漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「非ヒ」 <互いに背を向けた人>

2016年09月18日 | 漢字の音符
 ヒ・あらず・そしる  非部

解字 頭部を強調した人が互いに背を向けた姿の象形[甲骨文字小字典]。背を向け合って相手を拒否しているので、否定の意味に、また転じて悪い意に使われる。篆文から形が変化 し、現代字は非になった。
意味 (1)あらず(非ず)。~でない。否定を表わす助字。「非常ヒジョウ」「非凡ヒボン」 (2)正しくない。わるい。過ち。「非行ヒコウ」「非道ヒドウ」 (3)そしる。「非難ヒナン

イメージ  「わるい・あらず」 (非・罪・匪・榧・誹・蜚)
       人が 「左右に分かれる」 (扉・排・俳・悲・徘)
       人が 「左右にいる」 (輩・斐・琲・靡)
       「その他」 (腓・緋・翡)
音の変化  ヒ:非・匪・榧・誹・蜚・扉・悲・斐・琲・腓・緋・翡  
        ビ:靡  ザイ:罪  ハイ:排・俳・徘・輩

あらず・わるい
 ザイ・つみ  罒部よこめ
解字 「罒(法のあみ)+非(わるい)」の会意。罒は网モウの変形で網の意。悪事を働き法の網にかかること。
意味 つみ(罪)。つみする。「罪人ザイニン」「犯罪ハンザイ」「罪名ザイメイ
 ヒ・あらず  匚部はこがまえ
解字 「匚(かくれる)+非(わるい者)」 の会意形声。隠れ住んでいる悪者。
意味 (1)わるもの。「匪賊ヒゾク」(徒党を組んで掠奪などをする盗賊)「匪徒ヒト」(=匪賊) (2)あらず。否定の助字。
 ヒ・かや  木部
解字 「木(き)+匪(かくれ住む)」の形声。耐陰性が強く樹林内部であまり日の当たらないところでも育つことができる木。
意味 かや(榧)。イチイ科の常緑高木。成長は遅いが寿命は長い。実は食用・薬用となり、また油を搾る。材は堅く最高の碁盤の材料となる。「榧実ヒジツ」(榧の種子。漢方薬や食用とする)
 ヒ・そしる  言部
解字 「言(いう)+非(わるい)」 の会意形声。悪口を言うこと。
意味 そしる(誹る)。悪口をいう。「誹謗ヒボウ」(誹も謗もそしる意)
 ヒ  虫部
解字 「虫(むし)+非(わるい)」 の会意形声。悪い虫。稲などにつく害虫。また、飛に通じ、飛ぶ意がある。
意味 (1)あぶらむし。ごきぶりのなかま。「蜚ヒレン・ごきぶり」 (2)とぶ(蜚ぶ)。「蜚鳥ヒチョウ」(飛鳥)「蜚語ヒゴ」(作りごとをいいふらす。=飛語)「流言蜚語リュウゲンヒゴ」(デマ)

左右に分かれる
 ヒ・とびら  戸部
解字 「戸(出入り口)+非(左右に分かれる)」 の会意形声。左右に分かれて開くとびら。
意味 とびら(扉)。開き戸。「門扉モンピ」(門のとびら)「開扉カイヒ
 ハイ  扌部
解字 「扌(手)+非(左右に分ける)」 の会意形声。手で左右に押しのけること。また、配ハイ(ならべる)に通じ、並べる意味もある。
意味 (1)おしのける。しりぞける。「排斥ハイセキ」「排外ハイガイ」 (2)ならぶ。つらねる。「排列ハイレツ」「按排アンバイ」(ほどよく並べる)
 ハイ  イ部
解字 「イ(人)+非(左右に分かれる)」の会意形声。左右に分かれて掛けあいの芸をする人。もと、二人が組になり、おどけて笑わせる道化の芸人。
意味 (1)わざおぎ。役者。「俳優ハイユウ」 (2)おどけ。たわむれ。「俳諧ハイカイ」(①おどけ・たわむれ。②滑稽味を帯びた和歌) (3)俳句のこと。「俳壇ハイダン」「俳聖ハイセイ」(特に松尾芭蕉をいう)
 ヒ・かなしい・かなしむ  心部
解字 「心(こころ)+非(左右に分かれる)」 の会意形声。心が左右に裂けた状態をいう。
意味 (1)かなしい(悲しい)。かなしむ(悲しむ)。「悲哀ヒアイ」(悲しく哀れ)「悲運ヒウン」 (2)[仏]あわれみの心。「慈悲ジヒ」(あわれみいつくしむ心)「悲願ヒガン」(①仏が、その慈悲心から発する願い。②どうしても達成したい願い)
 ハイ  彳部
解字 「彳(ゆく)+非(左右に)」 の会意形声。左右に行ったり来たりする。
意味 さまよう。ぶらぶら歩く。「徘徊ハイカイ」(歩きまわる)

左右にいる
 ハイ・やから  車部  
解字 「車(くるま)+非(左右にいる)」 の会意形声。車が左右に並ぶこと。車に乗る者同士が並ぶので、仲間の意となる。
意味 ともがら。やから(輩)。なかま。「先輩センパイ」「後輩コウハイ」「輩出ハイシュツ」(才能のある者が続々と世にでる)
 ヒ・あや  文部
解字 「文(もよう)+非(左右にならぶ)」 の会意形声。文様が続いて並ぶこと。
意味 (1)あや(斐)。文様が並んで美しいさま。「斐然ヒゼン」 (2)地名。「甲斐国かいのくに」(山梨県の旧国名。甲州)
 ヒ・ハイ  玉部
解字 「王(玉)+非(左右にならぶ)」 の会意形声。並んでつながる玉飾り。
意味 (1)玉を連ねた飾り。 (2)コーヒーの音訳字。「珈琲コーヒー」(中国では咖啡と書く)
 ビ・ヒ・なびく  非部
解字 「麻(麻の皮)+非(左右にならぶ)」 の会意形声。繊維をとるため精製した麻皮を乾燥させるため竹竿に並べ干したかたち。その麻皮が風にゆれるさまをいう。部首は本来「麻」のはずだが、なぜか非になっている。
意味 (1)なびく(靡く)。風などになびく。「風靡フウビ」(風になびく。風が草をなびかすように、その時代の人々をなびき従わせること)「一世を風靡する」 (2)ある者の意思にしたがう。「権威に靡く」

その他
 ヒ・こむら  月部にく
解字 「月(からだ)+非(ヒ)」 の形成。ヒは肥ヒ(ふとる)に通じる。月(からだ)のどの部分がふとっているか明確でないが、腓は、脛ケイ(すね)に対し、その後ろのふくらんだ所である「ふくらはぎ」をいうので、腓の月は、脛ケイの略体であると思われる。これに対し、骨に卑(=肥ヒ。ふとる)がついた脾は、ふとももをいう。脾ヒを参照。
意味 こむら(腓)。ふくらはぎ。すねの後ろのふくらんだところ。「腓返(こむらがえ)り」(こむらが急にけいれんすること)「腓骨ヒコツ」(脛すねの外側背面の細い骨)
 ヒ・あか  糸部
解字 「糸(ぬの)+非(ヒ)」 の形声。ヒという名の色のぬの。濃い赤色の絹をいう。転じて、赤い色の意。非のイメージは不明。
意味 (1)あか(緋)。こい赤色。ひいろ。「緋鯉ヒゴイ」「緋色ヒイロ」 (2)あかい絹。
 ヒ  羽部
 カワセミ(ウィキペディアより)
解字 「羽(はね)+非(=緋。あかい)」の会意形声。腹部の羽毛があかい鳥。
意味 「翡翠かわせみ」に用いる字。「翡翠かわせみ」とは、腹部の羽毛があかく(翡)、つばさの羽が緑色(翠)の水辺に生息する小鳥。
「翡翠ヒスイ」とは、カワセミの羽に似た鮮やかな翠緑色(みどりいろ)の玉。装身具・装飾品として用いられる。
<紫色は常用漢字>

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