答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

消しゴムで消せない言葉

2017年04月27日 | ちょっと考えたこと

例の前復興大臣の言葉に日本中が唖然とした(と信じている)その日、わたしもまた、「それをいっちゃあオシマイよ」的言葉を吐いてしまっていた。

家での夕餉、そのことを女房殿に打ち明けると、

「アレと比べたらダメ」

「あなたは絶対にあんなことは言わない」

と励まされたのだが、

「もちろんそりゃ喩え。けどオレにもそんなふうなことをしでかす可能性はあるのだ」

と、妙なところで言い張ったわたし。

思うに、このごろ少し、「吐く言葉」が軽い。

もともと重くはなかったが、いつもに増して軽い(ような気がする)。

「書く言葉」ではない。口をついて出る言葉がだ。

「書く言葉」は消しゴムで消せる。どころか、PCにキーボードで入力する形の「書く」では、消しゴムでエッチラオッチラ消す必要もなく、Deleteキー一発ですべてを帳消しにできる。ところが、「吐く言葉」はそうはいかない。自らが発音することで世間にリリースされた言葉は、その刹那から、消そうとしても消すことができない。まだそこらへんに漂っているかもしれない自分自身の言葉をひっつかまえて、くしゃくしゃっと丸めてゴミ箱に捨てる、なんて芸当はどこのどなたであろうとでき得ない。

もちろん、「東北でよかった」などという言葉をわたしが吐くとはゆめ思わない。あの人の場合は、常々そう考えていたのだろう。「あっちの方だからよかった」という言いぶりにそれは表れている。そして、思っていることや考えていることはついつい口をついて出てしまうものだ。そういう意味では、わたしもまた、いつ心のなかに潜めたつもりの棘や闇をさらけ出してしまうやもしれない。他山の石以て玉を攻むべし。あらためて言葉の怖さ、大切さを実感した。

そうそう、「東北でよかった」といえば、宮城県南三陸町の佐藤仁町長がこう言ったそうだ。


前大臣の発言は残念だったが、震災から6年がすぎ、震災の風化が進む中で、被災地を思い出し、応援するメッセージが広がることは本当にありがたく心強い。


前大臣の発言に関連して、ツイッターなどで「東北でよかった」というハッシュタグをつけ、東北出身であることを誇りに感じたり、東北の魅力を伝えようとする投稿が相次いでいることを受けての発言だという。

あのどうしようもない発言については、「残念だった」という程度に抑え、ポジティブで未来志向のコメントとなっている。

すべからく、かくありたいものだ。

そう思った。




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『我らイワケン株式会社』(そのだつくし)という贈与

2017年04月26日 | 土木の仕事

 

岩手県建設業協会がつくった広報マンガをいただいた。

『我らイワケン株式会社』(そのだつくし)だ。

わたしに向けた贈与ということはすなわち、ここで紹介してネ、という依頼に他ならない。

ということで、その気持ちズシッと受けとめ紹介する。

感想。

いい。じつにいい。等身大の地域建設業を描くことに成功しているからいい。そして、昨今よくある広報マンガとは、そのクオリティーという面で明らかに一線を画している。

わたしの思うところ、その最たる要因は「そのだつくし」という作家を起用したところにある。つくしさんの絵がなかったら、この「普通感」とハイクオリティーは実現していなかったのじゃないだろうか。

そんななか、わたしがもっとも印象に残ったシーンがこれ。

 

 

 

 

 

 

 

この想いは、「最後まで読んでいただき、ありがとうございました」という「あとがき」にも詰まっている。全文紹介するので読んでいただきたい。

 

 

 建設業の”やりがい”として『スケールが大きい仕事』、『地図に残るような仕事』、『人の役に立つ仕事』などがあげられます。道路や橋、堤防やダム、学校やビルなど、スケールが大きくて地図にも残り、まさに人の役に立つ仕事が建設業です。

 ただ今回、このマンガで紹介した内容の多くは、地図には残らないかもしれませんが、まさに人の役に立つ「縁の下の力持ち」として、建設業が果たしている「地域を守る」仕事でした。建設業の日常の仕事を飾ることなく紹介することで、地元建設業の「熱意」「心意気」を知ってもらいたかったからです。我々の熱意を受け止め、真剣に取材や執筆に取り組んでいただいた漫画家のそのだつくし様に、心より感謝申し上げます。

 第2話のコラムでハジメくんが言っていましたが、「道路」は”見えないところをちゃんと作ることが大切”です。どのような仕事でも「目には見えないところまで手を抜かない」ことは共通しています。マンガを通じて建設業のことを少し詳しく知ってもらって、皆さんが将来の仕事について考えるきっかけにしてもらえれば幸いです。

 最後に建設業という仕事の魅力を一部紹介させて下さい。

 ・身につけた技術や資格によって、地域の発展や安全に貢献できること

 ・技術さえあれば年齢を重ねてもずっと仕事をしていくことができること

 ・一つの現場を多くの人が力を合わせて作り上げること

 ・同じものを作ることがなく、日々成長できること

 ・自然と向き合って仕事ができること

 ・スケールが大きくても小さくても、人の役に立てること

 

 

読むとわかるように、少年少女向けの文章だが、いささかトウが立ったこの辺境の土木屋の胸につまるものがあった。本編のマンガを含め、ぜひ地元の中学生たちに読んでもらおうと思っている。岩手県建設業協会さんでは、中学校や高校をはじめ、図書館、関係各所などに配布するとともに、ホームページでも読めるようになるという。

『我らイワケン株式会社』(そのだつくし)という贈与。贈与は贈与者に直接返すことでチャラになるものではなく、別の誰かに贈与することではじめて贈与への返礼が成り立つ、という「贈与と返礼のサイクル」にもとづいて紹介させていただいた。ぜひ皆さんも一読し、多くの人に紹介してもらえたらありがたい。


それにしても岩手県建設業協会、さすがである。




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「背中をつつかれる」ということ

2017年04月25日 | ちょっと考えたこと

今朝の高知新聞に載っていた笑福亭三喬さんのコラムに興味深い話があった。

彼が大学生時代に所属した落語研究会、その設立のエピソードだという。

当時、その大学では新たにクラブをつくるのには最低5人のメンバーが必要だったというが、どうしても一人足りなかった。初代会長の西谷さんは苦肉の策で、ある日の授業中、前に座っている西田という青年の背中をつつき、こう持ちかけたという。

 

「落語研究会をつくりたいから、名前を貸してくれないか」。一方の西田はコーラス部の立ち上げを目指しており、お互い名義を貸し合う幽霊部員となりました。後にコーラス部は自然消滅、西田は落研に専念することとなります。

この西田勤がなにあろう、桂文珍さんです。あの日、あの時、後ろの西谷が背中をつつかなければ、桂文珍はこの世に存在しなかったのです。

 

誰にでも「背中をつつかれた」経験はあるはずだ。そして誰にでも「背中をつつく」他人の存在がある。その他人が、自分の背中を「つつく」指を、まず「余計なもの」と受け取り門前払いするスタンスで渡る世間を生きるか。なんだかよくわからないけれど、ちょっと話を聞いてみようというノリを採用して生きるか。ほんの少しばかり心の持ちようを違わせるだけで、その先の展開が大きく異なってくる。

いや、異なってくることもあるし、何にも変化がないときもある、というのが正解だろう。渡る世間というやつは、ときとして劇的ではあるが、ふだんの暮らしがそうそう劇的であるはずもない。しかし、「背中をつつく」他人の存在を、「うっとおしい」と感じるマインドからは前向きな何かが生まれる余地はない。たとえあったとしても、その未来は推して知るべしだとわたしは思う。「背中をつつかれた」という事実は、ほんの入り口に過ぎないが、まずは感じること。ときには勘違いもあったりするが、まずは感じること。すべてはそこから始まる。

 

好奇心、向上心、行動力。

久しく口にすることがなかった「私的3K」を独りごちてみた。

 

 

 

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Led groooover のニューアルバム『豪傑』

2017年04月24日 | 高知県

 

豪傑
Led groooover
Level Do

 

Led groooover

https://www.facebook.com/Led-groooover-786497831386888/

高知出身の若者2人のギターユニットだ。

(旧名IGOSSO)

Led groooover(ロッククラシックギターデュオ)のブログ』いわく、

 

Led(レッド)は発光する電気です

groooover(グルーバー)は、カッコいい人、イカした人という意味です。

我々がこの世界で長く光り輝き続ける存在になりたいという意味合いで本来は2つのoの数は敢えて4つにしました。

 

とのこと。

ひょんなことから縁がつながった。

(もちろん太鼓打ちのほうのわたしと)

彼らのニューアルバム『豪傑』、


豪傑
Led groooover
Level Do

 

今日からこいつが、

会社への行き帰り、また現場への行き帰りのお供となった。

快調快調 (^^)/


 

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『言葉が怖い』(向田邦子講演録)を聴く

2017年04月23日 | 読む(たまに)観る

言葉というのは音に出さなくても、心のなかに、あるまとまったことを思えばそれは言葉だと思うんです。

 

そんなふうに「言葉」を定義づけする人を、わたしは寡聞にして知らなかった。

 

「言葉でごはんを食べる」ようになって20年になりますと、昔は無意識に使っていた言葉が、このごろになってどんどんどんどん怖くなってきまして、言葉というものをちょっと自分なりに考えて見るようになりました。

 

向田邦子講演録『言葉が怖い』は、そんな感じで始まる。


言葉が怖い 新潮CD (新潮CD 講演)
向田邦子
新潮社



そして、「書く言葉」は消しゴムで消せるが、

 

人を相手にしゃべった言葉は、一回口から出てしまいますと、「あ、いけない」と思っても、もう消せないんですね。で、あやまったりすると、あやまる言葉がまた相手を傷つけて、もっともっと傷が大きくなったり・・・、言葉ぐらい人を傷つけてしまうものはないと思うんですよね。 

 

というのが「言葉が怖い」という理由のひとつだと彼女は言う。

「書く言葉は消しゴムで消せる」

「しゃべる言葉は、口から出てしまうと消せない」

ここいらへんは、ついついそそっかしく言葉を発音してしまい(言葉を口から出すという行為を「発音する」という。この表現もはじめて聞いた。新鮮だ。)、気づいたらあとの祭り、なんてことがよくあるわたしのような人間にはよくわかる。特に、

 

書く言葉は消しゴムで消せますけれど

 

というくだりは、「書く言葉を消しゴムで消す」という体感と、「発音した言葉を消そうとしても消せない」という体感の両方をともなって、痛切にわかる。

 

そして、「言葉は人間の持っている最高の武器」である反面、「人間の持っている一番の凶器」にもなり得る両刃の剣だからこそ「もっともっとていねいに使わないといけない」と言い、そんな「言葉」とともにあるという営みを、「大変なものをかかえこんで暮らしてるんだなあ」と淡々と語る彼女の声を、朝に夕に聴きながら車を運転する日々。

それでいてなお、

 

人を相手にしゃべった言葉は、一回口から出てしまいますと、「あ、いけない」と思っても、もう消せないんですね。で、あやまったりすると、あやまる言葉がまた相手を傷つけて、もっともっと傷が大きくなったり・・・

 

を図らずとも実践してしまう日々。

だからといって、局所的に「黙る」という戦術はありにしても、基本的なところでは「黙りとおす」わけにいかないのがわたしという人間なのだから、であればこそ、「もっともっとていねいに使わないといけない」と自分自身に言ってきかせる日曜日

新年度になったかと思えば、はやゴールデンウィーク直前の日曜日。

しゃべる相手もなく独りデスクに向かう。

 



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