きのうの「南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸水域(第二次報告)及び被害想定(第一次報告)」におったまげてしまった私。
発表された膨大な資料を、理解しやすそうなところだけ飛ばし読みしつつ、いささか反省している今朝であった。
「南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸水域(第二次報告)及び被害想定(第一次報告)について」という報道発表資料に、趣旨がわかりやすく書かれているのだが、おおかたの人はそんなもの探してまで読まないだろうと勝手に思い込んだ私が、抜粋して紹介する(ゴシックは原文のまま、着色して強調したのは私の独断)。
「最大クラスの地震・津波」への対応の基本的考え方
1.最大クラスの地震・津波の性格
(1)平成23年に発生した東北地方太平洋沖地震で得られたデータを含め、現時点の最新の科学的知見に基づき、発生しうる最大クラスの地震・津波を推計したものである。
(2)この「最大クラスの地震・津波」は、現在のデータの集積状況と研究レベルでは、その発生時期を予測することはできないが、その発生頻度は極めて低いものである。
2.「最大クラスの津波」をどのように受け止めるべきか
(1)南海トラフにおいて次に発生する地震・津波が、今回示される「最大クラスの地震・津波」であるというものではない。
(2)東日本大震災の教訓から、命を守ることを最優先として、この最大クラスの津波への対応を目指す必要がある。
(3)しかしながら、この地震・津波の発生頻度は極めて低いものであり、過度に心配することも問題である。最大クラスの津波の高さや津波到達時間が、実際に避難するに当って厳しいものであるからといって、避難をはじめから諦めることは、最も避けなければならない。なぜなら、最大クラスの津波に比べて規模が小さい津波が発生する可能性が高いにもかかわらず、避難を諦めることで、助かる命を落としかねない。
(4)これまで取り組んできた避難訓練などが無意味になるものではなく、条件が厳しくなったと受け止め、「非常に大きな津波が起こりうるということ」を念頭に置き、「強い揺れが起きたら逃げる」ということを一人ひとりがしっかりと認識して頂きたい。
敢えて言えば、正しく恐れてほしい。
津波高・浸水域等(第二次報告)について
1.津波高及び浸水域等の推計について
(1)推計の考え方
(前略)
検討ケースについては、大すべり域及び超大すべり域が1箇所の場合を、「基本的な検討ケース」(計5ケース)とし、「その他派生的な検討ケース」(計6ケース)を加えた合計11ケースのそれぞれについて津波高・浸水域等を推計した。
なお、市町村別の津波高の最高値を示した場合、特異な地点のみを示すことになる可能性もあることから、市町村の全域の平均値を併せて示すこととした。
(2)津波高の推計結果
(前略)
一般的に、津波は、岬の先端、V字型の湾の奥、切り立った崖等で高くなる。市町村に津波高の平均値と最大値を比べると、平均的には最大値は平均値の1.5倍、地域によっては2~4倍となるところもある。
「報道発表資料」より http://www.bousai.go.jp/nankaitrough_info/shiryo.pdf
ちなみにここ奈半利町の場合、最大津波高は16メートルだが、平均値の最大は11メートル。
考えてみれば当たり前のことであるが、16メートルの津波が奈半利町を襲うとは限らないし、襲ったとしても今私がいるここがそうだとは限らない。
「この最悪の想定でいくと奈半利町の平野部は、文字どおり野になってしまう」などという、きのうの私の反応は、拙速かつ迂闊に過ぎたのである。
であれば、まさしく「正しく恐れよ」という姿勢が肝要で、折りにふれ私もそう言ってきたのだが、
ではその「正しく恐れよ」の「正しく」(知識)をどうやって仕入れたら良いか。
ニュースの断片を見聞きするだけではダメなのはわかっているが、ついついその断片というやつに右往左往させられてしまう。
困ったもんである。
と軽く反省。