか、いいじゃないですか?
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Unknown (monaka)
2007-07-28 08:58:42
kさん こんには

Verity について
彼女が、毎日路上で客を取るような娼婦だったら、引退することはできなかったかもしれませんね。
でも、最初の相手は、彼女に遺産としてそれなりのものを残したのではありませんでしたっけ。
確か公爵に、もらったお金は返します、というようなことを言っていたと思うのですが、ということは公爵の愛人になる前に、少なくとも土地を買うだけの資産を持っていたのだと思ったのですが、どうでしょう。
最初の相手が亡くなった時は、弟はそれなりの年齢に達していたと思うし、妹にしても、どうしても学校を続けなくてはならない理由はあったのかなと思います。

それと、弟は妹と同じように彼のお金で教育を受けたのですよね。
もし彼女が家族思いだったら、なぜ彼が自立して生活していけるように就職させるなり、手に職をつけさせるなりしなかったんだろうと不思議です。弟のほうも、姉をそういう暮らしから救うためなら、頑張って働いたのではないでしょうか。

最初に、公爵に一言も告げずに姿を消すところ、彼女なりの理由があったのはわかりますが、弁護士に手紙を託すなりのことはできなかったのでしょうか。
公爵には別に虐待されたというわけじゃないんですから。
最後でもう一度身を引こうとするところも、公爵の気持ちを考えたら、せめて誠実に話し合うことがあってもいいと思うんです。

悲しいことですが、愛人としての生活を続けるうちに、相手の気持ちを思いやる心の余裕を失ってしまったということを、作者は暗に示したかったと思ったのですが、それこそ深読みしすぎでしょうか。

公爵について
>子供時代のそういうトラウマとか色々あって、それを隠すために…
そういう言動をわざと取るというところが、ちょっと子供っぽいなと感じてしまうのですが、それは読み手によって受け取り方が違うのでしょうね。
キャラクターとしてはよくできていると思います。
ロマンスのヒーローとしては、もう少し成熟した男性が好みなのですが、それは読者のわがままというものでしょうね。

余談ですが、作者はこのヒーローにお熱なんでしょうね。公爵夫人にとらえられたVerity を助けに現れる場面で彼への愛を感じました。

もともと英語力がないうえ、急いで読んだので読み落とし、読み違え等あるかと思いまが、その辺はご容赦くださいませ。

The Scandal of the Season  早速アマゾンで注文しました。先日、小林章夫氏の『クラブ―18世紀イギリス--政治の裏面史』という本で、この事件のことを読んだばかりなので、とても楽しみです。
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Unknown (K)
2007-07-28 19:57:16
こんばんは!
白熱してきましたね


>毎日路上で客を取るような娼婦なら

高級娼婦は場所的に守られていて衛生上も有利な点にあるというだけで、引退後の生活に保証がないのはどのような娼婦も同じだと私は理解しているんです。
実在したリージェンシー時代No1娼婦Hariette Wilsonが「退職金」を得るために恐喝まがいのことをしていますし。

Verityが公爵にお金を返すと言ったのは、
「これまでもらった金はここにまだあるから返す」
「これからまっとうに働いた分を使ってでも返す。
だからもう私のことはあきらめてくれ」
という風に私は解釈しました。

>それなりの遺産

これが家族を将来に渡って支えられるほどのものではなかったから続けたんだろうと私は思いました。
Verityだったら、それだけの資金があれば好き好んで娼婦になんかとどまらなかっただろうと思います。

>妹にしても、どうしても学校を続けなくてはならない理由はあったのかなと思います。

もうこれは完全にMonakaさん個人のご意見ですよね。
私はVerityの卒業させてあげたいという思いが強かったと感じています。
やっぱり、きちんと学校を出た「レディー」に比べれば、教育もなにも身についていない女性は、特にきちんとした後見人のいない女性は、当時の社会では完全に不利でしょう。女には何の権利もなかった時代ですしね。

(だから私はVerityが土地を買ったことには驚いたんですけど。女性が銀行口座を持ったり、家や土地を買う権利はあの当時にできたんだったかなぁって。)


>公爵に一言も告げずに姿を消すところ、彼女なりの理由があったのはわかりますが、弁護士に手紙を託すなりのことはできなかったのでしょうか。

これは私もそう思いました。
色々と「こわかった」「止められたらあきらめてしまうかもしれないから」みたいなことを言ってたけど、あんまり納得がいきませんでしたね。ちょっと疑問は残りますよね。
この辺りが、きちんと自立して暮らすのを計画していたVerityの周到さと合ってなかったように思います。
私も、なんできちんと話し合わなかったのか不思議です。


>そういう言動をわざと取るというところが、ちょっと子供っぽいなと感じてしまうのですが、それは読み手によって受け取り方が違うのでしょうね。

そうですね。受け取り方が違うんでしょうね。
心のトラウマを押し隠して、みんなにわがまま貴族という印象を与える一方、それでも公爵としての仕事はきちんとしているというくだりがあったと思うのですが、私はMonakaさんとは反対に「大人だな」と思いました。

でも、「大人だな」と思ったのはそこまで。
中身は成熟はしてなかったですよね。
終始、自分のことしか考えてない印象は確かにありました。

私も成熟した「大人~」なヒーローが好きですね。


>公爵夫人にとらえられたVerityを助けに

ここには私もドキドキしましたよ!
なんか、絶対ハッピーエンドなのは分かってるけど、でもホントにハラハラするシーンもありで。

>作者はこのヒーローにお熱

こういう勢いで最初からヒーローを描いていただければ…(笑


>英語力が

というよりは、解釈の仕方が違うんだと思います。それがおもしろいじゃないですか
私の生徒達も同じものを読ませても、理解の仕方、感じ方、そこから出てくる意見がそれぞれ異なります。
自分だって、その時その時によって感じ方が違いますし。


>The Scandal of the Season

私はまだ読み終わってないので、ネタばらしなしでお願いしますよ!
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