トモちゃんといっしょ ~認知症の母と暮らして~ 中年プーのぐうたら日記(再会)

実家に戻って3年目。母は中期の認知症。今年から仕事をやめて中年プーに突入。誰にも言えない胸の内を綴ります。

うんこの壷の、これから

2017-08-22 15:49:18 | 日記

8月22日

「トモちゃんとのいっしょの暮らし」の楽しみ方を考えないと、わたしの人生が終わってしまいます。

 

結婚もせず、子どもも作らず、人としてこの世に9生まれて、何をしたのか。

何かたのしいことを経験したのか。

何か、人の役になったのか。

 

考えてみます。

 

わたしは、どんなときも、トモちゃんとの暮らしを選んできたのです。

どんなに拒絶し、逃げても、結局トモちゃんのところに、迷い込んでしまうのです。

 

そうなんです。

わたしが、自分でこの生活を選んでいること。

ここがポイントです。

 

今日は歯医者に行く予定だったのに、行く気がないトモちゃん。結局、断りました。

 

歯医者さんは「その気になったときに、また来てください」と、優しくおっしゃいました。

トモちゃんは毎日、食事のたびに、入れ歯を抜いて、目の前でひっくり返し、ほじくりかえして、再び格納します、お口の中に。

それを食事のたび、何度も繰り返します。痛いのです。

 

そんなトモちゃんを見るのは不愉快です。

ですが、行く気がないので断りました。

 

そうした、食事の間合いに、いつものお決まり、親戚の悪口を始めます。

 

「わたしは、まいにち毎日あなたの悪口を聞いている。子どものときからです。

あなたの、うんこを入れる(ウンコ壷)なんですか」

そうトモちゃんに言うと、はははっと笑いました。

 

かさねて、こうも言いました。

「あなたが死んだらお葬式のときに、トモちゃんは毎日毎日、あなた達の悪口ばかりを、

あなた方の知らないヒドイ話を、毎日毎日、話していたんですよ、と、

とぶちまけてやりましょうか」

 

すると、トモちゃん。

「そりゃあ、言わん方がええやろう」

そう言って向こうからわたしを見上げます。

 

「値打ちが下がるぞ」

 

「あなたの、値打ちが下がるのですか。それともわたしの、値打ちですか」

「・・・・・・さあ」

考え込んで、不思議な笑みを浮かべます。

 

それから私は、王様の耳はロバの耳の話をしました。

トモちゃんは、ホウホウと頷きながら、真剣に聞いてくれました。

でも、またすぐに忘れてしまうのですが。

 

やがて、

「わしの値打ちが下がるのはいややで、話さんでくれ」

そう言って、お昼のご飯は終了しました。

 

トモちゃんの悪口は、幸せの経験談、なんですよね。きっと。

毎日、これを聞かされるわたしは何だろう?

 

少なくとも、ウンコの壷ではないはずです。

漬物桶ぐらいには昇格しているのでしょうか。

 

本日もお読みいただきありがとうございました。