のこしたいもの

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“自分”って何なんだろう

2016年10月14日 | つれづれ

以前「自分という摩訶不思議」と題してふだん何気なく使っている言葉「自分」の持っている意味について書きましたが、それ以来なんとも割り切れない、思っている事がうまく伝えられていないという思いがぬぐえなかったので改めて「自分」という言葉の持つ意味を考え直してみた。

間違いなく「自分」と言うのは特定の個人でありながら人類にとって普遍的な概念である。つまり、ただ一人のものでありながらこの世に生きる70数億の人間が持っているものであるという事になる。

そして、「自分」とは人間の心と身体を含めたもの(自分の心、自分の身体)であり、この世に生を受けて死ぬまでの間にしかないものでもある。ところが身体は生まれた時から他人が視覚をとおして客観的に認識できるものであるのに対して、心はふつうある年齢に達するまで他人はその存在と中身は想像することでしか認識できない。想像力に頼らずとも心の存在を認識できるのは一般的に赤ん坊が言葉を話せるようになってから、主体的な自分を主張できるようになってからのこと。

 生きている人間にとっての自分とは。 

身体と心が他人に認識されるようになった「自分」は、外部から受ける刺激に対して心も身体もあらゆる他人とは異なった反応をする。いったい何がそうさせるのか? 自己なり自我が芽生えた時から心と身体は各々の成長過程での思いと欲求に基づいた反応をするのだろう。腹が減ったらご飯を食べたい、意に反する要求には抵抗する、苦境からは逃れようとする等々、その反応は人それぞれ異なる。同じ人間であっても生まれ落ちた環境が異なればその人の思いも異なるという事だ。

そういった無数の「自分」は各々にとって全てであり絶対的なものである。例えば、Aにとっての「自分」はAにとってかけがえのないものであり、Bにとっての「自分」はBにとってかけがえのないものであるように。各々にとって「自分」は唯一無二のものであると同時に決してAはBの「自分」にはなりえないのである。相手の立場に100%立つことはできない。それは生きている間に限ったことではなくAが死んでからも決してAがBになることはあり得ないのである。人間の死について考えてみると死をもって身体は体温をなくし、外部からの刺激に対して反応しなくなり客観的に認識できる。一方、死んだ人の心・思いも言葉や声さえもなくなり他人が想像するしか認識できない。ちょうど人間が誕生する逆の過程をたどるだけである。ただひとつ異なるのは死が避けることのできないものであるのに対して生は両親の生殖行為がなければあり得ない(人工授精によらない限り)。

そこで仮にAが死んでしまったとしよう。ふつう、その時点で人間の身体も心も消滅してしまう。けれどもA以外の無数の個人は生きている訳でその分無数の「自分」も存在する。Aではないけれども生前のAが持っていた「自分(感覚)」が無数に存在する訳だ。Aという主体がBに生まれ変わるとか乗り移るとかと言う事ではなしに全くどこの誰かも分からない不特定多数の誰かに切り替わるのだ。僕には、それは切り替わるとしか表現できない。あたかも他の誰かの「自分」に生前のAが感じていた「自分」が置き変わって存在し続けるようなものである。

 そのように考えると現在生きている人間はどのように悪行を重ねて富を築こうと、いくら善行を積もうとその人が死んでしまえば生前のその人の行為はチャラとなる。ところがどっこい、死んだ人の「自分」はこの世に生きている極悪人の「自分」に切り替わるか、人々の尊敬を集める人の「自分」に切り替わるか、悲惨な人生を送っている人の「自分」に切り替わるか、幸せな人生を送っている「自分」になるかは保証の限りではない。

 生きている間に幸せな人生を送っている人が満ち溢れる世の中か、不幸で悲惨な人生を送っている人が大勢いる世の中か、どちらが良いのだろうか。不特定多数の中のある誰かが幸せである確率を考えたら、よほどの変人でない限り平和な世の中である事を望むだろう。だとしたらこの世で悪い事はしない、してはいけないという事になると思う。

「天国に召される」とか「地獄に落ちる」のではなく「天国のようなこの世に生きている誰かに切り替わるか地獄のようなこの世で生きている誰かに切り替わるか」である。

 以上のような僕の考えに疑問や批判を頂ければと思っています。

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