答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

『「計画力」を強くする-あなたの計画はなぜ挫折するか』(加藤昭吉)を読んで大いにヒントをもらったこと

2015年06月27日 | 読む(たまに)観る

あの名著、『計画の科学』でネットワーク工程(PERT)を世に知らしめた加藤昭吉さんが2007年にこんな本を出していた。

 

「計画力」を強くする―あなたの計画はなぜ挫折するか (ブルーバックス)
加藤昭吉
講談社

 

一般向けに書かれた本なのだから、すこぶるわかりやすい。


いやこの論法は違うな。「一般向け」だとしても「子ども向け」だとしても、わかりにくいものは世の中にゴマンとあふれている。

で、もとい。やり直す。

 

わたしのような、プロジェクト型の仕事にどっぷりと浸かっている、つまり「計画と実行」を抜きにしては仕事が成り立たない人間からすれば、必ずしもそうではない人たちを対象として「計画と実行」を説明するこの本は、すこぶるつきでわかりやすかった。

それは、筆者が持ち出す豊富なたとえ話によるところが大きい。「ここでわざわざそんな例をもってきたらかえってわかりにくいんじゃないか?」と、ときには首をひねりたくなるほど、わかりやすい事例を交えて、ていねいに説明されている。

 

何よりわたしは冒頭の話しの持って行き方で引きこまれた。

 

IT化は、私たちの知識を豊かにし、暮らしを便利にして、時間を節約できるようにしてくれます。しかしIT化がどんなに進んでも、それ自体は私たちに何もさせることはできません。私たちの行動は、情報や時間を自分なりに編集して計画化する、各人の計画力に頼るしかないからです。(P.5)

便利で安心して暮らせる成熟した社会は、人間が人間として生きるために受け継いできた、この計画的思考を退化させてしまいます。(P.6)

 

そしてその「受け継いできた」ものは、このようにして生まれたと、ある新説を引き著者は書いている。

 

人類学者のブランブルとリーバーマンが2004年11月に科学雑誌の『ネイチャー』で、「持久走を始めたことがヒトを進化させた」という新説を発表して注目を集めています。

 チンパンジーや猿人とヒトの骨格を比べると、200万年くらい前から持久走ができる骨格に変わっているそうです。そこから「チンパンジーや猿人は足が遅かったが、ヒトは肉食獣が走って行った後を持久走で追いかけていけば、その肉食獣が獲物を食べている所へ行って肉を横取りできた」というのがこの新説の柱です。

 さらに大脳生理学者の久保田競氏によると、ヒトの脳の前頭葉が発達したのは、こうして走り始めたのがきっかけだそうです。(P.18~19)

 こうしてヒトは、より頭を働かせる必要に迫られて、効果的な段取りや手順を工夫すると、よりよい結果が得られることを知ったはずです。そしてそのことがさらに脳を活性化させて、進化の道を歩み始めるきっかけになったと、私は考えています。つまり私たちの脳には、生きるために必要な段取りや手順を考える思考回路が、こうした長い人類の歴史を通して刷り込まれているのではないでしょうか。(P.19)

 

はは~、な~るほどね。こりゃネタに使えるわいとほくそ笑むわたし。テンションあげあげで読み進める。が・・・

あまりにも他人の例が多すぎるのだ。中国の古い話、西洋のことわざ、羽生善治、イビチャ・オシム、稲尾和久、某園芸家・・・などなどと数えあげればキリがない。ことわっておくが、それぞれにイイ話やためになる話がほとんどだ。しかし、次から次へと引き出される他人のたとえ話を読んでいて、なんだか次第にテンションが下がってきたわたし。

過ぎたるは猶及ばざるが如し。いわゆる「深い話」も、そのもともとが他人発であれば、ほどほどにしておかなければクドくなる。今日も今日とて「中小土木工事のプロジェクトマネジメント」などというお題で一席やってくる我と我が身に置き換えて、少しく反省してしまったのである。

 

もうひとつ、著者の、「欧米礼賛=だから日本人は云々」という展開がこれまたクドい。

そういえば・・・、わたしの話を何度も聞いたことがある某氏に言われたひと言。

「アンタね、よく誰かの言葉を引用するでしょ。それはいいんだけど、アンタのは外人ばっかなんだよ。あれはやっぱり日本人のほうがいいとオレは思うよ」

う~ん、日本人も登場するんだが・・・。たとえば、「アタシはお客さんに媚びないよ。だってアタシは技術を売ってるんだもの」の、菅原福子(まえだ美容室オーナー)だとか・・・。とかナントカ思いつつ、そのときは聞き流したわたしだが、なるほど。

そこんところのバランスで、聴いている人たちへの伝わりようっていうやつが違ってくるかもしれんのだなと、これまた我と我が身に置き換えて、ほんの少し反省。

 

なんだかケチばかりつけてしまったが、そこんところをガマンして読めば、とてもタメになる本。オススメである。

 

 パスカルは「人間は不確かさのために働く」という言葉を遺しています。計画力は、まさに不確かさに満ちた未来に挑戦する力です。(P.173)

 

 

 

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