8月22日
「トモちゃんとのいっしょの暮らし」の楽しみ方を考えないと、わたしの人生が終わってしまいます。
結婚もせず、子どもも作らず、人としてこの世に9生まれて、何をしたのか。
何かたのしいことを経験したのか。
何か、人の役になったのか。
考えてみます。
わたしは、どんなときも、トモちゃんとの暮らしを選んできたのです。
どんなに拒絶し、逃げても、結局トモちゃんのところに、迷い込んでしまうのです。
そうなんです。
わたしが、自分でこの生活を選んでいること。
ここがポイントです。
今日は歯医者に行く予定だったのに、行く気がないトモちゃん。結局、断りました。
歯医者さんは「その気になったときに、また来てください」と、優しくおっしゃいました。
トモちゃんは毎日、食事のたびに、入れ歯を抜いて、目の前でひっくり返し、ほじくりかえして、再び格納します、お口の中に。
それを食事のたび、何度も繰り返します。痛いのです。
そんなトモちゃんを見るのは不愉快です。
ですが、行く気がないので断りました。
そうした、食事の間合いに、いつものお決まり、親戚の悪口を始めます。
「わたしは、まいにち毎日あなたの悪口を聞いている。子どものときからです。
あなたの、うんこを入れる(ウンコ壷)なんですか」
そうトモちゃんに言うと、はははっと笑いました。
かさねて、こうも言いました。
「あなたが死んだらお葬式のときに、トモちゃんは毎日毎日、あなた達の悪口ばかりを、
あなた方の知らないヒドイ話を、毎日毎日、話していたんですよ、と、
とぶちまけてやりましょうか」
すると、トモちゃん。
「そりゃあ、言わん方がええやろう」
そう言って向こうからわたしを見上げます。
「値打ちが下がるぞ」
「あなたの、値打ちが下がるのですか。それともわたしの、値打ちですか」
「・・・・・・さあ」
考え込んで、不思議な笑みを浮かべます。
それから私は、王様の耳はロバの耳の話をしました。
トモちゃんは、ホウホウと頷きながら、真剣に聞いてくれました。
でも、またすぐに忘れてしまうのですが。
やがて、
「わしの値打ちが下がるのはいややで、話さんでくれ」
そう言って、お昼のご飯は終了しました。
トモちゃんの悪口は、幸せの経験談、なんですよね。きっと。
毎日、これを聞かされるわたしは何だろう?
少なくとも、ウンコの壷ではないはずです。
漬物桶ぐらいには昇格しているのでしょうか。
本日もお読みいただきありがとうございました。