兼業農家とはいうものの、そのじつ農家というほどの仕事はしていない私が、「えっへん私は柚子農家です」と、一年に一度、胸をはれるこの季節。
今日もまた柚子採りである。
「こんじるさんに届ける実生のゆのす」を既に採り終わった今日は、山ではなく、畑の柚子。
といっても、都会に住んでいるかたがこの画像を見れば、立派な「山」なのだろうが、私(たち)にとっては、どっこい立派な畑なのである。
山でも畑でも同じく必需品なのは、革手袋。
こいつがなければ、柚子採りそのものが成り立たない。
世に、「柚子の大馬鹿18年」といわれており、それは、柚子というのがいかに成長するのに遅いかを表す言葉なのだが、考えてみればこれ、じつに良くできた言葉だなと思う。
まこと柚子というやつは、そのトゲひとつをとっても一筋縄ではいかぬのだ。
そしてその一筋縄でいかぬやつを、ビジネスにしてしまおうとすると、その強烈な個性が(当然のように)薄れてしまう。
薄れてしまうのだがしかし、強烈な風味がいいか、あっさりした今風がいいかは人それぞれの好みであって、私なんぞがとやかく言うことではないのかもしれない。
だとしてもだ。その他おおぜいの柑橘類と違って、その融通がきかないところが柚子の柚子たる所以なのだとそう思う。
そして、同じく融通のきかない私が今宵も飲むのは、採りたての柚子を(少しだけ)しぼった焼酎なのだ。