窓の向こうに雄大な富士山が、空よりも高くそびえている。
空気の澄んだこの時節、新幹線の車窓に広がるスクリーンには、絵画を思わせるほどにくっきりと、その雄姿が映し出される。
関東地方の北部に居をかまえ東京都心に新幹線通勤を始めて久しく、一日のうちに田舎生活とシティライフを交互に愉しんでいる。
東海道新幹線であれば、さほどめずらしい景色でもないのであろうが、東北新幹線の車窓に初めて富士山を発見したときは、あまりの意外性に感激するとともに驚嘆するばかりだった。
同僚などに話すと、多くの建物にさえぎられて富士山なんて観賞できるはずがない、とのっけからは信じてもらえない。けれど、実際には新幹線は高架鉄道なので、思いのほか見晴らしがよく空気の透明度が高ければ、裾野の辺りまではっきりと目でとらえることができるのだ。
今朝の富士山は、頂上付近がキラリと光を放つほどに白銀の化粧で塗り染められ、朝日に照らされる陰影の濃淡が厳とした三次元の存在感をいっそう引き立たせていた。
( イメージ写真です )
深い愛をもって赤子を抱擁する母親のように、雲上からせち辛い世の中をやさしく見守っているのかもしれない。
地上で繰り返されている出来事は、 「 すべて些細なことだ、くよくよしてもしょうがない 」 とでも言いたげで、「 大丈夫、すべてうまくいっているよ 」と励まし元気づけてくれる。
心を静め、田畑や森、緑の多い郊外を抜け、都心のビル群へと少しずつ移り変わる情景に浸っていると、まるでお気に入りの映画のシーンを繰り返し鑑賞しているような心もちになる。
とともに、のんびりした田園生活から気ぜわしい大都会での仕事モードにゆるゆると切り替わり、そろり気分もリフレッシュされる。
富士山の深い懐に抱かれながら、今日も一日がスタートする。
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昭和47年に横浜に来て以来、何度か転居しましたが
富士山が見える家を選んできました。
今日は生憎雨ですが、天気がよければ私の部屋から
富士山が見えます。
あなたと同じく私も富士山に心を浄化してもらい
元気付けてもらっています。
富士山の見える家を選んで転居するなんて、
素晴らしいことですね。
私の場合は、富士山への憧れはありますが、
東京在住時に比べると、今の居所は
富士山からはかえって遠くなってしまいました。
でも、こうして通勤途上で
憧憬の的に出合えたのは本当に幸運でした。
それにしても自分の部屋から
富士山を望めるなんて
なんてうらやましいことでしょう。
今日は昨日とはうって変わって、
雪、ですね。
風邪などひかれませんようご自愛ください。