一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1582   台風や枕正して又眠る   洋子

2015年09月28日 | 

 熱海は坂の町だから、台風の大雨による床下、床上浸水などの水害はまずあり得ない。怖いのは、鉄砲水や土砂崩れだろう。又、強風によって屋根が飛んだり、家屋倒壊はあり得る。

 この句の台風は、深夜であろうか、激しい風雨の音を聞きながらできることと言えば、不安や恐怖を抱えながら眠ることしかできない。しかし、眠ろうとしても眠れるはずはなく、何度も枕を正すぐらいしか、他に方法はない。

クルマバナ(車花)

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1581   友逝くや色なき風の中に立ち   章子

2015年09月27日 | 

「木・火・土・金・水」を主とした陰陽五行説によると、秋を色に例えると白で「白秋」、風は「白風」である。又、秋を金属に例えると金で、風は「金風」である。

 では、秋風を白でも金でもなく「色なき風」は、どうして生まれたのか。「古今和歌六帖」に記載された紀友則の「吹き来れば身にもしみける秋風を色なきものと思ひけるかな」と使ったのが初出らしい。元々風は、つまり空気は無色透明なのだから、友則さんの言っているのが最も正しい。

 さて、そんな色なき秋風の中に、去り逝く友の魂が作者に別れを告げんと、夢でも幻影でもなく、真実すっくと立っていたという。

白萩

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1580   タイマーは五分きっかり秋刀魚焼く

2015年09月25日 | 

 タイマーを使い出したのがいつからだったか忘れたが、最初は1時間のゼンマイ式のベルが鳴るタイプだった。勿論壊れないので、今でも使っている。

 最近のもう一台は、乾電池で動く液晶表示で、冷蔵庫の扉に吸い付くマグネット式で、秒単位で正確な電子音。

 サンマを焼いて黒こげにしたり、鍋やフライパンを使えなくなる程よくこがす私としては、実に重宝な道具である。我が家のガスレンジは、魚の表5分、裏3分程度が適当。

 それにしても、太平洋の公海で台湾・韓国・中国の大型漁船が早期にサンマを捕獲していて、そのうち日本人の口に入らない時代が来るかもしれない、などと言われているそうだ。

イタドリ(虎杖、痛取)

止血作用や鎮痛作用があるので「イタドリ」と言われるらしい。

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1579   秋の蚊のいのちすなわち打ちにけり

2015年09月22日 | 

 「腕が蚊に刺された時、確実に殺すには腹一杯吸わせてから打つのが良い」と588回で書いたが、もっと良い方法を発見した。

それは、まづ蚊が針を深く刺したことを確認する。それから、腕は動かさず、腕の筋肉に思いっきり力を込める。つまり、針を抜けにくくしてから、思いっきり蚊を打てば良い。やはり、10中8,9成功するはずだ。

 但し、深く射していないのに、慌ててやると逃げられるからご注意を。

 

 

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1578   寒蝉や一つ欠けたる三つ巴

2015年09月21日 | 

 この五年間、4日もブログをアップしなかったのはたぶん初めてだ。何故かと言えば、15トンの松の最後を割っていたから。7月から今日まで、暑さの夏も薪を割り続けた。お陰で3キロ体重が減った。ビール腹が少しへこんだのが嬉しい。

 さて、寒蝉(かんせん)とは、つくつく法師、又はヒグラシ(蜩)の2説あるらしい。いづれにしても、秋の蝉である。今年の我が家のヒグラシは、9月13日が最後だった。彼岸の中日の今日、ミンミンとツクツクホウシはまだ鳴いている。

追記 我が家で今年鳴いた最後は、ミンミンゼミ21日、ツクツクホウシ28日でした。

追記 今年の秋分の日(彼岸の中日)は、23日でした。訂正いたします。 

ウド(独活)

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1577   夏川を越すうれしさよ手に草履

2015年09月16日 | 

 先日、A氏より、日経新聞が出している非売品の「日経回廊」をいただいた。「男はみんなわがままだ」副題は「与謝蕪村・遅咲きの芸術家」で、蕪村についてA氏が書いている。

 蕪村が、絵の修行をした宮津の見性寺、掲句を詠んだ与謝野町野田川、京都の自宅跡や墓地などを実際に歩き、文章を書いている。私も是非一度は行ってみたいと思う。「蕪村は、60才を過ぎてからどんどん詩情が豊かになり、みずみずしさを増してゆく・・・・・」というのが蕪村のすごいところだ。私などは、とても真似できそうもないが。

 ところで、30数年前、俳句を始めたころ、森本哲郎の「月は東に―蕪村の夢 漱石の幻」を読んだが、「草枕」は、蕪村の絵画と俳句に惹かれた漱石が、それを小説化したものだ、それどころか主人公の画家は、蕪村自身に違いない、と断定しているのに、驚いたものだ。

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1576   門前に車を止めてずんだ餅

2015年09月11日 | 

 松島は、どういう訳か観光客が溢れていた。瑞巌寺の本堂は修復中のため見られず、仮本堂の仏像を拝し、宝物館を見ただけ。他の3寺と比べて、700円は立派に高い。自動販売機で入場券を販売しているのは、瑞巌寺だけ、商売根性丸出しの感じ。

 しかし、門前の寺町小路の「ずんだ餅」は、美味かった。枝豆を荒目にすりつぶした餡に、餅をからめただけだが、素朴で私の好みだった。

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1575   蕎麦の花四寺廻廊に雨連れて

2015年09月10日 | 

 2003年(平成15年)、「みちのく古寺巡礼・四寺廻廊」というおかしな新しい巡礼が、四寺によって発足した。山寺立石寺、松島瑞巌寺、平泉中尊寺、平泉毛越寺の四寺を巡ることをいう。

この四寺を開いたのが、平安時代、仏教を学ぶために最後の遣唐使とし唐に渡った「慈覚大師円仁」(えんにん、延暦13年(794年)~貞観6年(864年)である。

9才で出家し、天台宗延暦寺を開いた最澄に師事した後、9年6か月に及ぶ苦難を乗り越えて帰国した54才の円仁が、開山したり再興したと伝わる寺は、みちのく四寺のほか、目黒不動として知られる瀧泉寺や浅草の浅草寺などもあり、関東に209寺、東北に331寺余もあるとされる。

 それにしても、みちのくの蕎麦の花は、旅中一番の印象的な花だった。

 

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1574   語り部の河童可愛や秋の夜

2015年09月08日 | 

(かたりべの かっぱかわいや あきのよる) 

 偶然でしたが遠野の、天皇陛下もお聞きになったというホテルの部屋で、可愛いおばあちゃまの昔話を聞いてきました。「オシラサマ」「河童淵」「ザシキワラシ」「豆腐とコンニャク」の四話でしたが、客の一人が「全然わかんねえ」と言うくらい「遠野弁」は確かに分かりにくかった。プリントを貰ったので、後で読みましたが。

 当日泊まったのは、観光案内所で貰ったパンフレットで見つけた「B&Bカフェ やまがら文庫」でした。庭の草花が咲き乱れ、建物は新しく、薪ストーブがあり、名前の通りリビングには様々な本があります。無線ランも使えました。カフェのご夫妻は、とても暖かく親切でした。遠野へ行ったら、料金もリーズナブルで、お勧めのB&Bホテルです。 

オミナエシ(女郎花)

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1573   陸奥の胡桃栃の実落下音

2015年09月07日 | 

(みちのくの くるみとちのみ らっかおん) 

 花巻の北上川にある、宮沢賢治が名付けたという「イギリス海岸」に行ってきました。駐車場や土手沿いには、クルミの木が沢山あって、沢山の実を拾ってきました。

 近くに「くるみの森」という「無料お休み処」があり、お茶を御馳走になりました。「ケサランパサラン(別名ゴマンザイ)」という蔓性植物の種まで記念にいただきました。肝心のイギリス海岸は、残念ながら最近の雨続きのため水量が多く、水没して、写真でしか見ることはできませんでした。

又、盛岡城址公園では、大きなトチの木があり、散策路にも実が沢山落ちていて、やはり拾ってきました。種を蒔いて、芽が出るのが楽しみです。クルミもトチの実も実が大きいので、地面に落ちる時、大きな音がします。頭にでも落ちたら、タンコブができるのではないかと思われるほどです。

クルミ(胡桃)

トチ(栃)の実

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1572   庭仕事休める指に秋時雨      洋子

2015年09月05日 | 

  歳時記に、「時雨とは、さっと降ってさっと上がり、時には断続し、時にはしばらく降り続く雨をいう。冬の初めごろから中ごろにかけて多く降る。山から山へあたかも夕立のように移動しながら降ったり、対岸は日が当たっているくせに、こちら側は降っていたり、なかなか趣が深い。北国に多く、京都の時雨は昔から名高い」とある。秋に降る時雨は、秋時雨である。

  さてこの句、庭仕事を休んでいたら、頭でも体でも足でも手でもなく、なんと指に雨が降って来た、という。たぶん、たった一滴であろう、まず指に雨が降り出したのだ。自然界の良くあることではあるが、作者の驚きが感じられる。そして、それはパラパラと降り、しばらくして止んだのであろう。

サルスベリ(百日紅)

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1571   第228回 8月 岩戸句会  

2015年09月04日 | 岩戸句会

庭仕事休める指に秋時雨       洋子

猫じゃらし我が挨拶の舌足らず 

    

雲海の割れてつり舟通りすぐ     章子

青時雨いつしか止みて鳥の声

 

黙祷を捧ぐ蝉の音激しかり      稱子

母を呼ぶ嗚呼己が声明易し

 

送り火に黙したままの親子かな    豊春

秋めくや山宮ゆする囃子連

 

癒えし子の脛の細さや氷菓舐む    薪

流木の木目浮き立ち涼新た

 

敗戦日アメリカ製の帽子掛け     炎火

白焼きの鰻とガラス製の猪口

  

終戦日いまや薄らぐ記憶かな     歩智

蝉時雨しきりに雲のうごきおり

 

黒ビール宴はじまる前祝い      一煌

黒アゲハぶらりと花へ移りゆく

 

身のそばを飛び去るトンボ夢に似て   余白

一瞬を焼き付けている甲子園

 

黙祷をせよとサイレン敗戦日      雲水

薪割りの滴る汗を薪が吸い

 

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1570   光堂降り始めたる秋の雨

2015年09月01日 | 

  昨日、平泉の「中尊寺」に行ってきました。芭蕉が「五月雨の降のこしてや光堂」と詠ったあの金色堂です。金色堂は、平安時代後期の1128年に奥州藤原氏の初代清衡によって建立されました。

  私が驚いたのは、傷みがひどいため160年後の、なんと1288年に鎌倉幕府が旧覆堂(きゅうおおいどう、)を造ったことなんです。藤原氏を滅ぼした鎌倉幕府が、覆堂を造り、金色堂を守ろうとしたんですね。

現在の覆堂は、昭和38年に造られた鉄筋コンクリート造です。

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