ライブドア・堀江貴文社長の「メディア・インターネット・ファイナンス・コングロマリット事業」に期待する

2005年05月21日 18時39分59秒 | 経済
ライブドア、金融事業に500億円投資…フジ和解金で (読売新聞) - goo ニュース

 ライブドア(堀江貴文社長)が、金融事業に500億円投資すると報じられた。ニッポン放送株買収劇でフジテレビから得た和解金約1470億円のなかから金融事業に投資するという。
 約1470億円の使い途の内訳は、
 ①インターネット銀行の設立や証券業務の拡大など金融事業-500億円。
 (西京銀行と共同で新たにインターネット銀行「西京ライブドア銀行」を設立-100~200億円投資。インターネット証券「ライブドア証券」の取引拡大に伴う資金-200~300億円投資) ②無線LAN(構内情報通信網)事業に100~200億円投資 ③投資ファンドなど--数百億円。
 ④手元資金-200~300億円。
 ⑤新たなM&A(企業合併・買収)-400億円程度。
 (本業のIT(情報技術)関連事業との相乗効果を図るため、消費者金融業や単価の高い商品を扱う電子商取引事業などにM&Aをかける)
 堀江貴文社長はニッポン放送株買収からフジテレビまで意欲的にM&Aをかけ、「メディア買収」の真の意図と目的について、様々な憶測を呼び、マスメディアやジャーナリスト、あるいはM&A専門家などから「何をしようとしているのかビジョンがはっきりしていない。堀江社長は説明責任を果たすべきだ」などと厳しく批判されていた。だが、堀江社長は、「メディア・インターネット・ファイナンス・コングロマリット事業が、大きなビジネスになる」と何度も発言し、詳しく説明しようと試みていたのに、大半のマスメディアやジャーナリスト、あるいはM&A専門家は、聞く耳をもとうとしていなかった。
 堀江社長の言葉通り、「メディア・インターネット・ファイナンス・コングロマリット事業」の全貌がようやく明らかになってきたのである。要するに、堀江社長が「メディアの集客力」を最大限に利用して、インターネットという武器を活かす「金融事業」をやりたかったのである。
 しかし、実業家として「金融事業」に真っ先に突進する経営者としての目は、「慧眼」の一言に尽きる。
 経営資金をしっかり確保して、経営基盤を強固にしておけば、経済や景気変動に巻き込まれても、それに翻弄されることが少なくなるからである。このことは、経営の歴史を振り返ってみれば、明らかである。
 三井財閥の基礎を築いた三井高利は、「呉服業」を表に、裏で「両替商」を行い、これが後に「三越デパート」と「三井銀行」(現在は、三井住友銀行)に発展している。
 住友財閥の始祖・住友政友は、「南蛮吹き」による「銅吹き業」から「銀」を抽出して巨利を得た。住友家は「銅山採掘利権」を独占し、別子銅山を経営するかたわら、金融業を営み、後に「住友銀行」(現在は、三井住友銀行)を創立している。
 鴻池財閥は、山中鹿之助の長男・鴻池新六が「清酒醸造業」で巨利を得て「回船問屋」から「運送業」を開き、「両替商」をはじめ「大名貸し」を行い、後に「鴻池銀行」を生み、「三和銀行」(現在は、UFJ銀行)に発展している。
 三菱財閥は、岩崎弥太郎が海運業から軍需産業を手がけ、貿易商社に進み、三菱銀行(現在は、東京三菱銀行)を生んでいる。
 安田財閥は、安田善次郎が両替店で「金銀の鑑定眼」を磨き鍛え、小額資金で「露店の両替店」から身を起こし、「厳しい経済的変化に対応するためには、自分の自由になる個人銀行が必要」と痛感し、安田銀行を創立、これが後の「富士銀行」(現在は、みずほ銀行)へと発展する。
 野村財閥は、「証券業」から「野村銀行」を起こし、これが後の「大和銀行」(現在は、りそな銀行)になっている。
 ライブドアの堀江社長が尊敬し目標としているソフトバンクの孫正義社長は、「あおぞら銀行株」を大量に取得して、一時「銀行業」に参入していた。
 このように、経営者が事業を拡大しようとした場合、安田善次郎が「厳しい経済的変化に対応するためには、自分の自由になる個人銀行が必要」と痛感したように、必ずや「景気変動」に巻き込まれて、最悪の場合、資金ショートを起こして倒産に追い込まれる危険がある。銀行型でスタートして発展してきた日本資本主義は、資金調達の道を「銀行中心」にしてきた。家屋敷を担保にして融資を受けざるを得ない。逆に担保がなければ、融資を受けられない。これが「投資型」で発展してきたアメリカ型の資本主義社会とは決定的に違う点であった。
 景気変動に巻き込まれても、潤沢な資金があれば、安定経営できる。それには、自らが「金融業」を営み、「銀行経営」に携わるに越したことはない。
 堀江社長は、まだ32歳の青年実業家ではあるが、このことに早くから気づいていたのであろう。インターネットを利用する報道の方法により、既成のマスメディアに衝撃を与えるとともに、「メデイアとインターネット融合」という新しい報道のあり方と将来への可能性を考える機会を与えてくれただけでない。堀江社長の頭の中には、「金融事業」という壮大な儲け口と「宝の山」が描かれているようである。
 日本の資本主義が「銀行型」から「投資型」へ急激な変化を迫られている状況のなかで、堀江社長が起こした「超弩級の衝撃」は、計り知れなく大きく、「革命的」とも言える。
 「義経」の「奇襲戦法」にも似た快進撃が、「義経」のような「悲劇」に終わることがないことを祈るばかりである。世の中には、「頼朝」のような「政略家」がウヨウヨいるからである。
「頼朝」の側には、「孫子の兵法」を家学として受け継ぐ直系の「大江広元」がいて、政治参謀として「策謀」をめぐらした。
 この「孫子の兵法」を経営の基礎においている経営者の一人が、ソフトバンク・グループの統率者「孫正義」であり、マイクロソフト社の総帥「ビル・ゲイツ」であることを、堀江社長は、見逃すべきではなかろう。

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