答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

棚田の石垣

2017年02月05日 | 土木の仕事

雨がしとしと日曜日、ひとりで現場報告をチェックしていると、棚田で石垣復旧工事をしている現場の画像に目がとまる。

ごくごく小規模な石積みだけど、きれいに積み上げられたその石垣を見て、宮本常一の石工の話を思い出したのだ。

以下、『庶民の発見』より引用する。

 

庶民の発見 (講談社学術文庫)

宮本常一

講談社

 

石工たちは川の中で仕事をしていたが、立って見ていると、仕事をやめて一やすみするために上ってきた。私はそこで石のつみ方やかせぎにあるく範囲などきいてみた。はなしてくれる石工の言葉には、いくつも私の心をうつようなものがあった。
 「金をほしうてやる仕事だが決していい仕事ではない。・・・泣くにも泣けぬつらいことがある。子供は石工にしたくない。しかし自分は生涯それでくらしたい。田舎をあるいていて何でもない見事な石のつみ方をしてあるのを見ると、心をうたれることがある。こんなところにこの石垣をついた石工は、どんなつもりでこんなに心をこめた仕事をしたのだろうと思って見る。村の人以外には見てくれる人もいないのに・・・」と。(P.24~25)

 

 「しかし石垣つみは仕事をやっていると、やはりいい仕事がしたくなる。二度とくずれないような・・・・・。そしてそのことだけ考える。つきあげてしまえばそれきりその土地とも縁はきれる。が、いい仕事をしておくとたのしい。あとから来たものが他の家の田の石垣をつくとき、やっぱり粗末なことはできないものである。まえに仕事に来たものがザツな仕事をしておくと、こちらもついザツな仕事をする。また親方どりの請負仕事なら経費の関係で手をぬくこともあるが、そんな工事をすると大雨の降ったときはくずれはせぬかと夜もねむれぬことがある。やっぱりいい仕事をしておくのがいい。おれのやった仕事が少々の水でくずれるものかという自信が、雨のふるときにはわいてくるものだ。結局いい仕事をしておけば、それは自分ばかりでなく、あとから来るものもその気持ちをうけついでくれるものだ」。(P.25)


実際に、ほとんどの人の目に触れることがない棚田に積まれた石垣の画像を見ながら読んでみると、なおいっそう感慨深いものがある。


こんなところにこの石垣をついた石工は、どんなつもりでこんなに心をこめた仕事をしたのだろうと思ってみる。村の人以外には見てくれる人もいないのに・・・

やっぱり粗末なことはできないものである。まえに仕事に来たものがザツな仕事をしておくと、こちらもついザツな仕事をする。

やっぱりいい仕事をしておくのがいい。おれのやった仕事が少々の水でくずれるものかという自信が、雨のふるときにはわいてくるものだ。結局いい仕事をしておけば、それは自分ばかりでなく、あとから来るものもその気持ちをうけついでくれるものだ。


色々様々なやり方や手法がある。だが、これが「土木のしごと」の原点である。そして、これが「土木のしごと」にとっての伝承の基本形なのだ。そう思ったのである。



 

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