答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

想定を保留状態にする(デヴィッド・ボーム)

2011年12月03日 | 読む(たまに)観る
ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ

デヴィッド・ボーム著

金井真弓訳

英治出版

 

『ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ』を読む。

「Google日本語入力」の変換候補には、真っ先にデヴィッド・ボウイが出てくるがボウイではなくボーム。デヴィッド・ボームである。

悩めるオジさんへの「処方箋らしきもの」として、「毒かもしれませんが・・・」とUさんが薦めてくれた例のやつだ。

私の知的レベルにはちと難解かなと身構えていたのだが、文章そのものにあまり引っかかることがないのは、訳者の実力なのだろうなと思いながら読み進めた。ところがどうして、私ごときが一度ぐらい読んだからといって、その本質的な内容が把握出来るような簡単なものではない(特に後半)世界なのである。

しかし、そんな中でも確かな収穫はあって、読み終わったあと、またきっと読み返してみねばなるまいと決意させてくれたのだった。

具体的にどこがどうかと言えば、そのものズバリ。第2章の「対話とは何か」。この章はボームのプレゼンテーションから稿を起こしているらしく、それもあってか繰り返しの説明が多く、たぶんそのせいだろう。読んでいるうちにだんだんと腑に落ちてくる。そしてその中でキーワードをあげるとすれば、「想定を保留状態にする」と「必要性という衝動」である。

つまり、こういうことだ。

 

人は腹を立てたとき、怒りの感情を表に出すのが普通であり、相手に対して不快な言葉ぐらいは吐くかもしれない。そうした反応を保留状態にすると考えてみよう。(中略)

自分の気持をあらわにせず、振り返ってみることにする。観察できるように、感情を目の前に掲げると考えてもいい ーまるで鏡の前にいるかのごとく、自らの感情を検討してみよう。こうした方法をとれば、単に怒りを吐き出したり、「私は怒っていない」とか「怒るべきじゃないでしょう」と言って怒りを抑えたりした場合には、見えなかったはずのものが見えてくる。(P.68~69)

 

これが、「想定を保留状態にする」であり、

「必要性という衝動」とはこうである。

 

家庭内であろうと、対話グループにおいてであろうと、深刻な議論はすべて、絶対に必要なものは何かという価値観の違いに関係している。絶対に必要というわけでなければ、人は常に必要性と折り合いをつけ、最優先すべきことを決定し、調整をつけられるだろう。(中略)

問題は、二つの絶対的な必要性が衝突した場合にどうするべきかである。まずは、必要性というこの情動に突き動かされ、前に述べたように、怒りや憎悪、欲求不満などの強力な感情が高まることが考えられる。そうした絶対的な必要性がある限り、何事も変えられない。(中略)

「これは絶対に必要だろうか?絶対に必要だと思い込むせいで、実に多くのものがだめになっている」と。「これは絶対に必要だろうか?」という疑問を発して、それに答えれば、ある時点で必要性は弱まり始めるかもしれない。(P.72~73)

 

「そんなことが出来れば苦労はしないよ」と言ってしまえば、「ハイそれまでョ」である。

事実、そういう私が昨夜は昨夜で、「この場合、想定はなんだろう」とか「イカンイカン、反応を保留状態にせねば」とか、「必要性という情動に突き動かされてはいないか?」とか考えることがあったのだが、なかなかどうして、私のような凡才においそれと出来るものではない。

繰り返すが、だからといって、「そんなことが出来れば苦労はしないよ」と言ってしまえば、「ハイそれまでョ」なのである。

これを自分なりに脳みそにインプットさせて、それを身体に落し込んでいくことを繰り返すうちに、何か答えが出るかもしれないではないか。そのうえで、私の脳みそがそれを受け付けないか、あるいは私の身体がその副作用に拒否反応を起こせば、それはその時のことである。

 

さて、「毒かもしれませんが・・・」という彼の人の紹介文句。諧謔(かいぎゃく)のつもりなのだろうが、「よ~く考えてみよう」という意味からいけば、たしかに堂々巡りの深みに引きずり込まれる可能性がないわけではないのであって、そのことを「毒」と言えば確かに「毒」かもしれないな、とは思う。

しかし、熟成させると毒が毒でなくなる、どころか、「あらまどうしたことでしょう、この旨さは」てな「フグの毒」みたいなものも世の中には存在するのだ。この本を「毒」と言うならそういう「毒」だろうなと、以上、『ダイアローグ』を読んでみての感想である。

しかしなんだな。「想定を保留状態にする」という、なかなかに味がある表現が、しばらく頭から離れそうにない私。浅い眠りのなかで一晩中、「想定」だの「保留」だのが駆けずり回っていた。

 

 

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