(み)生活

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浅く広く掘っていったらいろいろ出てきました

ep第43話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2017-02-20 13:49:03 | ガラスの・・・Fiction
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「・・・・・なんだその荷物は?」
小さい体に不似合なほど大きな袋を抱えたマヤと遭遇したのは
俺がちょうど会社のエントランスに入る所だった。
「あ、速水さん!お疲れ様です。」
顔が隠れるほどの荷物を床に置きこちらを向いたマヤの顔は
外の寒さと比例するように真っ赤に蒸気していた。
「今は確か、ドラマの撮影・・・、今日はオフか」
「はい!さっきロケから戻ってきて、今日はこのまま休みです」
紅天女のない正月、少しだけゆったりとしたスケジュールだった
マヤだったが、ほどなくして4月の特別ドラマの撮影に入っている。
開局50周年記念ドラマということで、過去に何度も実写化されている
名作のリメイクという、賛否両論必至の難しい仕事だが
マヤは相変わらずの本領を発揮して張り切っているらしい。
「サスペンスなんて初めてだからすごく新鮮です!!」
目をキラキラさせながら毎日楽しそうにしている姿を
直接見る時間は、今の俺にはほとんどなかった。

姫川亜弓主演にて興行されている舞台『紅天女』は
東京での上演を無事終え、今は大阪公演が始まっている。
北島マヤという大看板に対し、最初こそ役をつかむことに
苦労していた亜弓だったが
さすが、唯一のライバルと互いを認め合う実力者、その舞台は
マヤが築き上げたものとはまた違った、妖艶で美しい独自の紅天女となり
話題もうなぎ上りだ。
同時に
二人の稀代の若手女優がそれぞれのアプローチで再現する『紅天女』という
舞台の奥深さを改めて痛感させられる。
"これが、幾人もの人の人生を狂わせた魅惑の作品というものか・・・"
何度も観た舞台、しかし何度見てもなお、自分のこれまでの生き方を
思い出して仕方がない。
"もし、この舞台がなかったら・・・"
俺は今、どこで何をしているのだろう・・・・


「・・・さん、速水さん??」
気付けばマヤがこちらを不思議そうな顔で見ていた。
「ん?あ、すまん。少し考え事を・・・」
「・・・お仕事中ですもんね。で、どうですか?」
どうやら今日の夜、自宅でパーティーをすることになったという。
「速水さんも、もしお仕事早く終わるようだったら・・・・」
参加するのは我々の事情を知る大都の人間(察しはつくが・・・)、それに
劇団つきかげのメンバーだという。
「俺がいないほうが盛り上がりそうだ」
というより、参加するのが怖い。
「でも、せっかくだから・・・。」
何となくさびしそうなマヤの顔は、少しだけわがままな秘密の表情を醸し出していて
ここが公の場でなかったらすぐにでも抱きしめてしまいそうになる。
「・・・・分かった。まあ、期待はしないでもらいたいが・・・」
そういっておもむろにマヤの荷物を取り上げた。

あれ、速水社長よね
ええ、どうしてあんな荷物を運んでるの?
後ろを追いかけているのは・・・・北島マヤよね
相変わらず、面白いことしてるのね

大都芸能のロビーは、真澄の柔和な顔とその荷物、そして
慌てて追いかけるマヤの姿で騒々しくなった。

「わ、社長!!!すみません。」
外では車を回してきたと思われる、マヤのマネージャー大原が
まさか荷物を俺が持っているとは思わず恐縮しきりに謝っている。
「気にするな。小さな女の子に大きな荷物を持たせる趣味は
 俺にないだけだ。」
すみません、ありがとうございました。
ぺこぺこと頭を下げるマヤと大原を急かせ、車を出させる。
いつまでも車の中で手を振るマヤの姿を見ながら
恐らく本日のパーティーに出席するであろう我が秘書のために
今日は早めに仕事を終えねばならぬことを察した。

**
「今日がなんの日かってことは、真澄さまも当然ご存じのはずよ」
だって毎年この時期は山ほどのチョコレートが届くんですもの、と言うと
水城は手にしていたフルーツをチョコの海に投じた。
「そんなにたくさん・・・・」
「というよりマヤちゃん、あなた社長にあげてないの?」
「はい・・・。いつもその時期は紅天女に集中していてつい忘れがちで・・・」
「・・・・まあ、元より社長の頭にもマヤちゃんから何かあるという考えはないと思うけど」

4月に特別番組として放送されるマヤ主演のドラマは地方ロケも多い。
昨日深夜まで東北でロケを行っていたマヤは帰りの新幹線の中で
今日がバレンタインデーであるということに気付いた。
例年この時期は紅天女が真っ盛りということもあって、世間の事情に
もっとも疎くなる時ではあるが、その話の流れの中で
最近は女性から男性にあげるだけではなく、女性同士で渡し合うことも
多いと聞き、その流れで急きょバレンタインパーティーを開くことで盛り上がったのだ。
「せっかくだから、チョコレートフォンデュやらない?」
道具なら大都にあったはず、という大原はその素早い動きであっという間に
水城の了承をとり、ついでに彼女の参加もとりつけた。
「麗達も来れるって!!」
マヤはマヤで、劇団つきかげの仲間たちに声をかけ、みんな思い思いのチョコ持参で
参加することになったのだが。

「でも、せっかくバレンタインデーが休みだってのに、マヤからなにももらえないってんじゃ
 速水社長も気の毒だな」
麗の言葉に、マヤはグッととマシュマロを詰まらせる。
「・・・・やっぱ、そうかな・・・」
「そりゃそうさ、どんなにチョコに興味のない男だって、バレンタインデーに好きな人から
 チョコをもらったらうれしいに決まってる。」
それがまさか自宅に友達招いてパーティーしてるなんて・・・・と
追い打ちをかける言葉に、マヤはどんどん顔を青くした。
「まあまあ、マヤちゃん。気にしないで。今日の休みだって急に決まったことだし
 大体今の時期チョコを買うのも一苦労よ?」
「・・・み、みずきさ~~~~ん。」
優しい言葉にマヤの涙腺も緩む。
「青木さん、あんまりマヤをいじめてあげないで・・・」
「ゴメンゴメン、冗談だよ。」
ほら、これ食べなよ、と麗から差し出されたチョコたっぷりのイチゴをパクリとほおばる。
「おいしい!」
「そうそう。どうせ真澄さま甘い物は苦手だし、今日も仕事で遅くなるんでしょ。」
寂しい思いをさせてるのはあちらなんだから!と水城はマヤを慰める。

「でもせっかくだから・・・これから何か作ってみようか?」
パーティーもひと段落した頃、大原がおもむろに口にした。
「材料もいろいろあるわけだし、ガトーショコラくらいならすぐにできるんじゃない?」
「そうね。どうせ真澄さまもまだまだお仕事でしょうし・・・」
そういうとさっきまでパーティー会場となっていたテーブルは
出来る女たちの素早い動きであっという間にお菓子作りの場へと姿を変えた。
「どうせなら、クッキーも焼いちゃう?」
「それなら私、自分用にトリュフチョコ作っていいですか?」
もはや当初の目的はどこへやら、集まった女性陣による束の間の料理教室は
夜更けまで続いた。

**
「あとは冷めるのをまって、この辺のフルーツをかわいくトッピングして、
 生クリームはここにあるから、仕上げはちゃんと自分でするのよ?」
まるでロボットのように言われるがままに動くしかなかったマヤだったが、それでもほどなく
美味しそうなケーキが完成したときは、初めての手作りチョコに感激した。
「喜んでくれますかね・・・・速水さん。」
「もちろん。」
余った材料で作ったホットチョコレートを飲みながら、マヤ達がリビングで
くつろいでいると、誰かの帰宅を知らせる音が鳴った。
それを合図に、メンバーは皆帰り支度を整え始める。
「あら、気づいたらもうこんな時間」
「でもなんとか当日中に間に合ったわね」
「じゃあ、後はがんばってね!」
口々にマヤを激励する言葉をかけながら、みな帰宅の途についた。
「本当に、今日はありがとうございました!!」
「とんでもない!とても楽しかったわ。」

見送りと入れ違いで、真澄が帰ってくる。
「・・・すごいな。」
部屋に入って来るや否や真澄が部屋中に充満した甘い匂いに反応する。
「チョコレートフォンデュで、腹は膨れるのか?」
信じられないといった顔の真澄のコートを預りながら、マヤはどのタイミングで
チョコを渡すか緊張していた。
「速水さん、今日がチョコレートフォンデュパーティーだって知ってたんですか?」
「いや、昼間に運んでいた荷物がフォンデュセットだったし、今日はバレンタインデーだからな。
 なんとなくそうかと思っていたが・・・、確信したのはこの匂いだ」
「やっぱり・・・、ご存じだったんですね。今日がバレンタインだって」
「まあ、仕事柄チョコレートをたくさんもらう時期ではあるからな。」
「・・・・すみません、いつも忘れてしまって・・・・」
さっきから少しうつむき加減だったのはそれが理由か、と真澄は納得がいった。
恐らくあまり深く考えずにチョコレートフォンデュパーティーを企画したマヤが
参加メンバーにいろいろ言われたのだろう。
"まあ、参加者の中には水城くんもいたはずだから、俺が毎年チョコの山に
 辟易していることは分かっているはずだが・・・"
目の前で若干緊張した顔をしているマヤがおもしろくて、思わず吹き出してしまった。
「・・!?」
「・・いや、なんでもない。せっかく早く帰ってきたんだ。
 満腹かもしれないが少しだけ、俺の食事に付き合ってくれないか?」
そういうと真澄は手にしていた袋を軽く持ち上げた。


「これは・・・」
マヤが真澄の荷物を片づけているうちに真澄が手早くセッティングしたのは
豪華なチーズフォンデュだった。
「道具はそろっているだろうと思ってな。マヤも甘い物ばかりで少し飽きただろう。」
「おいしそう!!」
行きつけのレストランに少し分けてもらったというその材料はどれも一級品で
先ほどまでお腹いっぱいだったはずのマヤの食欲も再びそそられる。
「では・・・・、二人で過ごすバレンタインに乾杯」
冗談めかした真澄の言葉に恐縮しながらも、マヤは得も言われぬ幸せな気持ちに
胸の奥が温かくなった。
「・・・・いいものだな。」
目の前でマヤは嬉しそうにチーズを付けたパンをほおばっている。
外の寒さと正反対に、鍋が発する湯気が二人の間を緩やかに満たす。
この何気ない幸せを、真澄もマヤも無言でかみしめていた。

「私の方が、食べてる気がする・・・」
これで最後、ほんとに最後、と言いながら止まらないマヤを見ながら
今撮っている作品のことや亜弓の紅天女のことなど
取り留めもない会話をしていると、想像以上に癒されていくのを実感する。

「・・・もういいのか?」
「ふう・・・。お腹いっぱい!もう一口も入らない・・・・あ!」
たっぷりと高級チーズフォンデュを堪能したマヤは、冷蔵庫に冷やしていた
チョコレートケーキの存在を思い出した。
「あ、あの、速水さん!」
ちょっと待ってて、と慌ててキッチンに向かうマヤを
ふわりっと真澄が後ろから抱きとめた。
「!?」
突然の事に戸惑うマヤの目の前に差し出されたのは
真っ赤なバラの花束だった。
「・・・!??これは?」
「本来バレンタインは、男性から女性へ愛を送る日だ。」
赤いバラもたまには悪くないだろう?
そう言ってぎゅっと真澄の腕の中に抱きかかえられた。
「・・・・・・キレイ・・・・」
目の間のバラの美しさと、自分の体を包み込む真澄の暖かさに
マヤは自分がチョコレートになってしまったかのような錯覚を覚えた。
「溶けちゃいそうです・・」
「・・・確かに。」
ゆっくりとこちらを向いたマヤの瞳は、今にも溶け落ちそうなほど潤んでいて、
そんな顔を見せられては・・・。


「私からも。あの、用意してるんです・・・」
そういってケーキを取りに行こうとするマヤを、真澄はちっとも離してくれない。
「甘いな・・・」
「え?」
「髪の毛まで甘くして、君は一体どれほどチョコを食べたんだ」
甘いのは苦手だと、普段ならいうくせに、今はマヤの頭に顔をうずめて
ちっとも離れようとしない。
「匂いしみついちゃったのかな・・・。シャワー浴びてきます。」
「・・・・構わん。」
せっかくのバレンタインだ、甘いのも悪くない。
「は、はやみさっ・・・」
真澄はゆっくりと、マヤの甘さに身を沈めた。



「ケーキ作りなんて、いつぶりかしら?」
大原明里の運転する車で送られながら
水城は先ほどの事を思い出していた。
「いつもなにも、あなたが手作りなんてしたことあったの?」
「そうね、少なくともすぐには思い出せないわね。」
「その割には手際のいいことで・・・」
曇ったガラス窓越しに外の景色をぼんやり眺めながら
なんとなく二人は先ほどの事を思い出す。
「とりあえず明日朝一で社に届いたチョコレートを整理しないと・・」
「社長宛の?」
「ええ・・。恐らく明日は真澄さま、チョコの箱も見たくないくらいに
 今、甘い物を堪能しているはずよ。」
「あのケーキ、ブランデーを聞かせて甘さ控えめにしたつもりだけど・・・」
「ふふふ。あのケーキはきっと、早くて明日の朝ね。」
「え?」
ただでさえあの甘い物が苦手な朴念仁が、朝からチョコレートケーキを
食べることになるなんて、いったいどんな顔をするんだろう
想像するだけで水城は笑いをこらえることが出来なかった。

「・・・・・ねえ、ちょっとラーメン食べてかない?」
「え?」
「なんだかしょっぱいもの食べたくなっちゃった。」
そういうと大原は深夜営業しているラーメン屋へと車を走らせる。
「真澄さまも、本当にロマンチストだこと・・・」
「何か言った?」
「・・・・何も。」
先ほどすれ違った真澄の荷物からちらりと見えた真っ赤なバラの花を
思いだし、水城は二人の甘い夜を想った。
「私はいったいいつになったら、ロマンチックな夜を過ごせるのかしら。」
気持ちは既にラーメンの大原を横目で見ながら
ため息にも似た言葉が漏れた。


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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
朝起きて、気が付いた、今日はマヤちゃんの誕生日だと。
誕生日をどう過ごすだろうと考えたら、今年(Fiction上)は
紅天女がないことに気づき、それならバレンタインも・・と
急に書きたくなりました。
普段華麗にスルーされているイベント。
第一、ひと月の間にバレンタインと誕生日という2大イベントが
あると、いったいどうやってやりくりすればいいのか・・・・迷うのは
私だけ?でしょうか。
(クリスマスと誕生日が重なるのも、いろいろと大変ですが)

と、いうわけで誕生日話を書きたいがためのバレンタイン話でした。
時期がズレズレで申し訳ない。

12月末の話が妙にいい感じでキリ良く終わってしまったので
なんとなくこのままフェードアウトすると思ってましたでしょうか。。
いえいえ、ちゃんと続きます。。

といいつつ、新年の抱負に"最低月1更新"としていたことすら
すっかり忘れていました。

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