くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「後悔病棟」垣谷美雨

2017-05-15 19:59:37 | 文芸・エンターテイメント
 「もし人生がやり直せるなら、何歳に戻ってみたいですか?」
 と帯に書いてあります。
 わたし自身は、戻ってやり直したいとは思わないのですが、敢えてひとつ言うのであれば、学生のときに司書資格をとればよかったかなという後悔はあります。自分なりには研修しているのですが、学問として学んでおくチャンスがあったのだから挑戦すればよかったな、と。

 垣谷さんの「後悔病棟」(小学館文庫)は、自分の人生に屈託を抱える人々の物語。
 彼らは末期癌のため、主人公ルミ子の勤める病院に入院しています。
 ルミ子は美人で努力家ですが、自己評価が低く相手の気持ちに寄り添った発言が苦手です。
 ある日花壇で発見した聴診器を使ったところ、患者さんの思いが伝わってきて……。

 芸能界デビューを諦めさせられたと恨む、人気女優の娘。学生結婚した妻との会話がお金のことのみと愕然とする会社員。娘の結婚を反対して二十年も過ぎてしまった頃、その男が大成功していることを知った母親。
 中でも衝撃的だったのは、憧れの女子が教師の財布から盗みをしたことをかばった友人への罪悪感を抱え続ける男性の話です。
 友人は内申が悪くなり、受験に失敗。なんとか入った高校も中退してしまうのです。
 後ろめたさを抱えながら、妻と息子との幸福な生活を送っていた彼は、ルミ子が導く別の世界で、自分が犯人であると話します。その結果、彼が知ってしまったのは……。
 これから先、ずっと疑念を抱えていくことになるのかと思うと、やりきれません。
 ルミ子が幸せをつかみ、聴診器を必要としなくなったことが何よりでした。
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