私のことがそんなに嫌いなのかと母が言う。
心の中でそうだという。
でも違う。本当は、そうじゃない。
嫌いにならなければ、離れられないのだ。
離れなければ、自分になれない。自分が持たない。
そうやって子供は成長する。
そうやって、成長したかった。
何度も抵抗し、
四十をすぎて、よっと。やっと離れることができた。
離れることで、愛情が湧いた。
それが彼女にはわからないのだ。
わからなかったし、これからも、わからないだろう。
くっつくことが最上だと、思っているから。