答えは現場にあり!技術屋日記

「三方良しの公共事業」をモットーに、辺境の高知のそのまた辺境から、土木技術者のオジさんが泣き笑いの日々を届けます。

「わたし作る人、僕食べる人」 -若い(公共土木の)技術屋さんへ

2011年10月06日 | 土木の仕事

 「わたし作る人、僕食べる人」というCMは、昭和50年放映というから、45歳以上の人間でないと記憶にはないはずだ。

 もっとも今日は、そんなイイ年をした方々にではなく、まだ若い(公共土木の)技術屋さんにちょっと教えてあげたい話である。

 朝から私は、とある工事の設計委託業務の成果品とニラメッコをしていた。つまり、設計の根拠となる資料である。

 ずい分と前から私は、この設計成果品というやつを役所から借り、目を通したうえで仕事をするようにしている。「当然だろう」という人には、今書こうとしているこの文章は必要ない。しかし、少なくとも私の周辺もしくは知っているあたりでは、これを実行している施工屋さんはあまりいないと思う。だから今日は、「設計成果品を読む、のススメ」なのである。

 メリットは2つある。

 一つめ。言わずもがなのことだが、「設計の主旨(あるいは根拠)」が解るということ。

 私の持論のひとつに「図面を信用するな」というのがある。図面を盲信して、現地にフィットしないモノをつくったとして、「図面のとおり施工しました」というのは単なる言い訳に過ぎない。(土木の)技術屋としいうやつは、自分の頭で考え皆んなの知恵を借りながら、設計図書に頼りっきりになるのではなく、より良いモノをつくろうとしなければならない。だから、敢えて私は「図面を信用するな」と口を酸っぱくして言い続けるのだが、それはなんでもかんでも闇雲に「変更」すれば良いというわけではなく、そこは「設計の主旨(あるいは根拠)」を承知した上でのことでなければならないと、そう考えている。そしてまたその上で、その「設計の主旨(あるいは根拠)」もまた、盲信するのではなく、「オカシイことをオカシクないか」と指摘もしくは提案できるようにする。

 最初はそれが解らないまでも、様々な設計成果品と付き合っていくうちに、そういうスキルが磨かれていく。その一助にもなるのである。

 もとより私が、こんなことをちゃんと理解したうえで、そういう行為を繰り返していたわけではなく、それは漠然として私の脳内にあったものに過ぎなかったのだが、5年前この文章と出会ったときに「これやこれ、これやがな」と腑に落ちた(当時の私は地の底であがいていたから、余計にネ)。

 

『建設寺子屋-中小建設会社の技術者と共に築く建設淘汰の時代の勝ち残り方法』

http://w01.tp1.jp/~a282084281/index.htmより

 最近、設計図書の照査範囲について、請負業者の方から相談を受けることがあります。私自身、設計者や発注者が、照査しているものを同様の方法で、請負者が照査することは、過度な負担となり、工事に対するメリットにはなりにくいと考えていました。

 しかし、設計者、発注者、施工者の三者が、協力し合って、良質で、低コストな公共物を、国民に提供することは、三者が行うべき使命です。つまり、上流側の設計者のミスをそのままにして、施工してしまうことは、施工者としての使命を果たしていないといえます。プロの技術者として失格です。

 

 なんという高い意識と、感激しながら読んだことを覚えている(「低コスト」というところを強調しすぎるのは危険だが)。 余談だが、この3年後、沖縄でこの方とお会いした。その時の私の感激たるや、皆さんご想像のとおりである。

 もっとも、今日私が書いているのは、そこまで高いレベルの話ではない。しかし、(少なくとも)意識だけはこうあるべきだと思うのだ。

 つまりこれが冒頭の、「わたし作る人、ぼく食べる人」である。私たちの世界に置き換えると「わたし作る人、ぼく設計する人」、ついでにもう一つ加えると「おれ積算する人」というふうになろうか。36年前、ハウス食品のくだんのCMが女性団体から抗議されて中止になったことの是非はともかくとして、「わたし作る人、ぼく設計する人」では、良いモノは出来ないと私は思う。施工に携わる技術屋となればなおさらである。

 二つめは、コミュニケーションにおけるメリットだ。役所と施工業者のコミュニケーションである。

 「設計成果品を借してください」(いっておくが測量成果ではない、それは必要不可欠なものだから借りなければ仕事にならない)というその言葉は、仕事に対するアナタのポジティブな姿勢のサインなのだ。  「ポジティブな情報を発信するものにポジティブな情報は集まる」(桃知利男)というのは、なにも中小建設業者の情報発信に限ったことではなく、普段のコミュニケーションにおいても同様なのである。

 もちろん、そのことが主たる目的ではなく、借りてきた設計成果品が単なる飾りであっては何にもならないのだが、世の中は良くしたもので、そんなメッキはすぐにはがれる(はずだ)。そうではなく、(本物の)ポジティブな姿勢は、きっとアナタをイイ方向へと導いてくれるだろう。

 「若い(公共土木)技術屋さんへ」と銘打った文章を書くのは始めてである。参考になっただろうか。

 と言いながら、若い人がこのブログを読んでくれているかどうか、じつのところ私は知らなかったりするのだが・・・・・・。

 

 

 ←高知県人気ブログランキング

 ← 高知情報ブログランキング 

 

コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加