答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

近江商人の「三方よし」から

2012年11月23日 | 三方良しの公共事業

『信頼のストック』という稿をアップしたのが11月14日であるから、10日ほど前。

今回の勉強会での私たちの発表のメインテーマもそれで行こうと思いついた私は、PPTにこう記した。

「信頼は現場から生まれ、そして、信頼はストックされる」

そして、プレゼン資料の最終チェックをしていたある日、

例によって「近江商人の三方よし」はこう、「では公共事業の三方良しとは」というくだりに差し掛かって、ふと考えた。

キーワードは、「信頼」「現場」「ストック」である。

いわゆる近江商人の生業(なりわい)は布の行商で、「三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」。

原典となった中村治兵衛宗岸の書置きを要約すると、

商品をその国の人たちに気持よく使ってもらって、その取引が皆さんの役に立つことを願い、損得はその結果次第であると思い定め、

自分の利益だけを考えるのではなく、行商先の人たちの立場を第一に心がける。

とこうなるのだが、では何ゆえその考え方(「三方よし」というキャッチフレーズは後世の研究者がつけたらしい)に至ったのか、を考えたのである。

(「三方良し」を唱えつづけて幾年月、今までそんなことも考えたことがなかったのだから、私の脳ミソなど推して知るべし、ということなのだろうが、ま、それはこの際、置いといて)

つまり、商いの「現場」で「信頼」を構築するためにはどうしたら良いのか。

そしてその構築した「信頼」を「ストック」するためには、どのように継続していくべきなのか。

と、そこで、私の脳裏に浮かんだのが、幼いころのある日、遊びに行った祖父母の家に泊まっていた見知らぬオジさん。

「越中富山の薬売り」である。子供ごころに不思議に思えた、あんな商売がなぜ成り立ったのか。

やはりキーワードは、「信頼」「現場」「ストック」なのではないか。

近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」にしても、

富山の薬売りの基本理念、「用いることを先にし、利益は後から」にしても、

「現場から生まれた信頼をストックする」ことの有意性ゆえに理念として受け継がれていった、いわば信頼をストックするシステムだったのではないだろうか。


さてそうなると当然のことながら、

ひるがえって私(たち)はどうなのか?という問いを自らに向けて発しなければならない。

そしてここでもまた、キーワードは、「信頼」「現場」「ストック」なのである。

地域社会を向いた仕事をしつづけることで「信頼」を得る。

それは直接的な利益には結びつかないかもしれないが、元々私たちの仕事は、金品の交換によって利益を得るのではなく、社会資本をつくるという行為を経て儲けをいただくという迂回した商売、言い換えれば技術に対する報酬をいただいくという類のビジネスである。

であれば、地域社会を向いた仕事をしつづけることで「信頼」を得てそれを繰り返す、つまり現場から得た信頼のストックを積み重ねるという行為もまた、損得勘定の延長にあるのではないだろうか。


ということで元に戻る。

「三方良しの公共事業」という言葉から、「近江商人の三方よし」がその原典となっているだろうと、多くのかたが思われるであろうがさにあらず。

TOC(制約理論)だとかCCPM(クリティカルチェーン・マネジメント)だとかを理論的根拠として、公共事業を変えようとする動きに、近江商人の「三方よし」の考え方がフィットする、ということでつけられたネーミングが「三方良しの公共事業改革」である。

(私は改革という言葉を意識して使わないが)

しかし、「三方良しの公共事業」のその出自はどうであれ、近江商人の「三方よし」は、今後なおいっそう、「公共事業の三方良し」がその拠り所としていかなければならない、重要な理念なのではなかろうか。

そうでなければ、「三方良しの公共事業」がその拡がりを見せることはないのではないだろうか。

というのが、「三方良しの公共事業推進研究会勉強会in高知」を終えた現在ただ今の、私の心境なのである。

 

 

         

             有限会社礒部組が現場情報を発信中

 

         

             発注者(行政)と受注者(企業)がチームワークで、住民のために工事を行う。

             三方良しの公共事業実践中!

 

コメント
この記事をはてなブックマークに追加