ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

コマチアイト

2017-06-09 16:52:08 | 日記・エッセイ・コラム
唐突かもしれませんが、私の十代の頃、家では柴犬を飼っておりました。雌犬で名前は紅小町号(呼び名はベニ)、ペットというよりも家族の一員のような存在でした。

さて、先日、飯田橋のミネラルマーケット会場でコマチアイトという岩石を見かけました。コマチアイトの存在は「三つの石で地球がわかる」(BLUE BACKS)を読んで知ったばかりだったので、その直後という良いタイミングで、しかも、昔の愛犬の名前にも相通じるところが気に入って、即決で購入しました。

今日の写真はそのコマチアイトです。これは南アフリカ共和のコマチ川転石ですが、面白い事に、そのラベルにはGPSの位置情報の数字も書いてありました。





写真はそのスライスした断面です。恐らく、岩石の薄片を作る際に出た残りの部分だと思われます。

その植物的な模様が面白いと思います。この模様は橄欖石が急冷して細長い結晶が伸びて出来る「スピニフェックス組織」といわれるそうです。





その破断面や転石だった表面にも同じような模様が見えます。このコマチアイトの最大の魅力はこの模様だと思います。

コマチアイトの和名は小町石ではありません。それは南アフリカ共和国のコマチ川に由来しています。

このコマチアイト、見た目にも面白い岩石なのですが、実は、それよりも、地球史の冥王代を物語る、興味深い存在なのです。

地球誕生は46億年前、隕石や微惑星が衝突・合体して集積していき、原始地球に成長したと考えられています。その原始地球にも隕石や隕鉄が衝突し続け、その巨大な衝突のエネルギーは熱エネルギーに変換されて、原始地球の表面はどろどろに溶けはじめ、液体のマグマ「マグマオーシャン」に覆われます。やがてマグマオーシャンが少しずつ冷えていくと原始海洋と最初の岩石ができていきます。私は海洋地殻といえば玄武岩と思っていましたが、ここでコマチアイトが登場してくるようです。

どうも、このコマチアイト、マグマオーシャンが冷えて固まった最初の岩石であると考えられているそうです。(コマチアイトの融点は約1600℃で玄武岩の融点は約1200℃)ただ、最初の石ができるプロセスにはマグネシウムの含量などを考慮すると複数あると考えられる事から詳しい事はいまだによくわかっていないそうです。

それから、南アフリカ共和国のコマチ川のコマチアイトは変成岩になっており、どうも冥王代にあったものではなく、2次的なものである可能性があるそうです。

そういえば、約40億年前の世界最古の石として知られているアカスタ片麻岩は花崗岩が変成したものでした。花崗岩には火山岩だけではなく、変成作用でできるものもあるそうです。そして、今日のコマチアイトも古いものでありながらも変成岩です。

岩石は大きく分けて火山岩、堆積岩、変成岩に分けられますが、そのどれもが最初はマグマオーシャンからできてきており、いったんできた岩石も、再度の溶融があったり、圧力を受けたりして、変成作用を受け続ける事になります。そういう意味では、現在の地球の岩石は全て変成岩という事になりそうです。それは、大いなる地球の物質循環の一環なのだろうと思います。

今日のコマチアイトは小町とは関係なく、さらに地球最初の石でもなさそうなのですが、非常に興味深い石である事には変わりありません。



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3 コメント

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Unknown (川崎masa)
2017-06-09 20:58:22
私も飯田橋で買いました。売っていた人は知り合いで
冥王代の研究をしています。
Unknown (MM)
2017-06-10 05:26:07
川崎 様
コメント、ありがとうございます。
そうでしたか!お仲間ですね。
その方に、貴重な標本の御礼をお伝えください。宜しくお願します。
コマチアイト (TY)
2017-06-10 11:56:32
有名なわりに実物を手にとって見たことはありません。こんどお会いした時に拝見させてください。

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