3月12日に行われたITIレクチャーシリーズ「ナパジ・ナパジとオーストラリア現代演劇」(芸能花伝舎)のために来日したクリエイティブ・プロデューサーのアレックス・ケリー氏からメールが届きました。
それによると、ケリー氏やスコット・ランキン氏(「ナパジ・ナパジ」台本)がメンバーである big hART というプロダクションが制作するマルチメディア・パフォーマンス「ナマジラ」が本日、上演され、インターネットで同時中継されるということです。
ぜひ、ご覧ください。
開始時間 5月15日(火) 19:20 オーストラリア東部時間(日本時間+1時間)
www.namatjira.bighart.org/live/
「ナマジラ」は、アボリジニの伝説的な水彩画家アルバート・ナマジラ(Albert Namatjira)と、彼の子供や孫の世代に至る家族、コミュニティの活動について、歌や詩の朗読、展覧会など、多くの表現形態で同時並行的に表現する複合的なアート/コミュニティ・プロジェクトです。
詳細は、上記サイトをご参照ください。
先週11日(金)に、「水の手紙」「私の名は河」の韓国光州市、ピッコウル市民文化会館でのリーディングが無事終わりました。(光州平和演劇祭参加)
井上ひさし作「水の手紙」は光州湖南大学の演劇専攻の学生たちの出演によるもので、若い学生たちの健闘ぶりがストレートに伝わってくる舞台でした。(演出=チェ・ヨンファ)
韓国の劇作家コ・ヨノクによる新作「私の名は河」は済州島の神話を元にした小品ですが、戯曲、演出ともに秀逸で、ソウルから来たプロの俳優たちも好演でした。(演出=キム・ガンボ)
先週末は、ちょうど12日(土)から麗水博覧会が始まるというタイミングでしたので、観客の皆さんには博覧会の関連イベントとして認知されやすかったと思います。現地では、麗水博覧会のオープンが盛んにメディアで取り上げられていました。
このあと、8月7日(火)・8日(水)の2日間にわたって、麗水市の鎮南文芸会館で、上記2作品のリーディング上演とシンポジウムを行います。
以前のブログで、標記のリーディング公演の概要をお伝えしていたところですが、このほど、出演者・スタッフが決定しました。
最新の公演企画書(PDFファイル)は、こちらからダウンロードしていただくことができます。
以下に、文字テキストだけ、掲載しておきますので、こちらもご覧下さい。
(以下、企画書の内容を転載)
■ 愛・地球博成果継承発展助成事業
■ 2012麗水世界博覧会日本館認定行催事
“海といのち、水といのち”
〜地球環境を考えるための日韓演劇交流ドラマリーディングと国際シンポジウム〜
『水の手紙』『私の名は河』
企画書(2012年5月4日)
“海といのち、水といのち”を高らかに謳いあげる
朗読劇『水の手紙』『私の名は河』
地球に生きるすべてのいのちと平和への賛歌
本年5月から8月にかけて韓国・麗水市で「生きている海と沿岸:資源の多様性と持続可能な活動」をテーマに麗水国際博覧会が開催されますが、社団法人国際演劇協会では、博覧会の期間中に、‛自然の叡智’‛人間と自然環境’との関係性を「水」という自然の恵みを題材として考えさせる朗読劇『水の手紙』の上演を企画しております。この『水の手紙』は、日本の国民作家であり劇作家である故井上ひさし(2010年4月没)が、2003年「国民文化祭やまがた」において日本の高校生向けに書いた水と人間の共生を謳った朗読劇です。今回、この作品の上演にあたり、韓国で評価の高い中堅女流劇作家コ・ヨノクが書き下ろした新作朗読劇『私の名は河』も同時に上演いたします。
朗読劇という形式は、馴染みのない方々も多いと思われますが、今回の2作品は俳優の声と動き、音楽と映像を通じ、水、自然、そして人間、地球の多様ないのちと平和を子どもから大人まで多くの人々に伝えます。
また、地球環境と演劇をテーマとするシンポジウムも開催します。昨年3月の東日本大震災を受けて、私たちは水に代表される自然環境と人間の関わりをあらためて見つめ直すことの大切さに気づかされました。甚大な被害を受けた被災地における復興に向けての取り組みを学ぶとともに、演劇によって自然環境を考えることの意義を語り合います。
同時に国際演劇協会がこれまで継続してきた日本(09年)、中国(10年)、韓国(12年)における『水の手紙』上演のプロジェクトをふりかえり、今後への展望を語ります。
今回の公演とシンポジウムにより、若い世代が演劇を通じて地球環境への「感性」を磨く機会となり、環境問題への関心を喚起することができればと願います。
[主催] 国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センター、麗水市
[助成] 愛・地球博成果継承発展助成事業
[後援] 2012麗水世界博覧会 麗水市民文化芸術推進委員会、
国際交流基金ソウル文化センター
[協力] 日韓演劇交流センター、韓日演劇交流協議会
[行事日程] ◎光州:ピッコウル市民文化会館/光州平和演劇祭参加
2012年5月11日(金)19時30分『私の名は河』『水の手紙』
◎麗水:鎮南文芸会館/麗水エキスポ参加
2012年8月7日(火)19時『水の手紙』『私の名は河』
2012年8月8日(水)15時『私の名は河』『水の手紙』/シンポジウム
[入場料] 無料
[公演作品]
◎『水の手紙』(公演時間40分)
作/井上ひさし、翻訳/イ・ホンイ、演出/チェ・ヨンファ
出演/湖南大学メディア映像公演学科学生(光州)
◎『私の名は河』(公演時間40分)
作/コ・ヨノク、翻訳/木村典子、演出/キム・カンボ
出演/劇団青羽(ソウル)
[シンポジウム]
テーマ:『演劇』が喚起する地球環境への感性と国際交流
司会:永井多恵子(国際演劇協会日本センター会長)
参加者:大笹吉雄(演劇評論家)、水戸雅彦(仙南芸術文化センターえずこホール所長)、
チェ・ヨンファ(演出家、光州演劇協会会長、湖南大学メディア映像公演学科教授)
通訳:ミョン・ジンスク、イ・ホンイ
◎水の手紙
作/井上ひさし、翻訳/イ・ホンイ、演出/チェ・ヨンファ
湖南大学メディア映像公演学科
○作/井上ひさし
1934年、山形県生まれ。上智大学外国語学部フランス語科卒業。在学中から、浅草のストリップ劇場フランス座の文芸部兼進行係となり、台本も書きはじめる。戯曲『うかうか三十、ちょろちょろ四十』が芸術祭脚本奨励賞を受賞。放送作家としてスタートする。64年には、その後5年間におよぶNHK連続人形劇「ひょっこりひょうたん島」(共作)の台本を執筆。現代的センスによる笑いと風刺で多くの人々に愛された。69年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。72年、江戸戯作者群像を軽妙なタッチで描いた『手鎖心中』で直木賞を受賞。同年、『道元の冒険』で岸田戯曲賞と芸術選奨新人賞も受賞。以降、戯曲、小説、エッセイなど多才な活動を続けて、戯曲『しみじみ日本・乃木大将』『小林一茶』で紀伊國屋演劇賞と読売文学賞(戯曲部門)、小説『吉里吉里人』で日本SF大賞、読売文学賞(小説部門)、また『私家版日本語文法』『自家製文章読本』『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』などもベストセラーになっている。84年、こまつ座を旗揚げ。『頭痛肩こり樋口一葉』『きらめく星座』『闇に咲く花』『雪やこんこん』『人間合格』『黙阿彌オペラ』『連鎖街のひとびと』『兄おとうと』『円生と志ん生』他多くの戯曲を書き下ろして上演。「昭和庶民伝三部作」でテアトロ演劇賞、『シャンハイムーン』で谷崎潤一郎賞、『太鼓たたいて笛ふいて』で毎日芸術賞・鶴屋南北賞を受賞。
○演出/チェ・ヨンファ
1963年、光州広域市生まれ。全南大学国語国文科、中央大学大学院卒業ならびに湖西大学文化経営博士。『マクベス』『エレクトラ』『夢恋』『太白山脈』『就善録』『魔笛』など、演劇、ミュージカル、舞踊、パフォーマンスを100作品以上演出するとともに、「光州ビエンナーレ」「光州デザインビエンナーレ」「光州国際映画祭」「平和演劇祭」「アジア公演芸術祭」のプログラマー、芸術監督を歴任。現在、光州演劇協会会長、湖南大学メディア映像公演学科教授、文芸チョント代表、劇団チンダルレピネ(つつじが咲いてる)代表。
演出 チェ・ヨンファ
演出助手 イ・ワンサン
映像監督 コ・ホビン
映像製作 ミョン・ソル、キム・スンソク、チョン・ジュノ
企画 チェ・ヒョンジュ
舞台監督 イ・ソンホ、キム・ジェソク
照明 イ・セッピョル、イ・ジェソン
音響 ハン・ジヘ、イ・アラ
メイク キム・ヒョジン、ミョン・ジュソン
小道具 チョ・ハナ、チョ・ミョングック
衣装 カン・チャミ
進行 キム・ジョンゴン、イ・ドンス
出演 ヤン・ソナ、カン・ドンウ、イ・サンイク、
チャン・ヒスク、ペク・ジヘ、
イ・スンハク、チェ・ソンヒ、ジン・ミヨン、
イ・サンジ、チョン・ヒョジン、
キム・ヤンヒ、チェ・ヨンウン、ファン・ジノ、
ウ・ジス、イ・ドンイン、
ピョン・ミヌ、チェ・ユル
◎私の名は河
作/コ・ヨノク、翻訳/木村典子、演出/キム・カンボ
劇団青羽公演
○作家/コ・ヨノク
犯罪や社会的弱者への偏見と権力の暴力性を批判する社会劇で高い評価を受け、最近では時間と空間、そして精神といった形而上学テーマを探求するアレゴリー劇を発表している。重いテーマを扱いながらも、詩的で簡潔な台詞、喜劇的な人物造形、現実と非現実を軽々と行き交う戯曲が魅力だ。代表作に『人類最初のキス』『笑え、墓よ』『一週間』『足跡のなかで』『僕がカラスだった頃』『主人が来た』『地下生活者たち』などがある。大韓民国演劇大賞戯曲賞(11)、ソウル演劇祭大賞・戯曲賞(07)、大山創作基金(03)などを受賞。
○演出家/キム・カンボ
戯曲を徹底分析し舞台化する卓越した演出力で、社会的題材を扱った作品からミュージカル、商業演劇まで幅広い作品を手がけ、高い評価を受けている。2011年には国立劇団で演出した『主人が来た』で文化部長官の表彰を受ける。現在、劇団青羽代表。代表作に鐘路の猫』『花蛇が私の足にまとわりついて』『オイディプス−それは人間』『人類最初のキス』『ヘンリー4世』『酸素』『エクウス』『ジョバンニの父への旅』(別役実)『ブラインドタッチ』『だるまさんがころんだ』(坂手洋二)『ルシード・ドリーム』『俺の心臓を撃て』『地下生活者たち』など多数。
舞台デザイナー キム・ウンジン
衣装デザイナー イ・ミョンア
動き指導 イ・ユンジョン
演出助手/舞台監督 ク・ジャヘ
進行 チェ・スンミ
出演 チョ・ソルオン、チョン・ジュノ、
パク・ウンジョン、チェ・へヨン、
チョン・ソクウ、チョン・ヨンジュン、
ハン・サンウ、キム・ソンヨン、ピョン・ミンジ(楽士)
<あらすじ>
砂丘にひとり孤独に暮らす‛今日(オヌル)’は芸人たちと出会い名前をつけてもらい、源泉河(ウォンチョンガン)に行けば両親にも会えるという話を聞き、自分探しの旅に出る。
‛今日’は農婦、駅員、年に合わず年老いた少年、科学者など、旅の途中で出会った人々の理由のわからない苦しみに耳を傾け、両親に会ったなら彼らの苦しみのわけを尋ね、必ず解決すると約束する。こうして共に旅立つことになった一行は、あれほどに探し求めていた源泉河に到着するが……
<演出の言葉>
『私の名は河』は済州島の神話「源泉河ポンプリ」をモチーフに、砂漠でひとり暮らす‛今日(オヌル)’が両親が暮らす源泉河を訪ねる話です。
劇中、‛今日’が出会った源泉河は、現在私たちが目をそらしてきた自然を思い出させます。
私たちは自然がもたらす小さな災害にも怯え、自身の利益に目がくらみ、自然を壊し、本来の姿を失い壊れゆくそれらから目をそらしています。私たちがこのまま自然を人間の所有物でもあるかのように手を加え、壊したなら、いつか‛今日’が出会った源泉河のように屍となった自然に出会うことになるかもしれません。そして、もしこのような日が来るなら、私たちの未来も、希望も、笑顔も、すべて失った後でしょう。これは創造しただけでも恐ろしい災難です。
すでに自然は私たちに何度も警告してくれました。これ以上、その警告を無視するわけにはいきません。
小川の水はめぐりめぐってついには河に流れていきます。私たちは自然から目をそらしたまま暮らせず、結局は自然へと流れ込むひとつの大きな河となり、ともに流れなければなりません。‛今日’が源泉河の砂を一握り河にまき、波浪が生れたように、私たちも自然に答えを求め、病にかかっている世界を治癒し、自然とともに生きることに気づかなければなりません。
(以上)









