私が「三方良しの公共事業」について語るときの前提としていたのは、
ある公共事業を一つのプロジェクトとした場合、発注者と受注者は同じプロジェクトメンバーであり、
だからこそ、「住民の安心安全のために」「お互いに助けあいながら良いモノをより早くつくっていく」必要があるのだと、こういうことであったし、今もその原則が間違っているとは思ってはいない。
しかし、と同時に、公共事業の発注者たる公務員は、「同じプロジェクトメンバー」という立場でもあり、住民の代理として公共事業の成果物を指導監督検査の結果受け取る人でもある。
そしてそれを「つくる人か?買う人か?」という言葉で表して、
(ここが大事だ)
同じく住民を向いたとしても、その立ち位置の違いで中小公共建設工事業への対応の仕方もまた、変化するのだということを......うんぬん
と書いたのは5月22日の『だって技術を売ってるんだもの』の巻。
そしてそのことを説明するのに、
と、高知県土木施工管理技術講習で使う予定のスライドを引っぱり出してきたのだが、
現場からの帰りの車中で思いつき、もう1パターン追加することにした。
いわずもがなであるが、地場中小零細公共建設業においてのことである。
その企業の構成員たる私たちは当然のように、仕事を離れたその瞬間から地域住民である(それは役所の人とて同じであるが)。
「対役人」というタッグが結成されることも(表に出すか出さぬかは別としても)あるだろう、という意味での追加である。
もちろん結論は、(今のところ)変わりはない。
「同じプロジェクトメンバー」ということに固執しすぎると、キレイゴトに過ぎてしまう嫌いがありはしないかというのが、今のところの私の認識で、
だからこそ中小公共建設工事に携わる私の基本として「三方良し」を置きたいのだと、
いやそもそも公共事業は「三方良し」でなくてはいけないのではないだろうかと、こういうことなのである。
それやこれやもろもろが浮かんでは消え消えては浮かび、
まこと運転中の車という箱は、考えるためには絶好の空間なのであるな。